万葉集と酒 205

天平寶字元年十一月十八日、内裏にして肆宴(とよのあかり)きこしめす歌二首

 

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   天地を照らす日月の極(きはみ)無く

          あるべきものを何おか思はむ

 

   天地を照らす日や月の極みが無いように、天皇の繁栄は極みがなかる

   べきなのだから、何の心配をすることがあろうか。

   何の心配もない。

 

  右の一首h、皇太子の御歌なり。

 

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   いざ子どもたはわざな爲(せ)そ天地の

           固めし國そ大倭(やまと)島根は

 

    ※ たはわざ :たわけた仕業 → ばかなこと

    ※ 天地の :天地の神々の

 

    いざ人々よバカなことをしてはいけない。島根にある大和の國は、天地の神々が固めた国であるぞ。