■中身で勝負!の【新聞紙包み】 | ■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

●季節ごとの日本酒とお酒のアテとの相性を愉しむ【お酒の歳時記】です… ●

【長珍 純米60 無濾過生原酒
■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  このお酒のデータは…
蔵元 長珍酒造(愛知県,津島市,本町)

特定名称ほか 純米 無濾過生原酒

原料米 麹米 兵庫県産「山田錦」(精米歩合 60%)

       掛米 富山県産「五百万石」(精米歩合 60%)

酸度 1.9 アミノ酸度 ?

日本酒度 +6 アルコール度 17-18%

酒造年度 H22BY

中身で勝負!の【新聞紙包み】  

 お盆休み明けの東京は、18日の木曜に最高気温が36℃を超える「猛暑日」となったものの、その翌日から一転して気温が下がり始めて日曜には最低気温が19℃となり、早くも「秋の訪れ?」を感じさせるような涼しい1日となりました。

 さて、そんな涼風の吹く週末の夜に選んだ一本は、

【長珍 純米60 無濾過生原酒】です。 

 
■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  これは愛知県の長珍酒造から、年に一度春先に出荷される通称「新聞紙シリーズ」と呼ばれる限定酒の一つで、モロミを搾ってからタンクで滓をゆっくりと沈殿させ、「上澄み」だけを一本ずつ丁寧に手詰めした純米の無濾過生原酒です。

 また、蔵元側の「少しでも中身にお金をかけたい」という想いから、新聞紙で包んでデータを記載した紙を貼っただけの、とてもシンプルな外装となっています

 香りは、「熟したネーブルのような柑橘類の果実の香りや、「ラムネ」を想わせる甘味炭酸飲料の香りがあり、「ほんのりと甘く爽やかで、フレッシュ感のある香り」が感じられます。

 口当りは強めで、ジューシーな甘味と活き活きとした酸,そして豊かで膨らみのある旨味が、押し寄せるように一気に口に広がってゆきます。

 味の余韻は比較的長く、後口には爽やかな印象の酸と共にハッキリとした苦味が感じられ、それがドライな感覚をもたらしています。

 ボリューム感も十分にあり、「芳醇かつダイナミックな飲み口で、甘味,酸,旨味,苦味の四味の個性がギュッと詰め込まれたような、呑み応えのある味わい」のお酒でした。

 今回はこのお酒の濃密な味わいを考えて、甘口の味噌を使った料理を2品選んでみました。
■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  
1品目は【銀だらの西京漬けです

 これは「銀だらの切り身」を、米麹の甘味が特徴の「西京味噌」漬け込んだもので、味噌が焦げ付かないように弱火でじっくりと焼き上げてみると、脂がタップリと乗った「銀だら」に、西京味噌の味がしっかりと浸みていてなかなかの美味です。

 「長珍」と合わせてみると、西京味噌のほんのりとした甘味と程好い塩分,そして「銀だら」の脂が、このお酒の凝縮感のある味わいに良くマッチします。

 お酒と料理がそれぞれの個性を尊重しつつ、お互いの良さを引き出し合うような、とても相性の良い組合せでした。

■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  続いて2品目は【茄子のしぎ焼きです。

 これは、長茄子に切込みを入れて多めの油で焼き、切り口に甘味噌を塗ったものなのですが、「しぎ」という名称は「野鳥の鴨」のことで、昔は鴨肉を使った茄子料理だったので、「しぎ焼き」と呼ばれるようになったそうです。

 「しぎ焼き」だけで食べていると、甘味噌の味がやや濃過ぎるようにも感じられますが、そこにお酒が加わると、「長珍」の持つ芳醇な甘味と焼き茄子の甘味がうまく同調し、そして甘味噌の味の濃さも丁度良いレベルまで引き下げてくれます。

 こちらは、お酒が料理を上手から包み込んで、より美味しくしてくれるような、そんな印象の組合せでした。


 ちなみに、このお酒は一升瓶サイズで購入した為、開栓後6日間にわたって毎晩呑んでいたのですが、初日は微発泡感があって活き活きとした印象だったものが、2日目以降からはお米の旨味がグングンと乗ってきて、日毎に濃厚になってゆく味の変化をタップリと愉しむことができました。

 今回の「長珍」のような、ポテンシャルが高い純米の無濾過生原酒は、開栓後すぐに呑み切ってしまうのではなく、冷蔵庫で保管しながら数日間にわたって呑んだ方が、より多彩な美味しさを堪能できるタイプのお酒だと思います。