【屋守 純米中取り 無調整生原酒】
このお酒のデータは…
●蔵元 豊島屋酒造株式会社(東京都,東村山市,久米川町)
●特定名称ほか 純米吟醸酒 中取り 無濾過生原酒
●原料米 広島県産「八反錦」(精米歩合 55%)
●酸度 1.3 ●アミノ酸度 ?
●日本酒度 +1 ●アルコール度 16.0%
●酒造年度 H22BY
東京の住宅地で醸す【ヤモリ酒】
夏場の電力不足対策として、7月から大口需要家に対して15%の電力使用量の削減を求める「電力使用制限令」が発動されたことを受けて、企業のサマータイム制の導入や輪番休業,また電車の運行ダイヤの変更etc.の取り組みが本格的に始まりました。
そんな「節電の夏」に選んだ一本がコレ、
【屋守(おくのかみ) 純米中取り 無調整生原酒】です。
醸造元の豊島屋酒造は、東京の西武池袋線「東村山駅」から徒歩15分程の住宅地に面した所にあり、地下150mから富士山系伏流水を汲み上げて酒造りを行っていて、代表銘柄である「金婚(きんこん)」は、明治記念館での結婚式の鏡開きにも使われています。
この「屋守(おくのかみ)」は、蔵の4代目の田中孝治氏が「金婚」とは別のブランドとして平成14年に立ち上げたもので、広島県産の「八反錦」を半分近くまで磨いて醸し、搾りの工程における「中取り」の部分を、「濾過」「滓引き」「加水」「火入れ」etc.を一切行わずに瓶詰めした「無調整生原酒」です。
香りは、「すもも」を想わせる果実の香りや、「ラムネ」のような甘味炭酸飲料の香りがあり、「ほのかに甘く爽やかで、フレッシュ&フルーティーな香り」が感じられます。
口当りはやや強めで、優しく艶のある甘味とふくよかで膨らみのある旨味がメインの味わいとなっていて、それを程好い酸が脇役となってサポートしています。
余韻は比較的短く、後口は割としっかりとしていてキレの良さが感じられます。
コクやボリューム感は十分にあり、「程好く飲み応えがあり、お米のしっかりした旨味と心地良い甘味が主役となっている味わい」のお酒でした。
まずは【賀茂茄子の柚子味噌田楽】です。
「賀茂茄子」は丸茄子の女王とも呼ばれる京野菜で、皮は柔かく肉質は引き締まっているのが特徴です。「田楽」と言うと普通は甘くて濃い味噌の味を連想しますが、これは「柚子の皮」と「スダチ酢」を加えた白味噌を使った田楽で、とろけるように柔らかい茄子の甘味と上品な白味噌に対して、柑橘類の爽やかな味が絶妙のアクセントなっています。
「屋守」と合わせてみると、柚子味噌の風味がこのお酒の中からスッキリとした味わいを引っぱり出して来て、「屋守」の艶のある甘味と茄子田楽の甘味が、決してくどくなることなく上手く融合してくれました。
続いて2品目は【ロールキャベツ トマトソース】です。
「ロールキャベツ」は洋食の基本のおかずの一つで、色々なバリエーションのものがありますが、今回は挽肉と玉ネギのみじん切りetc.を混ぜて丸め、それをキャベツの葉でくるんでコンソメスープで煮込み、仕上げにトマトソースをかけたものを選んでみました。
合わせてみると、挽肉の旨味とキャベツの甘味,そしてトマトソースの酸味が、「屋守」の持つ心地良い甘味や旨味,そして程好い酸と、それぞれ意外な程に自然な相性を見せてくれます。
このタイプの日本酒と「洋食のおかず」を組み合せる時は、「マイルドな酸味のあるトマトソース」を使うことが、相性を良くする為のポイントとなるように思われました。
さて話は変わりますが、この「屋守」の瓶の裏ラベルには、初めてこのお酒を見た人の大部分が、「おくのかみ」ではなく「やもり」と読んでしまうのを逆手に取って、右のような「ヤモリのイラスト」が描かれていて、背番号の④は「仕込み4号」であることを示しています。
この「屋守」ブランドは、これから年々造りの量が増えてゆくと思われますが、「東京のヤモリ酒」として、今後どんどん人気が高まってゆきそうな予感がしています。