国立大学卒トイレ清掃氏さんとのコラボ記事です!!
まずトイレ清掃氏さんの前編記事をお読みいただいてから、こちらをお読みくださいね!
↓
では!!続きです!!
「ちょっと、あんた!」
婆さんがそう声をかけると、お年寄りは目を細めて再び足を止めた。
「何よ?」
「あんた、ちょっと時間ある?」
駅の利用客だから、急いでいる可能性もある。感情を抑え、まずはそのことを確認した婆さんはやはり只者ではない。
「寿命はそんなに残っていないと思うけど、あなたと話す時間くらいはあるわよ。」
お年寄りのこの返しもなかなかである。
「じゃあ、言わせてもらうわ。あんたねぇ、親切を断るのは勝手だけど、物には言い方ってものがあるんじゃないかしら?」
「親切?その親切を受けて、大事な荷物を汚されたり、盗まれでもしたらどうするの?自分で持っているのが、一番安心じゃないの‥」
その考え方は間違えていないと思う。だが婆さんが言うように断り方というものがあるだろう。「大丈夫です」そう言えば、誰も嫌な気持ちにはならない。
「あんたが言っていることは分かるわよ。そんな風にされたことがあるなら、人を信じられなくなっても仕方がないと、同情するわ」
「ないわ!」
即答である。では、どうして?
「慎重になることも、相手を疑ってしまうこともあるわ。でも、度が過ぎて、人の優しさを素直に受け取れなくなってしまったら、それはすごく悲しいことだと思うわ。アタシは人を信じられない人は、人からも信じてもらえないと思うの。大体ね、この人に荷物を渡して何かあったら、駅員さんにでも会社にでも言えばいいじゃない?駅の清掃員だって分かっているんだから逃げようがないじゃないの‥」
「好き勝手なこと言ってるわね‥。あなたにそんなこと言われる筋合いないわ。歳を取っても、こんな所の掃除をしているなんて寂しい人生ね‥。無理をしてでも働かないと暮らせないんでしよ?もういい?満足した?電車が来るから行くわね!」
婆さんは、それ以上何も言い返さなかった。お年寄りに言われたことが事実なのか俺には分からない。だが、もしも事実であったとしても、それは寂しい人生などではないだろう。そして、どちらの人生が寂しいかと問われれば、俺はこのお年寄りの人生の方だと思う。
「かっ、会長‥、すみません‥。俺のせいで嫌な気持ちにさせてしまって‥」
「優しいわね‥。誰かが自分を手伝ってくれた時、あんたは何て言う?」
「『すみません』とか『ごめんなさい』ですかね」
「違うわ、そういう時は『ありがとう』って言うのよ。その方が言われた方も嬉しい気持ちになるの。」
「そうですけど、申し訳ないと言う気持ちは‥」
「分かってないわね‥。謝らせたいとか、悲しませたいと思って、人助けをする人なんていないのよ。面倒だったり疲れると思ったら素通りするじゃない‥。」
「たっ、確かにそうですね。また会長に格言をいただきました。ありがとうございます!」
「ガハハハハ、何十年ここで"人"を見てきたと思っているのよ。あんたもこれから勉強ね。いい大学を出ているみたいだけど、机に向かっていたら分からないことや、教科書には載っていないことがたくさんあるわよ」
「はっ、はい!勉強させていただきます!」
「じゃあ、まずトイレ清掃の復習よ!」
「あ、いや‥何か違う気が‥。」
「勉強には順番ってものがあるのよ、ガハハハハ」
こうして俺はトイレへ連行された。しっかりと磨いていないことが、バレていたのかもしれない。日々学びがあることに、どこかで自分を見てくれている人がいることに、心から感謝したい。
ありがとう!!
おかんがこのコラボ記事で感じたこと。
親切を差し出す手も、受け取る手も難しい。
「いばって見えるんじゃないか?」
「卑屈に見えるんじゃないか?」
そんな余計なことを考えているうち、親切のやりとりの機会を失ってしまう。
でも、やっぱりおかんは‥清掃氏さんのように、跳ね返されても、親切を差し出す手の持ち主でいたいです。
そして、素直な心で「ありがとう」を言える自分でありたいです。
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