高齢者虐待防止法(正式名称「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」)は2006年にできた法律で、これに基づき厚生労働省が毎年調査を行っています。(こちら

これに基づき、練馬区の対応状況を質問しました。

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(かとうぎ桜子)高齢者福祉費に関連して伺います。

厚生労働省が行った「平成23年度高齢者虐待の防止・高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査 」というものでは、都道府県、市民町村にアンケート調査をしたということだったので、練馬区としての資料をいただきました。

それによると、平成23年度、家族からの虐待に関する相談・通報件数は109件とのことです。傾向としては、厚生労働省がまとめた調査結果に近いものがあると感じましたけれども、虐待を受けた人は75歳以上の人が多く、また女性が多いということ、また、何らかの認知症の症状があるという人が多いようです。虐待をしていた人は、同居の家族が多く、最も多いのは息子、また次に多いのが夫や娘で、夫と娘は数としては同程度あるという特徴があると感じました。
区としては、この調査結果をどのように捉えているかを、まずお聞かせください。

(光が丘総合福祉事務所長)
ただいまお話のありました厚生労働省による法に基づく調査結果です。平成23年度練馬区においては、虐待と認められた事例ということで109件の件数がございました。ここ最近、数年間におきますと、毎年100件前後で推移している状況です。
虐待を受ける側の方、虐待をする側の方、家族構成等においては、大体国全体の傾向と近いところなのかと感じているところです。

お話にもございました同居のご家族のお話であったり、認知症をわずらっている方の患者さんのお話だったり、高齢者の方ご本人様のみならず、ご家族の方が抱える問題というところで、こういう事例が見受けられるということを認識しているところです。

(かとうぎ桜子)
調査結果を見て改めて感じるのは、虐待防止対策として、一つには男性の介護者への支援が必要であるという点です。今回の調査で最も多いのは、未婚の子との同居のケース、また夫婦のみの世帯も一定程度ありますけれども、家族が親子のみだったり、夫婦のみだったり、介護できる人が人数として少ないということになって、介護の負担を分担しづらい面もあるかと思います。

区は、家族の会への支援や家族介護者教室など、家族の支援もしていると思いますけれども、特に男性介護者の場合には、中には、それまで家事になれていないという方もいらっしゃるかもしれませんし、困ったときに周りの人に相談しづらいという場合もあるかと思います。
また、家族介護者の集まりに来られている方に女性が多いと、男性が参加しづらいといったこともあるかと思いますので、男性介護者には特に配慮した支援が今後必要かと思います。

今後、男性介護者向けのイベント等も始めると聞いていますけれども、多くの男性介護者にご参加いただくためにどのような取り組みを考えていらっしゃるか、お聞かせください。

(高齢社会対策課長)
今お話にありましたように、男性介護者については、なれない炊事ですとか、洗濯に戸惑ったり、あるいはストレスをため込んでしまいがち、責任感が強く、熱心に介護する余り孤立しやすいと言われているわけです。
現在、同性が多くいる介護家族会の紹介ですとか、認知症の介護家族によります相談事業などを行っているところでございますけれども、男性介護者が介護に必要な知識の習得ですとか、参加者同士の交流を図ることができるように、現在、男性を対象とした講座の実施について検討しているところです。

あわせて、講座での交流をきっかけとしまして、男性介護者で構成される介護家族の会の立ち上げについて支援を行うことについても、あわせて検討しているところです。

(かとうぎ桜子)
男性の介護者の方で、今のところ、こういった集まりに参加していない方が多いかと思いますけれども、周知の仕方についてはどのようにお考えでしょうか。

(高齢社会対策課長) 
周知については、区報やホームページへの掲載を始め、家族会の現在参加している男性介護者、それから介護活動の支援を行うボランティアの方がいらっしゃいます。そういう方への個別の周知が考えられるところですけれども、事業の実施にあわせて、周知の方法についても検討してまいりたいと考えています。

(かとうぎ桜子)
ぜひ区報などだけでは届かないところにも、個別に声をかけていただく工夫をしていっていただければと思います。
それから、先ほど来、お話している虐待の調査結果によりますと、虐待を受けていた方の約3割の方には介護保険の申請がないということです。介護を利用していれば、日常的にヘルパーなどを活用することで周りも支援しやすくなるかと思いますし、心配な状態がある場合にも見守りをすることができますけれども、何も利用されていない場合には家族内で孤立しがちになることがあるかと思います。
介護保険を申請されていなかった方々への対応はどのようにされているか、お聞かせください。

(光が丘総合福祉事務所長) 
お話にもございました介護認定を受けていない方が被虐待者として、一定の数いらっしゃいます。
まず、一般論として、区として、介護保険を適正にご利用いただく。ご家族の介護に関しましては、家族だけで抱えることなくという旨の一般的なご案内、周知、チラシの活用等というものは、すべからく行っているところです。
また、ご家族によっては、どうしてもご家族でと、例えば外部の方に入っていただくのがいかがなものかというところで、ご家族が抱え込んでしまうという事例も見受けられます。
そのような場合、私どもといたしましては、地域の方であったり、民生委員の方であったり、こういった地域の方々から情報をいただきまして、まず私ども高齢者相談センターの職員がご自宅へ伺いまして、その方々、そのご家族へアプローチをさせていただきます。

ご家族とお話をさせていただく中で、信頼関係を構築していったうえで適切な介護サービスや福祉サービス、こちらをご利用いただく。こういったところを高齢者ご本人の生活とご家族の介護負担の軽減に向けまして、関係機関とも一緒になって取り組んでいるところでございます。

(かとうぎ桜子)
介護保険をさまざまな理由で利用されない方々への支援というのは介護保険以外の見守りなどで対応していく必要も出てくるところかと思います。

それで、認知症のことも虐待の問題にかかわってくるかと思います。介護認定を受けている人の中で、虐待を受けていた人数が多かったのが要介護2~4の人、また認知症は自立度がⅠ~Ⅲという人が多いようです。
認知症の日常生活自立度というのは、Ⅰというのが「認知症の症状はあるけれども、社会的に自立している」という状態、Ⅱは「道に迷うなど日常生活には支障を来すが、誰かが注意して見ていれば自立」という状態、Ⅲは「日常生活に支障を来し、介護が必要という状態」ということです。
こうした状態の方への虐待が起こっているケースが多いと言うことは、認知症によって元気なときと比べたらコミュニケーションが困難になるということとか、ずっと見守っているということが家族にとってはとても負担が重くなってくるということなど、日常生活の中での問題が虐待につながってくるという面があるかと思います。

認知症に関して、区もさまざま取り組みをなさっていて、予防とか本人への支援という観点から啓発事業を行ってこられたかと思いますが、認知症の人本人だけではなくて、その家族をどう支えていくか、虐待防止の観点からの啓発も必要と思います。お考えをお聞かせください。

(高齢社会対策課長)
認知症介護を行っていらっしゃる家族の皆様は、ご家族の言動ですとか行動への戸惑い、それから混乱、あるいは絶望感など、肉体的にも精神的にも非常に厳しい状況に置かれているところです。
 したがいまして、介護家族の支援については、ショートステイですとかデイサービスなどの活用によりまして、介護者の負担軽減を図るというだけではなくて、介護保険制度にはないご家族の精神的な負担を軽減することにつながる支援が重要だと考えています。

現在、認知症家族の皆様による「介護何でも電話相談」を行っておりますけれども、利用者からは、介護を続けるうえで自分の気持ちを定期的に吐き出すことが必要だと感じたという声も頂戴しているところです。
今後も介護家族の勉強会、連絡会の開催のほか、新たな家族会の立ち上げについても支援するなど、虐待予防の意味も含めて、介護家族の皆様の気持ちに寄り添った形での支援を充実してまいりたいと考えてございます。

また、啓発についてもご家族も含めた状況について、現在普及啓発を図っておりますので、その取り組みを広げまして、地域における支え合いの強化につながるよう、今後も取り組みを進めてまいりたいと考えています。

(かとうぎ桜子)
虐待の問題を解決するために、みんなで支え合っていくためには、やはり虐待問題自体、社会の理解を深めていく必要があると思います。
子どもに対する虐待については、児童虐待防止推進月間に区報で特集をしたり、講演をするといった形での啓発がなされていますけれども、高齢者の虐待についても同様の啓発が必要ではないかと思います。
高齢者を取り巻く環境を知ることや介護保険だけではない福祉の活用の仕方も含めて、高齢者の虐待防止の啓発を進めていっていただきたいと思いますけれども、お考えをお聞かせください。

(光が丘総合福祉事務所長)
今までも、私どもは高齢者の生活ガイドやリーフレットなどを活用いたしまして、また認知症予防に係る講演会なども活用しながら虐待防止・認知症予防・また例えば悪質商法の被害防止と、こういった観点のところから区民の皆様に広く周知・啓発などを行わせていただきました。

また、その中で一番大切なものは虐待防止、こういった異変であったり、異常というものに気づかれた際に、できるだけ早く私ども区にご連絡をいただくこと、そして何よりもご家族だけで抱え込むことのないように、早期に高齢者相談センターへご相談いただきまして、それをご支援につなげていくというところで取り組んできたところです。

今後も、こういった高齢者の方々の生活を守るために必要な事業であったり、講演会であったり、またチラシ等も活用いたしまして、さまざまな場面や媒体などを活用していきながら周知・啓発に取り組んでいきたいと考えているところです。

(かとうぎ桜子)
ぜひ取り組みを進めていっていただければと思います。