四半世紀ロォマンス / emmurée | 安眠妨害水族館

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四半世紀ロォマンス/emmurée

 

1. 四半世紀ロォマンス

 

2024年3月に池袋手刀で開催された25th anniversary onemanにて配布されたemmuréeのシングル。

 

ひたすらにメインストリームからは外れた漆黒の世界を描き続け、アングラ界隈におけるモデルケースとなった彼ら。

 

Ba.朋さんの脱退により、Vo.想さん、Gt.ハルカさんのユニット編成になってはいるものの、Ba.山本伸彦(稲山梢)、Dr.lotto(梟、アマミツゝキ)をサポートメンバーに迎えた骨太なバンドサウンドは曲げず。

引き続き、ブレることないemmuréeの音楽を響かせています。

 

本作は、25周年という記念碑的な単独公演で配布され、後に通販での取り扱いも開始。

タイトルにまで"四半世紀"が入ってくるとは想像していませんでしたが、曲名だけでemmuréeだとわかってしまう市民権を得ているのだから、"継続は力なり"ですよね。

 

暗黒系と呼ばれる彼らにしては、ポップと言える音楽性。

大衆的なポップスと同じように聴けるかと問われたら否ですが、ゴスやニューウェーブといった要素が夢想的な世界観を創り出していて、グラマラスなアレンジがロマンチシズムを駆り立てます。

ハルカさんが作曲したミディアムチューンは、およそ7分という長尺ではあるものの、過剰なギミックがあるわけではなく、とても自然な展開。

ダークではあるがヒーリング的なイメージもあって、心地良く聴いているといつの間にか終わっている。

性急な楽曲がウケる時代に、このどっしりと構えたスタンスはベテランの成せる業で、熟成された深みを感じずにはいられません。

 

メジャーとは縁遠いと思っていた音楽性も、本作がBUCK-TICKと近接していることを踏まえれば、まだまだ可能性は広がっているということ。

暗黒の向こうにあるのは光か、それとも更なる暗黒か。

30周年、40周年、そして半世紀と、これからも闇の中を突き進んでいってもらいたいものです。