「良い写真を撮るために」どうしたらいいの?
よく聞かれる質問である。
簡単に良い写真を撮れる方法があるなら、僕が教えてもらいたい。
「良い写真」の定義は曖昧である。人によっては良い写真でも、誰もが良い写真と思うとは限らない。
結局のところ、自分が満足する写真が良い写真なんだろうと思う。
「写真が上手くなりたいなら、自分が満足する写真が撮れるまで、撮り続けるしかないよ」
と言うと、「そんなこと言わないでさ、なんか良い方法あるんでしょ?教えてよ」
と言われる。
何を撮りたいのか、それによって違うが、ポートレイトなどの人物写真は「もうひと寄り」した方がいいと思うことが多い。
遠目から人物を撮っても、良い写真にはならない。
近づいて撮る方が、不思議と良い写真になる。
人物写真は、いかに被写体に接近できるか、これがコツである。
ただ、誰しもカメラが近づくと、緊張するもの。そうすると、良い表情とは対極の表情になってしまう。
「笑って」と言って、素敵な表情で笑える人などほとんどいない。
知らない人を撮るスナップ写真ならなおさら。
近づこうものなら、「あんた何?」という顔をされる。当然である。
僕はスナップ写真を撮ることが多いが、一枚を撮るのに、多大な時間を使っている。
中国を題材にした「happy China」という写真展で使った写真は、ほとんどが人物写真だが、一枚撮るのに、だいたい一時間くらいかけている。
まず、「あなたを撮りたいんだけど」と声をかける。
訝しげな表情を浮かべているその人に、自分が日本人であり、写真家・映像作家であると告げる。
そして、この写真を何に使うのかを伝える。
たいてい、「なんで自分に興味を持ったの?」と尋ねられることが多い。
そして僕は語りだす(中国語はほとんどダメなので、通訳付きだが)。
あなたに興味を持った点。
中国と僕の出会い。
中国の好きなところ。
そして、日本人を代表して、日中友好をさらに築いていきたい旨など。
通訳付きなので、ここまで話すとかなり時間がかかる。
話し終えた後、「一枚撮らせて」というと、たいていは気持ちよくOKしてくれる。
そして、安心したかのように、最高の笑顔を見せてくれるのである。
写真展「Happy China」より
被写体との「見えない壁」を取り払わない限り、良い表情は見せてくれない。
しかし、僕はこれを「方法論」だとは思っていない。
人として、当たり前の事をしているだけ。
盗み撮りなどもってのほかである。
信頼関係がないと、素晴らしい笑顔など撮れない。(相手が俳優なら別だが)
どんなにカメラテクニックをもってしても、ナチュラルで素敵な笑顔は撮れない。
その人の内面まで映し出すような写真が撮れるとしたら、その人のテクニックと言うより、撮る側の「人間力」の高さだろう。
僕も、もっと素敵な写真が撮れるよう、さらに人間力を磨いていきたいと思っている。
写真展「Happy China」より


