ずいぶん時間がたってしまいましたが、今回は区民生活委員会の視察の報告を書きます。

昨年10月27日、28日に区議会の区民生活委員会の視察で香川に行きました。高松丸亀町商店街のお話と、瀬戸内国際芸術祭のお話を伺ってきました。

今回はまず、商店街のことについて書きます。

 

高松丸亀町商店街は、高松港から歩いて15分ほどの距離にある商店街です。
商店街が疲弊しがちであるという課題は、多くの地域で共通するところがあるのではないでしょうか。シャッター通りになってしまう、チェーン店が多くて地域の特性が見られない、同種の店に偏ってしまう、など…。丸亀町商店街では、このようにうまくいかないことが多い理由は何なのかをまずは分析することから始めたそうです。そして見えてきた課題は、
・お店をやっていた人が高齢化し、お店を継ぐ後継者もいないとお店は続けられない。
・でも賃貸契約で店を貸すと、先々持ち主が再びその場所を活用したいと思っても、借主の権利も守らなければならないため、貸主側にとっては返してもらいたくても思うようにいかないというリスクも出てくる。子や孫に相続をした後のことが心配なので、貸す決断も悩むところ。
・店を続けることも貸すこともできないとシャッター店になる。
・バブルの時期の影響で丸亀町商店街の周辺は土地が高くなり人が住めなくなっている。人が住んでいる地域なら、八百屋、肉屋、日用品、洋服…など、日常生活に必要な多様な業種が商店街に入るが、近くに人が住んでおらず外部からのお客さんが中心になると、業種が偏ってしまいがち。
たとえば香川だと同じ商店街にうどん屋だらけになって過当競争になり閉店、偏った業種しかない商店街にはお客さんも足が遠のくという課題が生じる。
・お客さんが買いたいと思えるお店作りが必要
 
しかし、商店街の土地を持っているお店の人同士で話し合いをしていても、具体的なところでは折り合わないところが出てきてしまい、なかなか解決方法が見いだせないことから、商店街内の土地を所有することと、その土地を利用することを分けて考えよう、ということにしたそうです。
 
具体的には、「高松丸亀町まちづくり株式会社」を立ち上げ、そこが商店街のマネジメントをする形をとることにしたそうです。
まず、もともとお店をやっていた地権者で、店を続けるのが困難と思われる状況にある人には廃業のためのサポートをする。その上でA~G街区に分かれて商店街を作り直していくのですが、それぞれの街区で作られた共同出資会社が各店の地権者から「定期借地権」方式で60年間土地を借り上げる。地権者も「60年すれば必ず返ってくる」という安心感をもって任せられるようになるといいます。
共同出資会社は、商店街運営については「高松丸亀町まちづくり株式会社」に運営委託をします。
 
 
こうして見てみると、商店街が抱える課題は、個々の店主が後継者のことなど悩みを抱えてそれぞれに解決を図らなければならないことによって起こっている部分が多くあるといえます。
個々の課題も大事。だけどそうすると街全体の課題とは折り合いがつけられなくなり、全体の将来像を決められなくなってしまうから。丸亀町商店街の場合、まちづくりに関しては一括管理することで解決しているといえると思います。
 
例えば、商店街でゆっくり過ごせる広場やトイレがあれば、お客さんは買い物をするだけではなくてゆったりと回遊することができます。だけど、広場やトイレは直接の収益にならないものなので、必要性は分かっていても個々のお店の努力だけでは作れません。こういうものを、丸亀町商店街では商店街全体の計画の中で作っているのです。
 
また、香川でうどん屋さん、というように業種が偏ることを防ぎ、「テナントミックス」を進めるためにも、個々のお店が借主を探すよりも商店街全体でマネジメントするほうが良いということがあります。丸亀町商店街の街区ごとの特徴も作っています。
 
アーケードの天井を高くし、商店街の道を隔てた逆側の棟を橋でつないでいますので、上の階からも移動ができます。
 
(古いアーケード。今後、ここも新しい形に整備していく予定。)
 
 
(新しいアーケード。とても天井が高くて、せいせいした印象)
 
 
(新しいアーケードと古いアーケードの境目。比べてみても、新しいものはぐっと天井が高くなっていることが分かる。)
 
商店街内を橋でつなぐことは法的な制約があって難しかったものを、長期の交渉を経て実現させたと聞きました。
 
(私の背後、上方にある橋)
 
広場も、かつての商店街では「商店街の中にある道路の交差点」という位置づけだったので、イベントをすることはできませんでした。交差点でイベントをすることは警察の許可をとるのが難しいためです。そこで、交差点付近の商店がセットバックして民地を提供する形で交差点を民地が囲むことによって、広場にしたそうです。
 
(ひろびろとした広場)
 
道路にベンチなどを置くことも制約があるので、この道路もセットバックして民地を提供し、その分制約を取り払って貰ったそうです。
 
(写真にある線が道路と民地の境を示している。)
 
商店街周辺の土地が高くて人が住まなくなってしまったという問題も解決を図らないと、継続的な商店街の安定や、その地域づくりに課題が残ってしまいます。
 
高松も車社会で、ファミリー層の場合は車でお買い物などに行けたほうが良いと思う人も多いけれど、単身、高齢、障害などがある場合は車を使わず歩ける距離にお店などが集約しているほうが暮らしやすい。
そこで、商店街の中に居住棟を作り、ご高齢の方などが暮らせる街を作ろうとしているということでした。商店街の中に診療所があり、そこのお医者さんが居住棟に訪問診療に行くことができる。お医者さんにとっても近い場所を効率的に訪問できるし、居住者にとっても家にいながら必要な時は医療が受けられる安心の体制をとることができるということです。
(アーケードの上のほうに見える薄い色の建物が居住棟。住まいなので、商店街からは見えづらい作りになっているそうです。)
 
商店街そのもののみならず、地域のあり方も含めて描いた将来像を持っているというお話でした。
 
商店街の中心メンバーやまちづくりの有識者の入った検討委員会を作ってアイデアを出し合って、既存の法的な壁を乗り越える工夫をしてきたということで、規模も大きなものですし、どこの地域でも同じようにやるというのは難しいことではあると思いますが、新たなまちづくりのひとつの方策としてとても興味深い事例でした。
 
高松丸亀町商店街のホームページはこちら