短編小説「人間のKUZU」~台無しバー~ その③ | 占星術小説家@酒井日香の占い死ね死ねブログ

その②から続き

今日は母さんが亡くなって、49日の法要があった日だった。久しぶりに村田家のきょうだい全員が、母が最期に暮らした質素なアパートに集まり、思い出話をしながら遺品整理していた。



三女「あらいやだ母さん……。私が小学校のときに書いた作文まで取ってあるわ」


長女「ああそれ……。みつ子の作文が入選したといって、自慢していたわよ近所の人に。あの子は、頭がいい子ですからっていつもみつ子の自慢していたわ」



三女「母さん……」



次女「見て! 父さんが母さんに送った絵葉書よ!」



三男「本当だ。あの不器用な父さんがなぁ……」



次男「あ、俺が将棋大会で優勝したときの賞状!!」



健二「なんだかんだ言って母さん、お前のことを一番気にかけていたぞ。次郎は誤解されやすいけど、照れ屋で正直ないい子なんだって、お前が警察に捕まったときも一生懸命かばってくれていて……」



次男「うう……、母さん……」



※注)、母の遺徳にしのび泣く村田兄弟。



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※注)、バーの風景に戻る



A「なによマスター。これじゃあただのいい話じゃないの」


A「いや、この後なんですよあさみさん。この後台無しポイントなんです」



A「どういうこと?」



A「健二さんたち村田きょうだいが遺品整理をしていたら、出て来てしまったんですよついに……」




その④へ続く