・フォワ賞連対馬は17頭中2頭複勝圏

当日5番人気以内の7頭全てが人気を下回る着順。また最高でも2着と勝ちきった馬はおらず、同距離同コースで古馬同士のレースと、本番と極めて近いカテゴリーで行われるだけにストレスレベルは高い。

3着以内になったのは前走1番人気2着の2頭と日本馬3頭。前走1番人気2着の2頭は人気を裏切って力を出し切っていなかったのでストレスレベルはそれほど高くなかったということだが、当日2番人気3着の06ハリケーンランは2走前キングジョージ1着で当日11番人気2着の14フリントシャーは2走前サンクルー大賞1番人気4着。2走前にも凡走していたことで蓄積疲労も少なかったフリントシャーが大穴をあけているように、直近だけでなく中期または長期の範囲でストレスレベルには注意したいということになる。これは直近のストレスレベルが高いステップではよくある話。

そして日本馬3頭だが、12年と13年のオルフェーヴルはともに前走1番人気1着で当日1番人気2着。一方の10ナカヤマフェスタは前走3番人気2着で当日10番人気2着と、前走で人気を上回る好走をしていながらさらに激走するという形。直近のストレスは大きかったはずだが。

この2頭の2走前は宝塚記念1着と大阪杯1着。ともに日本の阪神内回り2200m以下のレース。広くて単調な欧州中長距離路線とは違い小回りのスピード競馬を経験していたことが活性化またはカテゴリー鮮度の面で効果的だったと考えられる。ともにステイゴールド産駒で物理的に道悪が鬼に近いレベルで得意なこと。また相手強化の多頭数替わりが得意なC要素の強い特性を持つことなどは他の欧州血統馬たちにはない材料だったと言えるかもしれないが、それでも勝ちきれないあたり厳然たるストレスの壁を感じさせる。

2走前が京都外回り長距離の天皇賞春で、L要素が強いマンハッタンカフェ産駒の11ヒルノダムールは当日内枠を引いて惨敗しているように、基本的にはC要素の強さが要請されるステップだと言えるだろう。欧州にそのようなタイプがどれほどいるのかは定かではないが。

 

父が量系キングマンボ、2走前サンクルー大賞2番人気1着、前走フォワ賞1番人気1着、当日2番人気2着の99エルコンドルパサーとは。

腰を据えた長期遠征で欧州4戦目。(憶測程度に)当日逃げの極端な脚質(欧州では逃げは好まれず選択される可能性が低い戦法)、また当日不良馬場だったが前走と今走の質が違うほどいいということか。

 

 

・フォワ賞3着以下11頭中1頭複勝圏

カテゴリー鮮度に欠く上に好調でもないということで決して相性は良くない。当日9番人気以内に限れば2頭中1頭複勝圏なので、能力や調子に問題がない程度なら案外悪くないのかもしれないが。

唯一3着以内になった06プライドは前走3番人気3着、牝馬、当日最後方からの追い込み。前走で力を出し切ってはいないこと、性差的にしぶとくC要素を持つ牝馬であること、相性が悪いステップにありがちな極端な脚質が嵌まる形だったこと。これまでのステップ論に齟齬がないレベルには収まっている。イキのいいニエル賞勝ち3歳馬レイルリンクには及ばなかったが。またこの年はフォワ賞連対のシロッコ、ハリケーンランが上位人気で揃って人気を裏切り、前哨戦からの逆転劇で如何にもストレスの影響を感じさせる結果となっている。

 

短期中期長期の視点からストレスレベルに問題がないこと、極端な脚質やショック(位置取りや馬場状態)が嵌まるなど、前哨戦敗退からの巻き返しパターンというものがあるので、それに該当するケースが好ましいだろう。