さくらは猫のくせに体が硬くて、

グルーミングが苦手だった。

食事の後も滅多にグルーミングをせず、

お尻は頭が届かないのか、

一度も舐めているのを見た事がなかった。

たまに前足で顔をぺろぺろしている事はあったが、

背中にも頭が届かないらしく、

本格的なグルーミングをしているのは

21年間見たことがなかった。



さくらは、うんぴが石のように固かったので

お尻が汚れているようには見えなかったが、

赤ちゃんのおしり拭きで定期的に拭いていた。

余談だが、さくらは21年間、便秘も下痢も

したことがなかった。





今まで実家にいた猫たちは、

これでもかと言わんばかりに

グルーミングする子ばかりで、

"猫のブラッシングをする“

という概念が、私にはなかった。

完全に長毛種だったら話は別だが、

さくらは一見 、長毛に見えない。

よって、さくらのブラッシングはしていなかった。

さくらがグルーミングをしていないことにも

気づいていなかった。


さくらがうちの子になって、

半年が過ぎた頃だろうか。

さくらの体を撫でていると、デコボコする箇所が

お尻の上辺りに4つほどある。

なんだろうと思って探ってみると、

ピンポン玉より少し小さいくらいの毛玉が4つ。

『これは放置してはいかん!』

ハサミで切るのは間違っている気がして、

ペットショップへ急行した。


店員さんに相談して、

犬猫兼用の目の粗いブラシと、

目の細かい小さなクシを2種類購入。

急いで帰宅した。


まずは目の粗いブラシでブラッシングしてみる。

毛は大量に取れるが、毛玉は取れない。

毛玉の部分だけ集中的にやってみたがダメだった。

次は目の細かいクシを使う。

最初からピンポイントで毛玉を狙った。

毛の根元にクシをグサリと入れ、グイッと引く。

“手応えあり!"

そのまま、グイグイと引っ張る。

毛玉と一緒にさくらの皮膚も引っ張られ、

さくらが噛み付いてくる。

『ごめんね、痛いよね、でも我慢して』

さくらを励ましながら、

一個目の毛玉を取る事に成功!

二個三個と、毛玉を引き剥がしていく。

逃げ出そうとするさくらをガッチリホールドして

四個目の毛玉を引き剥がした。

毛玉の取れた箇所は少し毛が薄くなったが、

スベスベで肌触りが良くなった。

私の手から解放されたさくらは、

急いでベットに上がり、届かない背中を

舐めようとしている。

私は、毛玉を取りきった達成感で清々しかった。



この毛玉事件で、

さくらがグルーミングしていないこと、

一度も毛玉を吐いたことがないことに思い至った。

“これからは頑張ってブラッシングしよう…"

そう心に決めた。



決めたのはいいのだが、さくらは毛玉事件が

トラウマになってしまったようで、

ブラッシングを嫌がった。

特にクシは、見ただけで逃げ出してしまう。

押さえつけてやるのは簡単だが、

それでは、ますますブラッシングを嫌いになる。

私も嫌われてしまうかもしれぬ。

非常に悩ましい問題だった。



猫さん三匹と暮らしている友人に相談したら、

人間用の豚毛ブラシを勧められた。

友人宅の猫さんたちも、豚毛ブラシだという。

当時、豚毛ブラシはとても高価だった。

しかし。背に腹はかえられぬ。

デパートまで出向いて、豚毛ブラシを購入した。



"豚毛ブラシは駄目だったら私が使おう……“

ドキドキしながら、

豚毛ブラシをさくらの体にあてる。

嫌がる様子はない。

そのままブラッシングしてみる。

"おおっ!“

さくらは気持ちよさそうにしているではないか!

毛もしっかり取れている。さすが高級豚毛ブラシ!

全身をブラッシングしたさくらは、

ピカピカしているように見えた。

その日から、

ブラッシングはさくらの日課になった。







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