REACH the SKY / YOHIO | 安眠妨害水族館

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REACH the SKY/YOHIO

REACH the SKY REACH the SKY
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1. REACH

2. SKY☆LiMiT

3. Frantic Elegance

4. Dawn of Dreams

5. Without Wings ~空と約束した~

6. Angel’s Waltz

 

"天然ヴィジュアル系"として、16歳という若さ日本でのソロデビューを飾ったYOHIO。

本作は、そのデビュー作となるミニアルバムです。

 

スウェーデン発のヴィジュアル系バンド、Seremedyのギタリストとして活動する傍ら、そのV系のお手本といったルックスから注目を集め、ソロデビューに至った彼。

イロモノ扱いの先物買いかと思いきや、いざ聴いてみると16歳とは思えないギタープレイを披露しており、これが日本人のギタリストだったとしてもそれなりに話題性はあったのではないかと。

若さにルックス。

それにテクニックまでついてくるのであれば、そりゃ、シーンが放っておくわけがないですね。

 

さて、内容としては予想以上に正統派のヴィジュアルロック。

スウェーデン・ロックとV系の融合を期待していると肩透かしにあうくらい、イチゼロ年代のV系シーンへの歩み寄りを見せる音楽性となっています。

疾走感のあるリズムに、叙情的なメロディ。

キラキラした同期も使って、切なさとポップさを共存させるアプローチもしっかり体得。

日本のシーンに憧れ、研究していたのだな、というのが伝わってきました。

 

トップバッターの「REACH」は、サビからはじまるキャッチーなナンバー。

ベタと言えばベタなのだが、なんだかんだでこの王道感にはテンションが上がる。

この線の楽曲が得意なようで、「Dawn of Dreams」にも同様の強みがありました。

かと思えば、「SKY☆LiMiT」では、"こうくるか!"と驚かされるぐらいにポップなフレーズが。

あえての王道感と、そこから外すアクセントのバランスが良く、純粋にアルバムとしての構成は上手い。

独学で覚えたという日本語もなかなかのもので、発音には特段違和感がないし、V系バンドが使いそうな言葉の選び方も、相応に勘所を押さえているといったところです。

良くも悪くも、スウェーデン人であることを感じさせないのでは。

 

ただし、本音として。

その裏に物凄い努力があったであろうことは承知のうえで、せっかくこのルックスなのだから、ヨーロピアンで耽美な世界観の楽曲が多ければ完璧だったのに、と思ってしまう。

一番、そのイメージに近いのは、インスト曲の「Frantic Elegance」なのですよ。

それこそVersaillesあたりがやっていそうな耽美メタルで、これがあるから、かえって惜しいというか、歌モノでもやってくれよ、と。

「Without Wings ~空と約束した~」も北欧っぽいと言えばそうなのだけれど、音楽性としてはハズシですし。

 

なお、現在は活動拠点を東京に移し、DISREIGNのボーカリストとして活動中。

正々堂々、日本で活動するV系バンドとなったわけで、もうイロモノとは呼ばせません。

才能があるのは間違いないので、これからの活動にも注目していきたいアーティストですな。