真夜中。彼女がベッドから出ていった気配で目が覚める。
数秒後、リビングの方からくぐもった咳の音が聞こえてきた。
どうして君はいつも1人で苦しもうとするのか。
洗濯したばかりのブランケットを持って私もベッドを抜け出した。
「由依、それ絶対苦しいでしょ。」
「理佐……。」
私は由依が口元に押さえつけているタオルを取り上げた。
おそらく寝ている私に配慮をしているのだろう。夜中に発作を起こした時にはいつもタオルで音を押さえ込もうとする癖がある。そんなとこも愛おしいとは思うけど、やっぱりやめてほしい。
「吸入はしてるね。」
「ごめんね……おこして……。」
「ぜーんぜん大丈夫。」
未だ喉奥からヒューヒューと音がする彼女にブランケットをかけ、締めつきすぎないほどに抱きしめる。
いつだったか。発作を起こしている時は深海に堕ちたように感じると彼女は話していた。
暗くて、孤独で、苦しい。
ならば私がいつだって引き上げてあげる。
「落ち着いてきたね。白湯入れてくるね。」
「ごめんね……。」
なぜ謝るのか。私にはまだわかんない。
白湯を持って彼女の元に戻ると、発作で疲れたのかウトウトしていた。
どうかそのまま朝まで安らかでありますように。
私は彼女のすっかり冷えてしまった手を握った。
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