昔、私を真っ直ぐに見据えてくれる人と出会いました。

それがとても嬉しくて…私も、真っ直ぐに向き合いました。


けれどその人はある時期から酷く弱ってしまい…

それ以降は私の真っ直ぐな態度が、逆にその人を追い詰めていきました。


真っ直ぐに向き合ってくれたから…私にとって、その人は大事でした。

けれど…その事が同時に、相手を傷つけてボロボロにしてしまったのです。

社会生活すら、まともに送れなくさせてしまうくらいに。


…自分のその罪を自覚してからは、私は嘘をつく事を覚えました。

真実は人を鍛えてくれるけど、同時に研磨する事は傷つくことでもあり

嘘は疑いを呼び…人間関係を時に破綻させる毒にもなるけれど…

弱ってしまった人間には「麻薬」と同じように痛みを和らげる力がある事を


私は…過ちの中で、学んだ。

二度と傷つけたくなかった。

追い詰めたくなかった。

だから本当に想っていた事を決して口に出さなくなった。

それで相手を追い詰めるぐらいなら…自分の口を塞いで、永遠に口封じをしよう。

相手を傷つけるぐらいなら…自分がズタボロになった方が良い。

そうして真実を口にしなくなりました。


…そして、本当の事を口にしなくなりましたから…お互いのことが信じられなくなって

結局、その人との関係は終わりました。

真実も嘘も必要なもの。適度に織り交ぜなければ…良好な人間関係なんて

紡ぐことなど出来やしない。


…望むことは三つある。

もし再び…自分と向き合ってくれる存在に巡りあえたら

今度こそ、私は相手の手助けになれる人間になりたい。

必要にされる存在になりたい。

そして…本当の事を言える勇気を、持ちたい。


疑心暗鬼に駆られて…すれ違って、信じられなくなって傷つけあう。

そんな関係は…二度と、作りたくない。

けれど…その結果の報いは、結局は…臆病になって自らにも、相手にも

『嘘』をつくようになった自分の弱さが招いたことなのである。


嘘は「麻薬」

その場しのぎの快楽と鎮痛を齎すもの

…それでも、痛い思いをしたくないから…「優しい嘘」が時に欲しくなるんですよね。

今は…そういう人の弱さを、判るようになっただけ…すこ~しだけ人に寛容になれたかも知れない。


『人は罪を犯して…罪を知る』


誰が言ったか忘れたけど…ずっと頭の片隅に引っかかっていたこのフレーズが今はやっと理解出来るようになった。

…一応、成長したんですかね。あの人に出会う前より…ちょっとぐらいは。はふ…。