iloveyou 祥伝社の創立35周年記念として特別出版されたアンソロジー。
人気の男性作家・6名が描く恋愛作品集。


1作目として収録されている『透明ポーラーベアー』は伊坂幸太郎の作品。
八月、主人公・優樹は遠距離恋愛目前で微妙な空気が漂っている恋人・千穂と動物園に行った。
そこで偶然、富樫さんを見かけた。
富樫さんは姉の最後の恋人だった人で、優樹が姉の歴代の恋人の中で最も気に入っていた人だった。
富樫さんの横には芽衣子さんという女性が寄り添っていて、時の流れを感じる優樹。
自由奔放だった姉。
姉は失恋する度に度に出る癖があった。
それは中学生の頃からで、両親も優樹も飽きれていた。
そして例に漏れず富樫さんと別れた時も、旅に出た。
それが、姉との永遠の別れになるとは誰も思わなかった。
シロクマが好きな姉は、カナダを一周してシロクマを見たら帰ってくるなんて言って出かけたっきり、戻らない。
富樫さんもそのことを知っていた。
そして今、お互いが恋人を連れてシロクマを見ていた。
不思議な縁・運命ではないかと思う瞬間を描く作品。


他にも何十年も同級生として過ごした男女の関係に変化が生じる様を描く、石田衣良の『魔法のボタン』など、恋愛小説として楽しめる作品が続く。
男性作家はあまり手にしない私なので、こういったアンソロジーで新しい作家を知っていく。
今回の作品で伊坂幸太郎をもっと読んでみたいと思うようになった。
また逆に、避けていて正解だったと思う作家も含まれていて、今後の本選びの参考になるアンソロジーだった


<祥伝社 2005年>


伊坂 幸太郎, 石田 衣良, 市川 拓司, 中田 永一, 中村 航, 本多 孝好
I love you