『ミシュランガイド東京2023』にて1つ星及びグリーンスターを獲得しているイノベーティブイタリアンレストラン『FARO(ファロ)』。銀座資生堂パーラーの10階に位置し「FARO=灯台」を意味するそのレストランは、イタリアで2つのレストランに星をもたらした能田耕太郎氏のもと、「新しい食文化を照らし出すガストロノミー」に挑戦・発信しています。
イタリアンをベースにイノベーティブな料理を発信する能田氏が、もう一つの料理の軸としているのが"ヴィーガン"。“心豊かに楽しく暮らしながら、地球や社会の美しさも守る”取り組みは、日本におけるジャパニーズヴィーガンの聖地ともコラボレーション。2021年に高野山を皮切りに始まった祈りの聖地と『FARO(ファロ)』のコラボレーション企画としてスタートし、2023年1月5日(木)~2月28日(火)の期間限定で第4弾 世界文化遺産“日本仏教の母山” 『比叡山延暦寺』を展開中です。まずはイタリアの映像チームが作ったムービーを見てから食事がスタートしました。
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先日能田耕太郎シェフは著書『ヴィーガン・ガストロノミー』を発行したばかり。
▼能田耕太郎シェフ著『ヴィーガン・ガストロノミー』▼
能田シェフをはじめとするチームファロは現地へと何度も足を運び、それぞれが『比叡山延暦寺』で作られる精進料理であるジャパニーズヴィーガンを体験しリアルに感じてきました。私は今回のファロの訪問で、“薬師御膳”と言われるその料理をチームファロのクリエーションで表現したコース「SHOJIN」をいただいてまいりました。新潟のササゲ工業の「海に浮かぶ月」のショープレートが迎えてくれました。ファロでは、料理や食材はもちろん全国の素晴らしい匠の器やカトラリーを使っています。
沖縄ティーファクトリーの紅茶を使ったティーペアリングで食事をいただきました。紅茶のもつタンニンは食事に必要不可欠。FAROではお酒が飲めない方でも料理を美味しくする巧みなマリアージュが楽しめます。サンセットヌーボーからスタート。
滋賀野菜のチップスと精進出汁
アミューズブーシュはスープと野菜のチップスでした。流派ごとにとり方があるという精進出汁にハーブオイルを少し使ったスープは、昆布、干し椎茸、炒り大豆などを使ったというクリアながら幾重にも味の重なるスープで体をほぐしていきます。スパイスを加えた胡麻には、滋賀県産の菊芋、さつまいも、ビーツ、多賀にんじんなどを添えて。精進というと胡麻が思い出される私ですが、コリアンダーやクミンが加わり、罪悪感のないスナックに。体の浄化は自然で。そんなクリーンな気分になったスタートです。
湯葉といぶき大根のミルフィーユ
今回ファロのSHOJINは、精進料理と滋賀の食材の融合をテーマに料理を作られていました。精進料理の代表的な食材でもある湯葉と伊吹山の麓で古くから栽培されてきた伝統野菜である伊吹大根をミフィーユ状にしています。最後はバルサミコ酢のソースを。バルサミコ酢の甘味だけでな層の間に忍ばせたヴェルガモットの砂糖漬けでアクセント。
上から見ても美しいのです。
焼きたてのパンとオリーブオイル
二種の胡麻豆腐
精進料理の代表的なメニューとも言える胡麻豆腐は2種登場しました。
揚げた胡麻豆腐と合わせたのはマッシュルームの出汁に葛粉でとろみをつけて。マッシュルームの滋味深いちょっと地味になりそうな味わいは、レモングラスのハーブオイルの爽やかさとピリッとした辛味のアクセント♪
こちらはにんじんとアーモンドを使いごま豆腐風に仕上げています。単調にならないよう、トマトやりんごの爽やかな味わいを纏わせて。
ティーペアリングは、バルサミコ酢の酸にアッサムを。
レモンに合わせて同じ柑橘のアールグレーを合わせていました。
いぶき蕎麦のパスタと舞茸のフリット
米原で古くから食べられていた在来種伊吹そばを7割ほど使用しタリアテッレにしていました。うるい、こごみ、タラの芽を合わせ春の息吹が感じられます。イタリアンパセリのソースでしっかりイタリアンに仕上げ、ここに米粉で揚げた舞茸のフリットを合わせています。舞茸は揚げる前に、65度のオープンで10時間かけて火を入れ、しっかり旨味を引き出しているので蕎麦粉に負けない味わいに。どっしりとした味わいとイキイキととした下萌えのような春の息吹のワクワク感じる料理になっていました。蕎麦粉の香ばしい香りに合わせ、キームンのペアリング。
精進蒲焼のリゾット
精進料理で昔から取り入れている工夫と遊び心満載の精進鰻が登場しました。延暦寺に伝わるレシピである、蓮根、ごぼう、豆腐のペーストを固めて鰻に。そしてお坊さんの遊び心の賜物で、下にはなんと海苔が敷いてあるんですよ。鰻の皮を海苔で見立てているんですね。鰻がないなら豆腐に海苔を合わせて食べよ。そんな名言が響いてきそうな蒲焼もどきはメイプルシロップと野菜醤油で甘じょぱく作ったソースを纏わせて。もちろん山椒も合わせて食欲が湧いてくる香りが漂います。リゾットはアルデンテ。柑橘やハーブで山椒との相性も抜群です。蒲焼もどきは更なる進化を遂げ、ガストロノミーへの昇華しました。ティーペアリングはヌワラエリアにほんの少しの砂糖を加えてほのかに甘く、甘じょっぱいタレとも良くあっていました。
赤蒟蒻と野菜のパイ包み焼き
美しいパイが出てきました。これを見て、ミートパイ、スイーツ好きだとアップルパイ?と思う方も多いかもしれませんね。
カットしている時からサクサクであることが伝わってきます。
いかにサクサクか。動画を見ればわかります。サクサクな音を感じてください。
中からはミートローフが入っていたんだ・・・と思うような色合いですが、野菜の旨味たっぷりの近江八幡市の名産である赤こんにゃくを使った断面が登場しました。ほうれん草のグリーンがこれまた美しいですね♪熱々でいただきました。
ここに合わせたのはビーツのソースを合わせれば立派なパイ包になりますよね。サクサクのパイは、バターのリッチな風味が劣る分、むしろさっぱりしていて食べやすい。ビーツのソースは野菜の旨味を閉じ込めたソースでかなりしっかりした味わいでした。
ゆりかご水田米の恵み
まさに命がつなぐお米「魚のゆりかご水田米」。琵琶湖から田んぼに遡上してきた魚が、産卵し、魚の子供が育ち繁殖した水田で栽培されたお米です。水産動植物(魚類、甲殻類)に影響を及ぼすとされている除草剤も使われおらず、すくすくと魚が育ちそこで育ったお米を使ったドルチェです。アイスクリーム、ムース、レモンと合わせたソース。餅、酒などのお米由来の食材を使い優しい味わいのドルチェに。
私にはこれが琵琶湖から水田に流てきた魚、そして
そしてそこで実った米。透明なゼリーが卵もしくは稚魚に。そんな目の前に米が育つ風景を感じる美しいデザートとなっていました。
日本の里山 花のタルト
ファロではこれが小菓子なんですよ。信じられません。季節のエディブルフラワーを使い、中にはクリームが詰められています。今回はメイプルのクリームだったのですが、またまたこれが美味しくて。ちょっとキャラメルのようになり美味しかった。
最後の紅茶は、国際味覚審査機構が開催する審査会で国際味覚賞2つ星を獲得した沖縄で作られた茶葉で作られた「月夜のかほり」。多分2021年の茶葉は『FARO』でしか飲めません。20年近くの歳月をかけて、農薬や除草剤を使用せず、水や堆肥も極力避けて自然の作るバランスを信じ育てた大切な茶畑から摘んだ新芽で作った紅茶で、ほぼ手に入りません。秋頃にまた予約を受け付けるんじゃないかと思いますがかなりレアなお茶。紅茶や中国茶のような要素を持ち香り高くしっかりした旨味があります。私も予約しなくちゃ♡
能田耕太郎シェフは著書『ヴィーガン・ガストロノミー』。能田シェフの考える11の構成要素が託された書籍になっています。レシピも惜しみなく公開。
アブダビの料理コンクールで優勝したヴィーガンバスタや
四季のヴィーガンコースの内容を公開しています。これは貴重すぎ。美しい写真ととももに日本語・英語で綴られています。
私も購入したのでサインをいただきました♡
ヴィーガンに興味のある方は確実に買った方がいいと思います。
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【ファロ関連記事】
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