香苗です。
以前、お子様の不登校についてご相談を受け、ご祈祷を実施させていただいた際のお話です。
学校での些細な出来事をきっかけに登校しづらくなり、さらに友人からの一言が引き金となって、完全に引きこもってしまわれたとのことでした。
ご依頼者である親御さんのご希望は、「新学期までには、何としても今まで通り学校へ行けるようになってほしい」というものでした。
その焦るお気持ちも十分に理解できますし、同時に、お子様が抱えているであろう「自分にはどこにも味方がいないのではないか」という不安も、痛いほど伝わってまいりました。
祈祷をお受けするにあたり、まず親御さんにお伝えしたのは、
「世の中には、さまざまな選択肢があるということを認識してください」という一点でした。
親御さんの焦りや苛立ちは、想像以上に子どもへと伝わるものです。
その結果、お子様はますます「自分には味方がいない」と感じてしまいます。
果たして、「今まで通り学校に通えるようになること」だけが、本当に最善の選択なのでしょうか。
その問いかけとともに、次のような例を挙げさせていただきました。
・学校ではなく、家庭で学習を続けるという選択
(不登校専門の家庭教師という制度もあります)
・フリースクール、チャレンジスクールの利用
・通信制・定時制など、別の形態の学校を選ぶ
・就職する、あるいは趣味を仕事へと発展させる
・海外へ視野を向ける
そして、どのような選択をされたとしても、まずは寛大な心で受け止めてあげてください、とお願いしました。
頭ごなしに否定したり、話を聞くふりをしながら自分の意見(復学してほしい旨)を押し通そうとすることは、かえって逆効果であるともお伝えしました。
祈祷が始まってから、親御さんご自身もさまざまな進路について調べられたそうです。
その中で、
「子どもがどのような選択をしても受け入れる。
そして、子どもの方から自分の気持ちや考えを言える環境を作っていく。」
と心を決められました。
それから程なくして、状況は静かに動き始めました。
結果として、親御さんが最も望まれていた「復学」が叶ったとのことです。
お子様は少しずつ「学校へ行ってみようかな」と口にするようになり、実際に登校し、
やがて「明日も行きたいから、早めに起こしてほしい」と言われるまでになったそうです。
今回の祈祷において、表向きの対象は不登校のお子様ご本人でした。
しかし実際には、事情を知るご家族も含めた「全体」が、祈祷の働きかけの中にありました。
もし親御さんが最後まで
「絶対に新学期までに学校へ行かなければならない」
という考えに固執されていたならば、お子様はさらに心を閉ざしてしまったことでしょう。
祈祷行為を「力点」とするならば、結果が表れる先の「作用点」は、必ずしも一人とは限りません。
今回のように、お子様だけでなく、親御さんの考え方そのものが変わったことで、良い結末へと至りました。
呪術(祈祷)とは、誰かを貶めるためのものではなく、
歪んでしまった現状を正し、本来あるべき姿へと導くためのもの……
その原点を改めて実感した一件でした。