VAMHAUS / VAMQUET | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

VAMHAUS/VAMQUET

 

1. Prayer

2. Vispiral

3. Wonders

4. Hidden truth

5. Vam marsch

6. Endeep

 

2016年にリリースされたVAMQUETの1stアルバム。

 

Vo.KAI(ex-ART MARJU DUCHAIN)、Ba.Közi(ZIZ、MALICE MIZER、XA-VAT)、Gt.SADIE PINK GALAXY(SPEECIES、JUBILEE、XA-VAT)により結成。

大人によるゴス遊び、ということで、彼らのルーツにあるゴシック、ニューウェーブ、ポジティブ・パンク等の要素を反映したアングラ感の強い作風となっています。

察するまでもなく、アルバムタイトルは、Bauhausから取っているのでしょうね。

ブックレット等は付属しないデジパック仕様で、歌詞の記載はありません。

 

VAMQUETとして奏でるべき音楽性は明確に共有。

その範囲内でどれだけ遊べるか、というプロジェクトなのかな。

単調なリズムと、ぼそぼそと囁くような抑揚のないメロディ。

トラディショナルな様式美は崩さずに、イチゼロ年代の複雑化した価値観において、いかに退屈させず、世界観に引きずり込むか、という命題に立ち向かっている印象です。

 

その結果、ただ暗いだけではなく、ときおりダンサブルなフレーズが飛び出したり、グラマラスなメロディを持ってきたりと、わかりやすさを増したが、薄まったわけでもない絶妙なバランスを形成。

特に「Wonders」の、ゴスがこんなに楽しくてもいいのだ、というダークポップ感を打ち出していて気持ちが良い。

インダストリアルな方向性ではなく、ニューウェーブのアプローチでゴシックを突き詰める面白さ。

遊びの延長でデカダンスを表現する試みは、既存の様式美を現代のゴシック・ミュージックに昇華した作品であると言えるのは。

 

なお、ギタリストのイメージが強いKöziさんが、ベーシストとして参加しているのも注目すべきポイント。

彼のセンスがベースフレーズに反映されたサウンドというのも、なんだか新鮮です。