テロルは嫌いだ。  いかなる理由があっても。


論理を放棄し暴力と恐怖で思想を実現しようとする雑さ 傲慢さ 

いかなる根拠を持とうが(暗殺)という行為は 大義 には程遠い。法律以前の問題として



というのは頭では理解している。


しかし 山口二矢 (やまぐちおとや)という男(享年17歳)を単に愚かな少年とは思えない。  


今自分は自我  思想(という名の何処からかパクって来た何かw)を棄てようとしてるのですが

山口二矢  その存在は無視できない。影響がある。




1960年 東京台東区で当時社会党の党首であった浅沼稲二郎を演説中に刺殺。 現行犯で取り押さえられた


およそ60年後に安倍晋三が奈良県で暗殺された

ことで山上被告と同列で語られるが…




頭では解ってはいる…     でも



自分の深層心理では どうしても 同じ とは扱えない。



(1918年東京生まれ)

聡明だが激しい山口二矢は理解者も無いまま孤独に社会(おもに同世代や教師たち)と反発する。

  当時は日米安保などで左寄りが正常とされる時代で 愛国心や新撰組に傾倒する彼とは一線を画す世の中だったのだ。


そんな時 赤尾敏が主宰の(大日本愛国党)の演説を聞き 強烈な感動を覚える


当時 16歳   


(赤尾は天皇制社会主義という相反する思想を実現させようとしていた)



単なる厨二病ではない。  全共闘の台頭する前夜 主流は反米 中ソ主導の左翼思想がトレンドであり

保守  右翼は異端だったのです。それを若いながらも純粋に真正面からの美意識は無垢で鋭くそして儚い。


まだ三島由紀夫ですら確立してない時代(思想家よりも作家 脚本家)幼いながら山口二矢は強烈な思想を持っていた


彼は演説終了後その愛国党のトラックを追いかけ飛び乗る。



これは個人的にアニメ【攻殻機動隊sac2045】の空挺部隊を追いかけるポストヒューマン シマムラタカシを彷彿させる。



(空挺さん僕を連れて行ってよ!)



党員たちも最初は (兄ちゃんお茶でも飲んで帰りなよ ご両親は知ってるのかい?)とたしなめるが山口二矢は次の日には党に入る事を赤尾に談判する。    苦笑した党首 未成年はダメだと断るが翌日に山口二矢はアジトの前に寝泊まりするようになる。野宿だw


仕方なく見習い扱いで赤尾は山口二矢の両親と面談し(高校は卒業する成人までは責任を持って面倒を見る)を条件に双方は彼の入党を合意する。


当時を振り返り赤尾は彼に対して怖さを覚えたという。   鋭すぎるのだ。


その想い 純粋さ 行動力   


彼は敵対する左翼勢力に対して1人でも闘いを挑んで行く。  補導歴 10数回。  

警察も呆れて赤尾党首に(山口二矢を何とかしてくれ 争いを起こさないように)頼む。

赤尾も悩んだろう、自分の思想に傾倒しさらに先に進む山口二矢 若さ幼さだけでは説明がつかないピュアさ 強靭さ。   

年齢を超えた人間的な圧倒感だ。



(山口二矢のデスマスク 愛国党に今も飾られる精神的アイコン)


最初から疑問を呈していたのだ山口二矢は。

論理は納得するが どうしても社会主義と天皇制(この言葉はきらいだが)とはどうしても相容れない。  

それを熱意だけでは融合は出来ない。 行動力でしか表現 実現出来ないのだ



山口二矢は犯行を実行する1ヶ月前 愛国党を離党する。


原文ママ

【左翼指導者を倒せば左翼勢力をすぐ阻止できるとは考えないが、彼らが現在までやってきた罪悪は許すことはできないし、1人を倒すことで、今後左翼指導者の行動が制限され、扇動者の甘言に付和雷同している一般の国民が、1人でも多く覚醒してくれればよいと思った。できれば信頼できる同志と決行したいと考えたが、自分の決意を打ち明けられる人はいず、赤尾先生に言えば阻止されるのは明らかであり、私がやれば党に迷惑がかかる。私は脱党して武器を手に入れ決行しようと思いました】— 山口の供述



(山口は一撃で社会党の浅沼への致命傷を与えていた)


現行犯で逮捕され取り調べで判明したのだが彼は浅沼を殺害しそのまま自決するつもりでいた。

犯行声明は胸に 浅沼を2回刺し その返す刀で腹を切るつもりだったが 刃の方を掴んだ警備員を無視して刀を抜けば警備員の指が切断すると咄嗟に判断した山口二矢は刀を離した。


咄嗟の刹那 そんな判断が17才の者に出来たのだ。   そこまでに迷いのない想定をしていたのだろう。



(混沌の中にだからこそ咲く徒花)



逮捕後 彼は雑居房に入れられたが周りの受刑者たちはその彼の若さ 立ち居振る舞いの所作に驚かされ感動すら覚えたという  (信念を待ちその罪を全て受け入れ正座して待つ姿勢、対して自分たちは可能な限り罪から逃れたいという狡猾さ甘さ)


未成年であるが故に取り調べ後彼は独居房に移送されたその夜




自決した。


与えられた歯磨き粉で壁に【七生報国 天皇陛下万才】と書き首を吊った。


七度生まれ変わったとしても国の為に自分は報いる という天皇への忠誠。


再び言うが 暗殺は認めない。 


しかし その情緒は理解できる 単なる殺人ではなく 人ひとり殺めたのだから自分も命を持ってそれを償う武士の生き様。


古いかもしれない 頭では解っていても自分の微かに残るゴーストでは否定は出来ない。



子供たちに爆弾を抱かせ(天に行けば13人のバージン(天女)たちがお前を昇天させてくれる♪)と盲信させテロリストをさせる原理主義者たち   


元首相を奈良で暗殺しその罪は認めず重すぎると上告する無責任なテロリスト 

それを賞賛し映画化し美化する左翼たち


被告の減刑を求め署名する支援者たち。


元首相の暗殺を喜び公の場で笑う者たち



(人か?)



やはり山口二矢の影響は大きい。


煩悩が残ってるのだろう。 認める。


短い彼の一生を無視できるほど自分はまだ人間が出来ていない。



東京にあるという彼の墓前には詣りたいと思う。


それと  これは無意味なことだが…



生きていて欲しかった 山口二矢


犯行は失敗し無様でも良い

それほどの聡明さと勇気 鋭さが今の指導者 大人たちにはあるか? 


生きてたら彼は79歳。  

   こんな米の51番目の州になるか?シナの辺境の省になるが?  という安全と小金さえあれば隷属であっても良い  という死んだ大人たちの国にはなってないと思う。


合掌


【了】  



今回は自分はさがせなかったが まだ自分には少し熱はまだあると感じさせた人を知った。