《水六訓》

1.水は尊し

2.水は美し

3.水は清し

4.水は強し

5.水は恐し

6.水は深し

 

《格言水五題》

1.自ら活動して他を働かしむるは水なり

2.常に自ら進路を求めて止まざるは水なり

3.自ら清くして他の汚水を洗い清濁併せ容るるの量あるは水なり

4.障害に逢い激しくその勢力を百倍するは水なり

5.洋々として大洋を充たし、
 発して蒸気となり雲となり雪と変し霰と化し凝っては
 玲瓏(れいろう)たる鏡となる、
 而(しか)もその性を失わざるは水なり

 

  
 

水の神様として知られる貴船神社。
境内の手水舎には「水は恐ろし水は尊し」の言葉が。

古い書物に「鬼の国」とも記されている貴船は、
夜参りの風習「丑(うし)の刻参り」ゆかりの地でもある。



水と鬼とはいったいどんな関係が?

案内人の佐々木教授によれば、
都を魔物から守るために、水辺の武士が存在していたという。


堀川通り一条戻橋で、鬼と戦った武士・渡辺綱。
その伝説の名刀「鬼切丸」にも遭遇!鬼の正体とは?

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鬼は姿が見えないことから「隠(おぬ)」と呼ばれ、
その言葉がなまって伝わり、
「オニ」になったといわれています。


ところが、京都では鬼がたびたび人前に現れ、
事件を起こしているのです。


鬼門を封じたはずの都に、
どこから鬼はやって来るのでしょうか。


京の北に位置する貴船(きぶね)には、
かつて鬼の国があったとか。


水流に乗って都に出没する鬼とは!? 
 

* * *

 

貴船神社は賀茂川の水源地の1つにあたっています。
水の神様であるタカオカミが祀られ、
平安時代初期には朝廷が雨乞いをするところでもありました。


その一方で、

賀茂川流域一帯を支配する土地の神(地主神)
としての性格も持っていました。



つまり、平安京がつくられる前から鎮座していた
神でもあったのです。

それだけに、新しい都が造営され、
朝廷の権威によって荒振(あらぶ)る
力を押さえ込まれてしまった神は、
慎重に扱わないと祟(たた)りを起こす
と思われていたようです。

 

支配地の都を
奪い返すことをもくろんでいたのでしょうか、


先住民の水の神は、
貴船から水路を伝って都を目指し、
一条戻橋の下に渦巻く水流から、
平安京へと躍り出ていたのです。

 

大正(たいしょう)期までの京都の伝承を集めた
『京都民俗志(きょうとみんぞくし)』に、
貴船にまつわる鬼の話が書かれています。

 

都に鬼が出現して困っていたところ、
鬼同士の会話を聞いた人がいました。

その話によると、

鬼たちは貴船の奥にある谷に棲(す)んでいて、
地下道を通って深泥池(みどろがいけ)の湖畔まで行き、
そこから地上に這い上がって都に現れるというのです。


地下道とありますが、
もしかしたら地下水路のことかもしれません。

 

そこで、
鬼の最も嫌う豆を
鬼が出てくる穴に投げてふさいだところ、
鬼が出没しなくなりました。


それから京都では毎年節分にいり豆を
同所に捨てに行く習慣が生まれ、
その場所を豆塚と呼びました。


この風習は現在は廃れてしまいましたが、
鬼たちを鎮めるために祭りを行ったのが、
貴船神社だったともいわれています。

 

■『NHK趣味どきっ! 京都・江戸 魔界めぐり』より