岩手県の遠野へ行かれることをおススメします。
「遠野物語」柳田國男著のカッパ伝説に登場する、カッパ淵へ・・・。
学生時代、専攻が文化人類学だったんですが、その流れで受けてた民俗学の授業では
柳田の話がよく出てきて。
で!どーしても遠野物語に出てくる妖怪やカッパの伝説の生まれた土地に行きたい!
カッパに会いたい!と胸をときめかせ、
行って参りましたよ、23の夏、憧れの遠野へ。
レギュラーの収録の合間に夏休みとって、どーしてもカッパに会いたくって、
遠野を含め、東北を旅しました。
しかも一人旅でしたけど・・・・・・・・・・・・、何か? 笑
駅前で自転車を借りて、延々変わらない田んぼの風景を過ぎ、たどり着いたカッパ淵は、
日陰の美しいのどかな小川が流れていて、いつカッパが出てきてもおかしくない、
妙に涼しい人のいない風景です。
カッパのご神体が祀られた、ポツンとある祠(ほこら)が、また一層、
何か出そう的な雰囲気を盛り上げます。
祠の中にはノートが置いてあり、カッパに会いたくてココを訪れた人々の、
ユーモア溢れるコメントが記されています。
私だけがボーッとその世界に浸っていると、ようやく一組のカップルが話しながらやってきました。
すると、おもむろにどこからともなく細めのおじいちゃんが後ろからモニョモニョ言って登場!!
(おーっ、カッパかと思ったよ、おじいちゃんっ!)
カッパを期待して来てる割には、おじいちゃんに相当驚かされた、怖ーい。笑
すると、どうも人の話し声がするとひょこひょこっと出てきて、
カッパ伝説について、詳しく話してくれる、「カッパおじいちゃん」こと、阿部与一さんだったことが判明。
んー、私の記憶ではちびまるこちゃんのおじいちゃんに雰囲気似てたと思う。
阿部じいちゃんは、「見えるか?あの茂みの辺りからひょっこり顔を出してこっちを見てる。ほんで、フッと目を離すともういない・・・。遠野のカッパは顔が赤いんよ!」と伝説と、ご自身が見た体験を交えて、
嬉しそうに、話してくれる。真か夢か・・・・、そんな疑問は野暮。
存在を信じて、語り部たちによる口承で、言い伝えられてきた数々の見えない生き物たち。
妖怪のいたずらを密かに待つ気持ちは、真か夢かわからないものに抱く、
遠野の人々のロマンかも知れない・・・・。
この土地の素朴な語り部たちこそ、カッパを立派な”居るもの”にしてくれてる気がした。
うん、私は間違いなくカッパに会ったのだ!!
だってひょいっと顔を出す、赤い顔のおどけたカッパが私には見えたもんっ!
満足だよ、カッパおじいちゃん・・・・。何よりカッパ淵は凄く落ち着いて気持ちよかった。
爽やかな体験だった。
カッパに会いたいというある人の?ブログを読んで、
久々に最近の遠野関連のサイトなどを読んだ。
そして寂しくなる事実を知った。
今、カッパおじいちゃんこと阿部与一さんは、祠の中に写真として収まっている。
2年前のことだったようだ。
もう一度、阿部じいちゃんにカッパに会わせてもらいたかったな。
カッパを通じてそこを訪れる人との会話を楽しんでいるようだった阿部じいちゃんの日常は、
間違いなく口承伝達(フォークロア)そのものであり、こうして一人の旅人にもしっかりと伝わっている。
口承伝達・・・・誇るべき文化。