昨日(3月24日)の衆議院財務金融委員会で世界銀行グループのIFC(国際金融公社)とIDA(国際開発公社)への増資について質疑を行いました。主計局長の審議拒否により、開会が遅れたのでバタバタしてしまいましたが、15分という短い持ち時間を有効活用して3点質問しました。

 




 まず、新型コロナ・ショックで、世界の金融市場が大混乱です。日本銀行は、これまで上場投資信託ETF(Exchange Traded Funds)と不動産投資信託J-REIT(Real Estate Investment Trust)に多額の資金を投入して買い支えてきました。株式投資や不動産投資は、中央銀行のやることではない、中央銀行がそのような投資を行うことで、いざというときに中央銀行の財務基盤が損なわれて身動きが取れなくなり大問題、という指摘をしてきました。また、昨年4月17日の財務金融委員会では、「昭和恐慌は昭和2年、平成のバブル崩壊は平成2年、そうなると令和2年が心配だ」と指摘し、官製バブルのリスクを指摘しました。残念ながら、その懸念が的中してしました。

 そこで、日本銀行の黒田総裁に、先週の終値でETFとJ-REITの含み損はいくらか?と質しました。黒田総裁の答弁では、ETFで2~3兆円程度、J-REITで2千億円程度とのこと。しかし、2週間前の黒田総裁と前田理事の答弁では、ETF損益分岐点が日経平均株価で19,500円程度、さらに前田理事は4兆円の含み損が発生するのはそこから2,500~3,000円下がったところと答弁していたので、先週の終値(3月19日終値)の1万6,500円では4兆円程度の含み損が発生している計算です。そこを再度質しましたが、明確な答弁はえられませんでした。

 ともかく、巨額の含み損が発生しており、さらに株価などが下落すれば、日本銀行自体が債務超過に陥るリスクがあります。債務超過の解消方法として、増資という方法がありますが、増資を検討するか?と質したところ、明確な答弁はありませんでしたが、否定もしませんでした。

 黒田総裁は、かつてアジア開発銀行総裁のときには10兆円規模の増資をとりまとめた実績があります。これはアジアの旺盛な開発の資金需要に応えるための前向きな増資でしたが、今回の日本銀行の増資ということになれば株式投資の失敗の後始末ということになります。

 

 2点目として、今回のIFC・IDAを含め国際機関に対して、日本はこれまで議決権を伴う出資金だけでなく、議決権を伴わない拠出金も大量に拠出してきました。資料を示しつつ、「これほどの多額の貢献に対比して、日本の声が国際金融機関に反映できていない」「国際機関の上層部が『日本人職員を増やす』と言っても、採用の権限があるのは現場の局長や課長などの管理職で、そこでは『日本人は英語が下手だ』などと難癖をつけて、採用しない傾向にある。現場の管理職にダイレクトに響くように働きかけるべき」と意見を申し上げました。

 なお、時間がなかったので、答弁を求めませんでした(麻生大臣の答弁は長いので)。

 

 3点目として、開発金融機関の役割について質しました。開発金融機関には、世界銀行グループ(国際復興開発銀行:IBRD、国際開発協会:IDA、国際金融公社:IFC、多数国間投資保証機関:MIGA)の他に、アジア開発銀行:IDA、欧州復興開発銀行:EBRD、米州開発銀行:IDB、アフリカ開発銀行:AfDBがあります。

 以前には、開発途上国の旺盛な資金需要に応えるためには、民間資金が主役という議論がありました。しかし、現在は、新型コロナウイルス感染症拡大により、世界経済がダメージを受けています。このような危機になると、民間資金は、止まってしまう、更には引き上げてしまうこともあります。危機的状況にあって経済を安定させるには、公的な開発金融機関の役割が重要です。

 日本銀行の黒田総裁は、アジア通貨危機のときには大蔵省国際金融局長・財務官として対応しました。リーマンショックのときにはアジア開発銀行総裁として対応しました。現在は、日本銀行総裁として世界の中央銀行や、開発金融機関と連携して、世界の金融を安定化させる立場です。そうした経験を踏まえて、黒田総裁に、経済危機における開発金融機関の役割について質しました。

 開発金融機関は、平時においてはプロジェクトに対する融資を行って、経済開発と貧困削減を支援しているが、経済危機においては、さらに外貨資金繰りを支えるような融資を行うなど経済と金融の安定化の支援も行っている、との説明がありました。

 日本の経済が厳しいときに、国際機関への資金拠出なのか、という声があるかもしれませんが、世界経済が安定してこその日本経済であるので、そうした意義を改めて確認しました。