29歳の結婚
バルセロナにきて2〜3年目の頃、
私は、語学学校を変えながら、上級クラスを受講していました。
これまで幾つかのクラスにいましたが、
そこは今までになくクラスメイトみんなが仲良くなり、
よく遊ぶようになっていました。
そのクラスのある授業でペアを組んだのが、
のちに結婚したアイルランド人の彼でした。
とても優しい性格で穏やか
本が好きで小説家になりたいという夢がある彼でした。
3年バルセロナに過ごして、私は27歳になった頃でした。
語学学校で学ぶこともそろそろ終わりだなと感じていたとき、
現地で働きたいという気持ちがありながら、
就労ビザの取得は難しく、
日本へ帰ることにしました。
彼も日本へ来ることになりました。
彼は教員免許を持っていたので、日本で英語の先生として働けました。
日本で一緒に暮らしていましたが、
スペインと日本の生活環境の違いが激しく
彼とは喧嘩が増えました。
と言っても怒っているのは私です。
一方的に私がいつも怒っているような感じでした。
私は東京生まれ東京育ち
日本に帰って来ればそのペースで暮らします。
しかし彼はのんびりとした羊の国アイルランドで生まれそこで育っています。
私はイライラが募っていました。
私の考えと彼の考えは違うのです。
それをどうにか合わせたくて、
そして私の考えを理解してほしいという気持ちが強くて
それでも分かり合えないのでイライラしていました。
それでも『別れる』というところまで何かがあるわけでもなく、
日々過ごしていました。
私はもうすぐ30歳になるし、
このままだと彼と結婚するんだろうな、という漠然したものがあり、
ある日、私からプロポーズしました。
彼は喜んで受けてくれました。
しかし、そんな気持ちではもちろんうまく行きません。
彼の方も私が結婚しようというので、同意しただけで
きっと私と結婚したいという意思が強くあったわけではなかったと思います。
いざ結婚しようと、準備を始めても
行動するのは私ばかり、
彼はずっと受け身でした。
それについても私は腹を立ててました。
しかし私は
決めたこと、結婚するんだ、と。
頭の中ではわかっているんですけどね、
でも気持ちはもう戻れない。
そのまま結婚しました。
婚姻届を出し、翌週から新婚旅行で
スペイン〜モロッコ〜パリへ行こうという計画でした。
婚姻届を出して数日したある夜、
彼に1本の電話がかかってきました。
電話の向こうの声は女性でした。
別に何かを疑っていたわけではありませんでしたが、
何気なく「誰から?」と聞くと
彼は「職場の同僚の男性から」と答えたのです。
あれ?
女性からだったのに嘘ついたな、と思いました。
私はそこでは何も言わず、
少しして、彼にメールで聞きました。
同じ家に居たんですけどね。笑
「なんで嘘つくの?」と。
すると彼はすぐ私のところへ来て話し始めました。
同じ職場のオーストラリア人?かニュージーランド人?の女の子で、
彼に好意を寄せていること。
そしてちょっと精神的に不安定な部分があること。
私はそれを聞いて、
「ちゃんと彼女に説明してほしい、私たちは結婚してて、これから旅行に行くんだよ?」
「こんな気持ちで旅行できないよ」と伝えました。
すると彼は「わかった、ちゃんと(向こうに)話す。」というので
その日はそこで終わりました。
そして、その後
彼に彼女に説明したのか聞いてみると、
彼は、驚くべきことを私に言いました。
続く....