【山間 仕込み11号 中取り 無濾過火入れ】
このお酒のデータは…
●蔵元 新潟第一酒造(新潟県,上越市,浦川原区)
●特定名称ほか 特別純米 無濾過原酒火入れ
●原料米 「五百万石」「こしいぶき」(精米歩合 60%)
●酸度 非公開 ●アミノ酸度 非公開
●日本酒度 非公開 ●アルコール度 16.0%
●酒造年度 H22BY
今期ラストの【山間(やんま)】
「敬老の日」を含めた3連休は、東京では3日連続で日中の最高気温が31℃を超える「真夏日」となり、さらに夜になっても気温が25℃以下に下がらない「熱帯夜」となりました。
今年の長く厳しかった残暑を象徴するような、そんな蒸し暑い連休最終日の夜に選んだ一本は、
【山間 仕込み11号 中取り 無濾過火入れ】です。
これは新潟第一酒造の杜氏の武田良則氏が、地元の酒米を使って醸した「仕込11号」の無濾過原酒を、一度「瓶燗火入れ」してから半年以上冷温熟成させたもので、「モロミ」を搾る際に、酒質が最も良いとされる「中取り」の部分のみを瓶詰めした限定酒です。
また、この「山間(やんま)」という名称は、この蔵で醸されるお酒の中で、武田杜氏が本当に納得した出来栄えのお酒だけに冠されています。
香りのトーンは強めで、「ティラミス」を想わせるビター&スウィートな洋菓子の香りや、「天津甘栗」のような甘い焙煎香があり、「ほんのりと甘く、そしてほんのりと香ばしい香り」が感じられます。
口当りは柔らかく、角の取れた甘味と明快な酸,そして膨らみのある旨味に続いて、「山間」ならではの独特の苦味と渋味が、複雑に絡まり合いながら広がってゆきます。
後口はしっかりとしていて、心地良い甘味,苦味,旨味の融合が、舌の上に余韻として長く残ります。
コクやボリューム感も十分で、「濃密な飲み口と個性的な焙煎フレーバーの余韻がクセになる、複雑美味な味わい」のお酒でした。
このお酒をグビグビと呑んでいると、正直言って料理は何も要らないといった感がありますが、今回は池袋のデパ地下の珍味コーナーで、興味を惹かれて購入した珍味を2品試してみました。
まず一品目は【ふぐの子の粕漬け】です。
これは、「ふぐの卵巣」を米糠と酒粕に漬け込んで熟成させた加賀地方の珍味で、軽く水で洗って酒粕を流し落としてから食べてみましたが、やや顔をしかめてしまう程の塩辛さです。
慌てて「山間」を流し込むと、「ふぐの子の粕漬け」のしょっぱ過ぎる味を、お酒が一瞬でマイルドな味わいへと変化させてくれますが、その一方で「山間」の個性である「魅惑的な甘苦味」が消えてしまい、相性としては今一つ?といった印象でした。
このくらい塩分が強い「酒の肴」には、もっと「濃醇で甘口タイプ」の日本酒を合わせた方が良いようです。
続いては【焼き鯖へしこの醤油漬け】です。「へしこ」は福井県若狭地方の伝統的郷土料理で、通常は「生の鯖」に塩を振り糠漬けにして長期熟成させますが、これは直火焼きで余分な脂を落とした鯖を、独自の手法で醤油漬けにしたいわば「へしこのアレンジ版」で、食べ易いように骨を抜いてスライスしてあります。
ほんのりと香ばしく見た目ほどには味が濃くなくて、噛み締めているとじんわりと旨味も出てきます。
そのタイミングでお酒と合わせてみると、「山間」の独特な焙煎フレーバーと「焼き鯖へしこ」の香ばしさが同調しますが、味わい的にはこの珍味の方が、お酒に対して少し上手になってしまうような感があります。
やっぱりこの「山間」というお酒には、料理やつまみの類は必要ないのかもしれません。
ちなみに、この「仕込み11号 無濾過 火入れ」が今期の「山間」ブランドの最後の出荷となるそうですが、今年に入ってからここまで呑んで来た様々なお酒の中で、この極めて個性的な香味(巷では賛否両論あるようですが)の「山間」と出会ったことで、日本酒の持つ味わいの多様性という面に関して、個人的に大きく視野が広がったような気がしています。
そんなわけで、来期の「山間」シリーズにも大いに期待したいと思います。




























