1枚の皿 | 坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba
2013年03月10日(日) 23時58分13秒

1枚の皿

テーマ:東日本大震災関連
夕方、宮城県気仙沼市本吉町着。

1通のメールがきっかけで震災後、5月から通っているのがこの地域だ。
震災から2年後のその日、あの時間をどこで過ごすのか?
先日、石野田奈津代と電話で話した時に「結局、自分が一番通った場所にいたいよな」と確認し合った。


ということで前乗りでやって来たこの町。
まずは僕のこの地域での活動をサポートしてくれた昭和43年生まれチームと合流し食事会。
明日は平日のため、みんな普通に仕事とのこと。
一部では日常は確かに少しずつ戻りつつある。一部では。

しかしやりきれないほどの哀しい話しも聞かされる。
家族を亡くされた方々の悲しみは癒されるどころか深まっているのではないか。


皆と別れ、今夜の宿、ペンション「ヴィラプチろく」へ。
昨年の弾き語りツアーの会場としても使わせてもらったこのペンションのオーナー、千葉しげ子さんとはもう17、8年のお付き合いになる。

「ヴィラプチろく」は、かつて「日本で一番海水浴場に近いペンション」と呼ばれ、実際に波打ち際からわずか数十メートルの場所に建っていた。

建物の頑丈さには自信があったため、あの津波の日も「うちのペンションは大丈夫」と信じていたという。
津波から数日後、ご自宅から歩いてペンションへと向かう途中の坂道のてっぺんから、何もかもが消え去っているのが見えてしまった。
しげ子さんは「やっぱりダメだったんだ」とその場に崩れ落ちて泣いた。
しばらくの間、そのまま立ち上がる事もできなかった。

その日からしげ子さんの「ペンションの想い出探し」が始まった。
使っていた食器、家具、調理道具。
何か1つでも良い。かけらでもいい。
毎日毎日地獄絵図となった瓦礫をかき分けて、ひたすらに探す。
そんな日々が続いたある日の事。

しげ子さんは線路の敷石の下に何かが光っているのを見つけた。
「何だろう?」と石を1つずつ除けていきながら、それが何なのかわかった時のしげ子さんの驚き。

それは1枚の皿だった。
しげ子さんのお気に入りで、かつて料理を盛りつけ、宿泊客の食事のテーブルに出されていたその皿が、敷石の下に隠れていたのだ。
しかも驚いた事に、その皿は1箇所も欠けることなく完全な形で発見された。
何もかも流されてしまったと思っていたのに、まさかこんなものが見つかるなんて。

敷石の下から拾い上げて、しげ子さんはその皿を抱いて泣いた。
「もう1回頑張りなさいってこのお皿に言われたのよ」


昨年5月にお会いした時にしげ子さんは「またペンション建てるわよ。建てたらこのお皿、額に入れて飾るの。完成したら必ず歌いに来てね!」と話してくれた。

そして同じ年の10月に、本当に「ヴィラプチろく」は場所を移して営業を再開し、12月にそこでライブを開催することができたのだ。

モノが人を励ますってことがあるもんなんだなあ。


宿泊客の都合に合わせた食事時間やサバサバとしたしげ子さんの存在と、彼女が作る美味しい食事のお陰で、実家に帰ったような、親戚の家に泊まりに行ったような気分になるペンション。
食堂や客室はやっぱり海に面していて、水平線から朝日が昇ってくるのを見る事が出来る。
客室もお風呂もトイレも清潔でナイスセンス。

津波のために慢性的に宿泊施設が足りない気仙沼。
そのため連日満室が続いているとのことだったが、空いてる日もあるかも知れない。
気仙沼に宿を探している方はまずは電話でお問い合せを。

●ヴィラ プチろく(0226-31-5623)
 気仙沼市本吉町赤牛12-3
 1泊¥6,500(2食付。朝食のみは¥5,000)


いよいよ明日で2年。

$坂本サトルオフィシャルブログ「日々の営み public」Powered by Ameba

坂本サトルさんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントする]

Ameba芸能人・有名人ブログ

芸能ブログニュース