私にはその当時・・・


お付き合いをしている彼が

他に、いました・・・


ただ・・・

その人には妻子がいます。


つまり「不倫」です・・・

 

その人は、

彼と正反対のタイプ・・・


穏やかで、

しかも包容力が有り

そして、

何より、私には優しい人でした。


その人のことは、

確かに好きでしたが、

ただ、

その人の奥さんから奪ってまで

「結ばれたい」という

強い想いはなく、

それよりも、

「早く、別れなければ、

   婚期も出産期も逃すので、

   この関係を、

   解消しないといけない・・・」

という想いの方が

遥かに優っていたと思います。


なので、

「そろそろ・・・

   結婚相手に巡り会わないと

   いき遅れるかも・・・」

と、私は、

よく頭の中で呟いていました。

 

四十歳近くなる私の年齢は、

世間からみると、

「結婚適齢期を

   上回った年齢に値する」

と、肌で感じる事も多くなり、

結婚に対して焦り始めていました。


「もっと早い時期に・・・

   その結婚を

   意識してさえしていれば、

   違う人生を歩んでいたのかも?

   知れないのにな・・・」


そんな考えも浮かんできますが、

時間はもう戻りません。


ただ、

言い訳がましくいえば、

彼と離婚した後の十年近く、

「仕事が全て」という

心情でしたので、

「結婚」という二文字が

頭に浮かぶことさえ、

なかったのは事実です。

 

しかし・・・

ふと、我に返ると、

一人だけ結婚していない状況・・・

仲の良かった友人達は、

私以外、全員子育てに奮闘中。


少しだけの寂しさや

少しだけの羨ましさが

増していることは、

私自身も認めていました。

まして、

土・日・祝日に

家電量販店の携帯コーナーに

来場される仲の良い夫婦や

家族連れを目にしていると

余計にそれを、

意識してしまいます。

 

そんな

「結婚したい」という

私の欲が目覚め始めた頃の出来事です。

 

この間の、

彼から電話があって以降、

私は彼のことを

想い出すことが増えていました。

しかも、

彼と結婚していた頃の

「僅かな」良い想い出ばかりが

頭の中を巡り、

彼への「怒り」が「懐かしさ」へと

変化している心の中の様子も

気付き始めています。


そして・・・

「電話くらい・・・

   話しくらいしてあげても

   良かったかもね・・・」


・・・と

そんな風に彼に対して想ってもいました。


それは・・・

時が解決したのか・・・

私は・・・

彼のことを・・・

許していたのでしょうか・・・


何故だか分からないのですが、

彼のことが気になります。

 

そして、

平成十九年六月中旬近くの頃・・・

 

「ずっとお前のことが

   好きだったんだ・・・」

 

私は飛び起きました。


彼から告白される夢を見たのです!

 

「何で・・・また? 

   あの人の夢?・・・

   どうして? ・・・

   何故?

   彼の夢を見たのだろう・・・」

 

こうやって・・・


彼は時々・・・

私の夢に出てきます。


私は彼の夢を見てしまいます。

 

「これは、

   何を意味しているのだろうか?

   彼に・・・

   逢ってみようかな・・・」

 

と、不意に

そんなことを想ってしまうのでした。

 

その夢を見た日・・・

私は、

彼からの着信履歴を

見つめています。


今朝の夢が気になって

仕方有りません。

 

以前の私なら、

彼の電話番号など

彼に関するものは、

一切残さずに捨ててしまうか、

若しくは

消してしまうのですが・・・


何故だか履歴は残したまま・・・


それを見つめています・・・

 

そして・・・


私は、

彼からの着信履歴の

携帯画面を見つめ、

発信ボタンを押してしまいました。

 

ただ、

彼も仕事中だと思われる

時間帯の為、

必ず電話に出るとは限りません。


ですが、止める事も出来ません。

 

発信ベル音が耳元で聞こえてきます。


私は少し鼓動が高まります・・・

 

六回ほど発信ベル音を鳴らし、

私は、

諦めて電話を切ろうとしました。


・・・と、その時、


彼は、

電話に出てくれました。


「もしもし?・・・」


彼の懐かしい声が聞こえてきます。

 

「仕事中にゴメンね・・・

   誰だか分かる?」と私。


「分かるよ・・」と彼。


「今、話せる?」と私。


「うん。大丈夫」と彼。

 

そんな風に

会話が始まりました・・・

 

私も、

何気ない話をするつもりで

電話をしたのですが、

正直いって、

何を話せば良いのか、

頭の中の整理は

ついていませんでした。


そのせいか、

話が噛み合わず、

また、私は私で

「せっかく電話して

あげているのに・・・」と、

上から目線のまま

話しを続けています。

 

彼は彼で、

その私の話し方や

その話しの内容が

気に入らなかったのか、

イライラし、

私に喧嘩腰で突っ掛ってきます。

 

そして彼は、

「そんなに、俺のことを

   恨んで生きていて楽しい?

   一生・・・

   俺のことを憎むの?」

と言い放します。


 私はその台詞を聞いた途端、

頭に血が上り、

「あなたに、

   そんな事言われたくない!」

と言って

一方的に終話してしまいました。


結局、喧嘩してしまいました。

 

「何やっているんだろうね・・・

   私・・・」

 

笑えてきました・・、

 

本当は、

普通に話したかっただけなのに、

彼の一年前の言葉のその真意を

聞きたいと・・・


この前の電話の

意味も知りたいと・・・


ただ・・・

そう思っていただけなのに・・・


また、喧嘩をしてしまいました。

 

本当に笑えます・・・

 

「いつもこうだったよね・・・

   私たち・・・

   売り言葉に買い言葉で・・・」

 

何故だか・・・


今のこの喧嘩さえも

懐かしいとさえ想っています。


私は、

謝罪のつもりで

彼にメールをしました。

 

「ごめんね!

   言い過ぎた・・・

   いつかご飯でも食べに行こうね!

   おごってくれるなら・・・ね!」

 

すると、

直ぐに彼から電話が掛かってきます。

 

「本当?・・・

   いつなら空いてる?」

と彼。


「今日も空いてるけど・・・」

と私。


「今日は遅くなるけど・・・

   夜七時過ぎるけど、

   その時間で良ければ・・・」

と彼。


「えっ!?

   遅くないけど・・・

   その時間は大丈夫!」と私。


「じゃあ!その時間に!」と彼。


「お店が決まったら・・・

   またメールする!」と私。


「うん!分かった!」と彼・・・



      私たちはこうやって・・・


      二人の意思の疎通により

      再会することになります・・・


      しかしこれは・・・


      この再会は・・・


      私にとって・・・


      道に彷徨う茨の道・・・


      苦悩の日々の

      始まりでも有ります・・・


      でも・・・


      そんな苦悩の日々が

      来ようとは・・・


     予想も出来ない私が

     その時にはいるのでした・・・