人には恒常性という性質がある。


いや、性質というより、機能といった方が良いのかもしれない。


恒常性、あまり聞き慣れない言葉。


どんな機能なのか簡単にいうと、生命を維持する機能。


例えば、人は、意識することなく体温を36度前後に保っている。


体温が上がれば汗をかくなどして、身体の熱を下げ、体温が下がれば手をこすったり足踏みしたりして身体の熱を上げ、36度前後の体温を維持しようとする。


ある程度下がれば上がるように仕向け、ある程度上がると下がるように仕向けることを、恒常性というんよね。


ある一定の範囲内で上下している。


この範囲内というのは、人によって異なるが…


何にせよ、誰もが、恒常性という機能を備えている。


ただ、これは、体温に限ることではない。


自分が身を置く環境にも言い表すことができる。


なんたって、自分が身を置く環境においても、無意識の内に最低ラインと最高ラインを設定しているから。


最低ラインに近づくと、このままではいけないと思い、力を入れて上を目指す。


最高ラインに近づくと、ラインを超えないように力がはたらき、ラインを超えないような行動を選択してしまう。


無意識の内に。


この恒常性という機能が、変化を妨げる要因の一つになっている。


人は、ある一定の範囲内にいることを好む。


だって、その方が楽じゃしね。


勝手が分かる環境の方が、新たに何かする必要がなく、ノビノビやれる。


しかも、今まで安心して暮らせていたがゆえに、同じように生きた方が安心を得られると、思い込んでいる。


よって、今いる環境にいようとする力が働き、望むような変化が伴わなかったりする。


変わりたいという意思があったとしても…


その意思の強さが、今に留まろうとする恒常性の力に勝たない限り、いつまで経っても、変化なんてできやしない。


そして、変化ができない人の傾向として、今までの人生の中で、多くのしがらみを抱えている。


そのしがらみが、自分を留める強力なブレーキとなり、変化とは程遠い生活を送ることになってしまう。


どんなに、変化を望んだところで…


ただ、恒常性の力がはたらきつつも、自分を変えていく必要があるんよね。


特に、人生の節目に差しかかっている場合は…


では、恒常性の力がはたらいている中で、どうしたら、恒常性の力に打ち勝って変化することができるのか。


それは、自分の中にあるしがらみを一つずつ手放していくこと。


しがらみを手放せば手放すほど、自分を留めるブレーキの力が弱まり、変化しやすくなる、前に進みやすくなる。行動しやすくなる。


だが、しがらみは、今までの生き方に大きく影響しているため、人によって量は大きく異なる。


一人で取り除く場合、ある人は、たくさんありすぎて取り除くのに、膨大な時間がかかる人もいる。


中には、しがらみがほとんどなくて、アッサリと、かつ、すぐに取り除くことができる人もいる。


両者の差は、両親からの愛情を実感できているかどうか。


心に深い傷を負ったことがあるかどうか。


といったことに大きな影響を受けている。


ゆえに、一人で、自分のしがらみを取り除く場合、自分と向き合い続ける必要がある上に、時には、封印していた過去にも向き会う必要がある。


変化するのに、期限が設けられていないのであれば、一人で自分と向き合い続けるのも良いだろう。


きっと、向き会い続けることで、大きく成長することができるから。


そして、自分一人で乗り越えた時には、この経験を人に伝えることもできる。


なんせ、どうやって乗り越えたかは、人が欲する価値のある情報だから。


ただ、就活を始める人といった、変化する上で期限がある人は、自分一人で、恒常性の力がはたらいている中、しがらみを取り除いていくことで、変化を求めない方が良い。


もちろん、一人でやって上手くいく人もいるが、上手くいかなかった場合のことを考えるとあまりにもリスクが大きい。


だからこそ、変化することにおいて期限が設けられている人は、誰かの協力を得ることをお薦めする。


自分一人では、設定された最高ラインを突破するのをためらってしまうことは多いが、誰かに背中を押してもらえば、案外、簡単にラインを超えることができるもの。


何も、自分一人で乗り越えなければいけないものではない。


新たな行動をする上で、誰かの協力を得ることは、社会では常套手段なんやで。


その証拠に、優れた経営者ほど、側に相談できる人を置いている。


人は弱く、自分一人でやろうと思っても、ためらってやれないことは多い。


もし、皆が皆自分一人でやれるのなら、行動に移せるのなら、「自分を変えたい」「変化をしたい」と悩む人なんて世の中からいなくなる。


でも、実際はそうではない。


ゆえに、意固地になって、自分一人で変化を求めなくても良い。


人に助けを求め、協力を得たら良い。


その方が、確実性が増すから。


身近に協力してもらえる人がいるなら、勇気を出してお願いしてみたら良い。


たとえ、断られたとしても、何のリスクも負う必要はないんやから。


試す価値はある。


仮に、身近に協力してもらえる人がいないなら、お金を出して、協力してもらえる人を得たら良い。


世の中は広く、自分が抱いている不安を、解決することを目的として商売をしている人はいるものだから。


探せば、きっと見つかる。


ただし、頼むなら、自分なりの基準を設けること。


真剣にやっている人もいれば、そうでもない人もいるから。


選ぶ際には、要注意。


それさえ解決すれば、不安は和らぎ、変化する環境は整っていくだろう。


そして、少しずつでも自分が変わっていけば、望む結果は、結構、得られるもの。


不思議だが、そうなっている。


大切なのは、恒常性がはたらいている中で、変化をしていくこと。


これを意識して工夫しなよ。


その工夫が、実際に、変化につながっていくから。


案外、そんなものなんやで。



サコヤンの独り言

「恒常性がはたらいていることを自覚しなよ」