午後9時・百腕巨人の門番
何事も初めてというものはドキドキします。
驚いたり、緊張したり、恐かったり、動揺したり、青ざめたり。
本日それをいっぺんに味わいました。
初めての検問です
工事中だと思ったんです。工事中のライトかな?と思ったんです。なので徐行では行きました。本当です。
対向車の狂おしいまでのパッシングもガン無視で(せっかく親切に教えてくれたというのに・・・)
流れるようなスムーズな運転で堂々と検問所に乗り込みましたからね。
素早く前方に立ちふさがる警官2、3名。若干緊迫したムードがフロントガラス越しに伝わってきます。
ちょっとこれは、工事中とは大分様子が違うぞ……?と青ざめかかった時、勢いよく叩かれる助手席側窓。
ものすごく動揺しました。なにこれなに、私なにかしたのか…!!?
怯えながら半分窓を下ろすなり
「ちょっと!!この反射板見えないの!?急いでるの!?寝てるの!!??」
ものすごく怒られました。
初対面でいきなり怒られるなんて…とポカンとしてしまったんですが、すぐに気を取り直しました。
そりゃそうだあやうく検問突破で公務執行妨害だ。 (私を)止めてくれて良かった…
そして免許証見せて、って初めて言われました。
免許証といえばつい最近更新したばかりの、顔が真っ赤で恥ずかしいブツなんですが、
初めての体験で動揺していた為「あっハイ、えーと免許証、免許証…」(ひとりごとを呟きつつ)…
こういう時のバッグって軽く四次元空間ですよね。あんなに狭いのに欲しいものが見つからないなんて…!
探すのにえらい時間かかりました。立派な不審者。
おまけに小市民なので免許証の写真が真っ赤な顔だなんて…飲酒運転と間違われないだろうか…と妙に緊張しました。
いくらなんでも動揺しすぎだ。
「えーと新町さん?仕事の帰りですか?職業は?会社の場所は?遅くまで大変だねえご苦労様じゃあ免許証返しますねくれぐれも安全運転でお願いしますよ」
「そ」 (まだ何も言ってない)
何ひとつしゃべらせて貰えませんでした。しゃべるの早すぎる。
包み隠さず答える気でいたのに…!じゃあなんで聞いたの…!?
強引に引きとめたくせに、こんなにあっさり……
あんな人の腕にもう二度と飛び込んだりしない、と呟きながらも、この胸の切ない疼きは…一体なに?…
夜道をドライビンしながらどうせならそう、そうですね。桜木さん。
ロメロマで警官が出来るのは彼しかいない。桜木憲一郎スターリング警察官が良し。
紳の、ちょっとチャラい感じのイケイケメンメン警官も捨てがたいですが、やっぱりここは手堅く桜木氏で。
白ヘルメットにごっつい装備の警察制服姿で暗闇(※道路)に誘導されたかったです。そして厳しく諌められたい。
おっとそんなに言うと免許証以外のものも出しちゃうぞーみたいな。
もしくは白バイ警官なんてのもいいですね。スリップストリームされて路肩に止めるように言われたい。
「…色々やってますね。次でもう免停かな?」
いかめしい面構え・厳しい口調だけど最後だけあえて若干くだけた、可愛らしく言って貰いたいです。
今度は私が白バイの後をスリップストリーム。
真面目にやれよと言われそうですが、なにもですね、私は本気でいつもこんなことを思っているわけではありません。
超・本気です。