【華鳩(はなはと) 貴醸酒 無濾過生原酒】
このお酒のデータは…
●蔵元 榎酒造(広島県,呉市,音戸町)
●特定名称ほか 貴醸酒 無濾過生原酒
●原料米 「中生新千本」(精米歩合 65%)
●酸度 4.4! ●アミノ酸度 ?
●日本酒度 -52.0! ●アルコール度 17.0%
●酒造年度 H22BY
【真夏のヌーボー】貴醸酒の生
7月9日に、気象庁より関東地方の「梅雨明け」が発表されて、今年もいよいよ夏本番へと突入しました。
さて梅雨明け後の週末に、新宿のデパ地下の日本酒売り場を物色していて、チョット珍しいお酒を見つけました。
その名も【華鳩(はなはと) 貴醸酒 無濾過生原酒】です。
通常の日本酒の「モロミ」は、「水,米麹,蒸し米」を3回に分けてタンクに入れる「3段仕込み」という方法によって仕込まれますが、「貴醸酒」はその3回目の仕込みの際に、「水」の代わりに「純米酒」が使われることによって、エキス分が多く濃厚で甘口な酒質となるのが特徴です。
「華鳩」の榎酒造は、日本で最初に貴醸酒造りを始めた蔵元で、一般的な貴醸酒は蔵で8年程度熟成させてから出荷されるのですが、これは春先に搾った貴醸酒を無濾過生原酒のまま瓶詰めし、長期熟成させずに出荷したもので、いわば「貴醸酒の新酒(ヌーボー)」とも呼べるお酒です。
香りは、「桃の缶詰」のような果物のシロップの香りや、「レーズン」を想わせるドライフルーツの香りがあり、「微かにナッティで、厚みのある甘美な香り」が感じられます。
口当りはトロリとしていて、まず始めに濃密な甘味があり、その後すぐに頬がすぼまる位にシャープな酸が口全体に広がって行きます。
後口には爽やかで心地良い酸が感じられ、そして最後には艶やかな甘味の余韻が舌の上に長く残ります。
口当り~余韻までの間に、甘味と酸が交互に何度も現れてくるような感覚で、「濃密な甘味と爽やかで心地良い酸が、不思議なハーモニーを奏でる魅惑的な味わい」のお酒でした。
この貴醸酒は、食前酒や食後酒としてお酒単体でも十分に愉しむことが出来るのですが、味わいの個性がフランス,ボルドー地方の甘口貴腐ワイン「ソーテルヌ」と似ていることから、
まずは【フォアグラのパテ】を試してみました。
ソムリエの間では、「ソーテルヌ」には「フォアグラのテリーヌ」を合わせるのが定石なのですが、今回選んだ「パテ」は、鴨の脂肪肝に生クリーム,玉子,白ワイン,豚肉etc.を混ぜ合わせてペースト状にすり潰したものです。
スプーンですくってそのまま食べてみると、舌触りはしっとりとしていて、コクのある濃厚な味わいと共に、レバー独特のフレーバーが口の中に広がります。
「華鳩」と合わせてみると、このお酒の濃密な甘味とフォアグラのクセのある風味がどちらも大人しくなり、そして両者がごく自然に融合してゆきます。
それぞれの個性がやや消えてしまうことの良し悪しを別とすれば、「貴醸酒」と「フォアグラ」は相性◎の組合せと言っても良いでしょう。
続いては【アトランティックサーモンのムニエル】です。
これは、ノルウェー産のサーモンに、「ハーブスパイス」で下味を付けてパン粉をまぶし、バターでじっくりと焼き上げた「ムニエル」なのですが、今回は「華鳩」の持つ爽やかな酸を意識して、仕上げに生のレモン果汁をタップリと搾ってみました。
合わせてみると、脂の乗ったサーモンとバターソースのコクのある味わいが、「華鳩」の濃密な甘味を程好くマスキングし、その一方でハーブのフレーバーとレモン果汁の酸味が、このお酒の心地良い酸をさらに増幅させてくれます。
ちょっとした思い付きで試してみた料理だったのですが、「生原酒タイプの貴醸酒」と「バターソースとレモンを使った魚介料理」は、意外に相性の良い組合せであるという発見をすることができました。
ちなみにこの蔵元では、貴醸酒を数年に一度のペースでしか仕込んでいない為、今回呑んだ「華鳩 貴醸酒 無濾過生原酒」が、次回いつ出荷されるのかは現時点では未定となっています。
つまり、今後数年間は「幻のお酒」となってしまう可能性があるわけで、無くなってしまう前に何本か購入して、お店の冷蔵庫で熟成させてみようかと半分本気で考えている所です。



























