展覧会の企画者、橋本章主任学芸員の講演会「あやかしと魔よけの世界」を12月23日に拝聴してきました。

 

 

展示のほとんどは京都府内のもの。

 

薬玉って、魔除けなんやと知りました。

 

 

ゲゲゲの鬼太郎

怪異現象を妖怪としてビジュアル化したのは江戸時代の浮世絵師鳥山石燕百鬼夜行

 

歌麿の師匠らしい

 

 

妖怪譚は柳田國男氏などが明治期に収集しています。

 

こんなデーターベースもあるんや。作成委員長は小松和彦先生。

 

ということで、去年も新作映画が封切りされた「ゲゲゲの鬼太郎」は長い歴史の上に成り立っています。

 

陰陽師

陰陽師についての説明↓

 

東寺百合文書(国宝)

 

陰陽師が吉凶を占った室町時代の文書が展示されていました。「怪異」が起きたらそれを読み解くのは陰陽師、対策するのは僧侶と役割分担があったので、真言宗東寺にこのような文書が残されました。

 

賀茂在道という署名がある文書もありました。これは賀茂社の賀茂氏で、安倍晴明の上司も賀茂氏でした。

 

泰山府君祭(若杉家文書)

晴明が始めたとされる陰陽道の祭祀、泰山府君祭の祭文、1553年作成の都状案が展示されていました。

 

案だから、下書き?

 

黄色の紙に赤い字で書かれていて、名前(若狭国守護武田信豊)の部分だけ墨書。同じスタイルの文書が中国にも残っているらしい。

 

土御門家、若杉家、大國家

安倍晴明系の陰陽師の家系は土御門家で、若杉家は土御門家の家司として貴重な文書(㊙だから写しが少ない)を伝えています。

 

大阪天満宮から見えるビルにも若杉という文字が見えるけど、子孫の方?

 
大國家からも、安倍晴明祭の祭壇の配置図やお札が出展されていました。

 

お札にはドーマンセーマンと共に「急急如律令」と書かれています。法律のように早く実効性を持ちますようにという意味で、めっちゃ役所。

 

反閇(へんばい)

反閇は大地を踏みしめる呪術的行為で土御門家にも伝えられたようです。神楽や能に所作が残っています。

 

 

貞丈雑記で、反閇について記された部分が展示されていました。個人的には大ヒットニコニコ

 

作者の伊勢貞丈は有職故実(儀式の作法や法令などの知識)で江戸幕府に仕えたので、ここでも公務員。

 

北野天満宮

菅原道真を祭神として、実は比叡山天台宗とも関係が深い神社です。座主となった円仁の著作の序文を道真が書きました。

 

 

長谷雄卿草紙

紀長谷雄は文章博士(道真と同じ職)だった実在の人で、双六で鬼に勝つという設定だから切れ者。

 

賞品として、ゲットした美女は…という今昔物語にもあった話。


江戸時代の写本が展示されていましたが、原本は鎌倉時代後期で東京の永青文庫の所蔵。

 

長谷雄が登場する漫画↓

 

鬼が美女がバラバラになって流れてしまったことを文句を言いに現れたときに長谷雄が助けを求めた先は北野天満宮

 

土蜘蛛

こちらも実在の人物、源頼光が登場。壬生狂言の人気演目で、能や歌舞伎でも演じられます。

 

原本は鎌倉時代の作成で国宝ですが、展示されていたのは色鮮やかな江戸時代のもの。

 

怪異を追って神楽岡(京都大学の傍で現在は吉田神社)の屋敷に頼光たちはたどり着きます。そこでの「攻撃」の一つが290歳の老婆の長い思い出話というのが笑えます。

屋敷から逃げて土蜘蛛は塚に逃げ込みましたが、それもまた北野天満宮の南側。


明治期の日本画

明治期の日本画にも怪異の世界は描かれています。が、明治政府は妖怪話を禁じる法令をわざわざ出しましたびっくり京都府行政文書として展示されています。

 

河鍋暁斎

夏の黒羽織の背中に貼り付けになった人など刑場の様子を描いています。こんなの誰がオーダーして着たん?

↓のサイトに上がっています。

 

鈴木松年

大津絵でおなじみの「鬼の念仏」や神話からテーマを得た「八岐の大蛇退治」などが展示。

 

 

渡辺省亭

後醍醐天皇の女官で肝の据わった伊賀の局が幽霊と会話する様子を描いています。

 

明治維新後に好まれた画題らしく月岡芳年も描いています。

 

 終わり