AV/NORMAL / Ash | 安眠妨害水族館

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AV/NORMAL/Ash

 

1~5. 心の準備

6. ハイエナ

7. "F"

8. 「禁断の甘い蜜」

9. -A→

 

2001年にリリースされた、Ashの2ndミニアルバム。

 

後にVersaillesに加入する、Ba.masashiさんが在籍していたバンドとなりますが、彼らの音楽性は、90年代後半のコテコテ系の延長線上。

シンコペーションを用いてマイナーコードで疾走する、王道的なダーク路線のスタイルでした。
1stミニアルバム「~Aleph~」から、そこまで間をあけずにリリースされた本作は、全力投球のスタンスから逸脱することなく、コンセプチュアルなアプローチに取り組んできた印象。
タイトルからもわかるように、"アブノーマルな恋愛"をテーマに、ヴィジュアル系ダークネスとの接点を見出していきます。
 
序盤の5トラックは、「心の準備」として無音トラックが続くギミック。
メンバー分用意しているところにこだわりを感じますが、CDで聴く時代だからこそではあるでしょうね。
事実上の1曲目は、「ハイエナ」から。
アグレッシブに攻めるハードチューンで、スピード感は意識しつつも、メロディアス性は維持してところに彼ららしさを感じさせます。
激しさを強調させ、掛け合いを取り入れながら、随所に官能的な演出を施しているのは「"F"」。
サビ前のパートで、ふたつのメロディが同時進行的に重なるところが独特で、これまでとは違うものを、という積極性が、アクセント的なナンバーとして結実したと言えるのでは。
 
「禁断の甘い蜜」は、歌謡曲風のメロディを、コテコテ系の演奏に残せて。
この楽曲に限らず、Vo.流維さんが手掛ける歌詞はだいぶストレートだな、と。
ブックレットに目を通せば、それぞれが何をテーマにしているのかは一目瞭然で、わかりやすさという点では魅力的。
ただし、ストーリー性なり、表現なりの上手さなりがないと、アダルトなテーマはちょっと陳腐化しやすすぎたかもしれません。
7分台、6分台と、長尺曲が続く後半の最後を務めるのは、「-A→」。
歌モノ風のロックチューン。
壮大なギターなど、格好良い部分も多々ある一方で、サビでは急にポップネスに振り切ってしまうから面白いです。
1曲だけ毛色が異なるというか、浮いている感はあるのですが、こういう一面もあるんだ、という気付きにはなるか。
 
王道にこだわった前作に対して、特定の路線に深掘りしたとも言える本作。
流通作品としては本作を最後に解散してしまいますが、ようやくベースが出来上がりつつあっただけに、構成やバランスを意識してのフルアルバムを聴いてみたかったでしょうか。

 

<過去のAsh(ALPHA)に関するレビュー>

~Aleph~

バレリーナ(ALPHA)