701.通学は 小中高大 同じだが 背負うものには 多様性あり

 

 2023年11月、沖縄市立山内小学校はランドセル🎒以外の通学鞄を全校児童に認めるという文書📋を保護者に配布した。森山涼子校長は、「外国籍の児童も在籍しており、多様性を尊重した」と語った1

 ランドセルは、江戸末期に幕府が洋式軍隊制度を導入する際、将兵の携行物としてオランダの背嚢(バックパック)を導入したのが始まりで、「ransel」(ランセル)がなまって「ランドセル」になったとされる2

 明治になると、学習院初等科が通学鞄を利用し始めた。その後富裕層の子女は革製の鞄を使ったが、庶民の子は風呂敷などで学用品を持ち運んだ。ランドセルが全国に普及したのは1960年代半ばに人工皮革が登場した頃からだと言われている2

 ランドセルを推奨する法令や国の指針はないが、2023年の平均購入価格は58,524円で全国の小学生が使っている1。体格がひ弱な1年生が背負うと四角い怪獣が襲っているようにも見えるが、高学年になると背中のアクセントになる。

 2024年2月末、那覇市教育委員会も市内全36校に同様の通知を出した。今まで留意したことはなかったが、この措置は多様性云々ではなく、児童にとっても親にとっても合理的だと思う。バックパック(0.7㎏前後)なら両手が使えるし、合成皮革や革製品(1.5㎏前後)よりも軽い。ランドセルが6年間の耐久性を保障しても子供の成長には対応できない。

 因みにドイツやオランダでは通学鞄を利用するが素材は質素で軽いらしい2

 さて、中学や高校になると殆どの学校に制服がある。公正取引委員会の2017年の調査によると、制服を指定している中学校は98.4%。経済学者のロバート・H・フランクは「制服着用の義務化は、生徒達が自分自身を表現する能力を制限することになるが、着る服を競い合うという金銭的感情的な負担を減らすことができる」と指摘する3

 一方、米国の公立学校には制服がないけれども、露出度が多い服装やドラッグや差別的な言葉や政治的な意図のあるTシャツ👕などは禁止されている4

 いじめ問題との絡みがあるので中高での制服着用の慣習はもう少し多様性議論が進まないと変らないだろう。制服には学校の格を上げる意図もあるようだが、大学に制服はない。

 

[出典1 2024年3月13日付け産経新聞『沖縄考』基地問題より子供の貧困対策 那覇支局長 大竹直樹]

[出典2  https://ja.wikipedia.org>wiki>

ランドセル - Wikipedia(参照 2024-3-14)]

[出典3  https://ja.wikipedia.org › wiki ›

制服 Wikipedia(参照 2024-3-14)]

[出典4  https://kikokusei-mikata.com>

アメリカの教育制度を解説!気になる日本との違いや学校の ...お役立ちコラム(参照 2024-3-14)]