9月4日(水)
Kバレエカンパニーを観に、仕事をいつもより早めに切り上げてBunkamuraオーチャードホールへ。
今回は新作です!
『カルミナ・ブラーナ』世界初演!!
世界初演ってなんかすごい表現だけど、事実よねぴかぴか(新しい)



確かこのチケットを申し込んだ時は星組星組公演のチケットを爆買いしていた時で、チケット感覚が狂っていたので何の躊躇もなくS席を申し込んだような気がしますニコ(汗)。 
でも、1階席のセンターあたり通路側(ただし今回は休憩がないノンストップ1幕勝負なので通路側である意味はまるでないけど)という大変良いお席!


初演、初日ということで、
開演前の明るいうちに哲ちゃん(熊川哲也)が客席に入ってきました。
珍しくタキシードで決め決めぴかぴか(新しい)
客席はざわつきつつも、、、拍手が起きるわけではないところが宝塚との違い。作品を観てからじゃないと拍手はないよね、うん。
(でも私の後ろのマダム二人は「キャー!かっこいー!熊川さーん!キャー!」ってなってたけどニコ

まずはプログラムを購入。開演までの間にストーリーを読みます指でOK
今回は制作会見で、どうしようもない悪魔として「アドルフ」が登場するのは聞いていました。
私はクラシックに疎いので楽曲としての『カルミナ・ブラーナ』が持つ背景は知らなかったし、そこまでプログラムを読み込む時間はなかったのですが、女神フォルトゥーナが悪魔ルシファーと恋に落ちて、授かった子供がアドルフ顔「けけけ」
アドルフは母フォルトゥーナを消し、人間界に紛れ込む。
アドルフに触れるとすべての美しいものが美しさを失い、、、そこに女神が復活して、母としての責任を果たすべくアドルフを抹殺するという。
非常に激しいお話です炎



幕が開くと、そこには修道士のような人々が集い歌います。
『第九』の時も思ったけど、合唱の方々のお芝居力に感心します。歌うだけじゃないのよね。ちゃんと役者!
それに今回は後半に児童合唱団が入ったのですが、この子たちも素晴らしかった!
あんなに小さな子が!というくらいのお子ちゃまもいるんですが、みんなきちんとしていて感心しちゃいました。

セットは簡素に見えて、教会の天井のような、光が射しつつも少しだけ妖しげな、荘厳な雰囲気が素敵です。

そして美しきフォルトゥーナは中村祥子さん
アドルフは8月に入団したばかりの関野海斗くん
関野くん、見た目にも若さや幼さが感じられるけど、スピーディーで、安定感もあって美しかったです。凄かった。入団したてでの大役も納得!

二人が重なり踊るシーンは、背後に二人のシルエットが大きく映し出されて、それはまるで阿修羅のようで、
女神とアドルフでありながら仏教的要素を取り入れたと思われるエキゾチックさがいかにも哲ちゃんという感じ。
禍々しさと神々しさが同居する世界観に一気に引き込まれました。


生まれ落ちたアドルフは客席から観る限り、普通の少年でした。
普通の少年で、美しいものにも普通に興味を持っているように見えたけど、木や花も彼に触れると枯れてしまう。
そのことに疑問を持っているように見えました。
とは言え、意図せずでも彼の周りには美しいものがまったくなく、愛もなく、非常に孤独で、もし悪魔の子ではなかったとしても悪へ落ちていく要素は十分。
最初は気の毒な少年にも見えました・・・が!
そのうち、彼自身がその状況に絶望するのではなく、楽しむようになってしまって、完全に悪の象徴になってしまったのでした顔「けけけ」

美しいヴィーナスは、最初は男が彼女に注目しても気にせず澄ました様子だったのに、アドルフに触れられると突然自分から男を誘惑し、そして男たちは彼女に群がり、、、
ここだけが実はちょっと苦手なんですが、
哲ちゃんが人間の本質的な部分を包み隠さず表現しようとしているのはわかるのです。
でも、エロスの表現があまりにも赤裸々で、恥ずかしくなったり、しんどくなったりしてしまうのです。
『クレオパトラ』の時はお子様に見せられないほどのエロス!って感じで照れちゃったのですが、
今回は悪意ある乱交という感じで、見ているのが辛くなるほどの描写でした。
大勢の男に弄ばれてボロボロになるヴィーナス。そこに最後近付いたダビデが、果たして本当の愛を持っていたのか、いなかったのかは答えがないけれど、私には少しの愛と同情を持って見えました。
でもヴィーナスはもうすべての男性が恐ろしくなって逃げてしまい、、、ダビデは少しの愛を否定されて、いわゆる「ざけんなブス!」状態で汚れた心に飲まれてしまったような。。。
何とも胃が痛くなる場面。


敬虔な神父さんもアドルフに触れると、まるで人の死をあざ笑うかのような憎たらしい姿に。
神父さんは伊坂文月くん!
悪魔のような笑顔から、顔に手をかざすと真面目な表情に。また手をかざすと悪魔のような笑顔に。そしてまた真面目な表情に。
その変化にワクワクしました。
そして、ガウンを脱いで神父たちの群舞。
コミカルだけど無機質な振付がとても面白かったです。


サタン登場。遅沢佑介くん
さすがの存在感。重厚感。
彼は黒い役が本当にお似合いで、今回の全身に炎のようなタトゥーが入ったサタンは見事にハマっていました。
私はKバレエの『白鳥の湖』を、ロットバルトがスチュアート・キャシディのものしか見ていないけれど、彼のロットバルトが見たいな。
(と、思って来年の白鳥のキャストを見たら、ロットバルトはやってなかったわ)


ふと
「あれ?祥子さんって最初と最後しか出番なし?」と思ったところで、人々や美しかったものに囲まれるアドルフ。
そしてそこに現れるフォルトゥーナ。
一瞬で場を変える

圧倒的な存在感!!
女神が祥子さんである意味を感じます。
あの美しさ、体格、技、オーラ、すべてが誰にも屈しない優しさと強さを持った女神!
その女神が息子を抑え、取り込み、闇の向こうにグルグルと螺旋を描くようにして連れて行きます。もう二度と這い上がることができない底の底へ。
アドルフを巻き込みながらグルグルと回る姿はモーターや機械的な刃物の回転ように見えて、思わず頭の中に『ファーゴ』が。ま、『ファーゴ』(や、『スノー・ロワイヤル』)は置いておいたとしても、そのくらいグロく抹殺されて、そのくらい絶対に帰ってはこれないという感じにゾッとしました。

いつもながら、哲ちゃんのステージは最後の最後。緞帳が下りるその直前に凄い瞬間を持ってきて、

鳥肌!!となって終わります。
今回も鳥肌!そして65分という非常に短い時間でしたが、時間以上の大満足を得るのでした。

拍手パチパチパチパチパチパチブラボー!!


カーテンコールはまずは指揮者のアンドレア・バッティストーニさんを招いて。それから次は哲ちゃんも一緒に。
自分が前に出ず、演者とオケを立てる哲ちゃんのスタンス、本当に好き。
そして、今回はあっさりそのくらいで。
カーテンの前に出てのカーテンコールはありませんでした。

終演後。
緞帳の奥から何度も拍手が聞こえてきました。
客席はみんな「凄かったね」と口々に感想を言いながら賑やかに去って行きましたが、ステージ上も大盛り上がりでした。
なんかいいな、この空気にこっ 


ところで。
オーチャードホールに来た時のお約束。
今回も松濤カフェへ行きました。
この間来た時は注文をレジで取って先払いでしたが、今回はさらにその以前と同じ、普通にテーブルでオーダーして後払いでした。
(先払い時代はなんだったのか)
最近パスタが登場したと聞いていたのですが、私が行ったのは夕方だったのでもう品切れ。というわけで、普通に松濤ケーキをトーストでいただきました。久々のあんこトッピング。


それから、喉の調子がビミョーだったので初めてレモネードを頼みました。


いつも通りなんですが、ひとつひとつがなかなかのボリューム!レモネードで満腹になりそう。
でもすごく美味しくて、、、もう少しお腹に余裕があればレモンをすべて食べ尽くしたいくらいでした。レモネードだけを注文してもいいかもしれない。
でもトーストケーキはやっぱり食べたい。
次回はトッピングなし&レモネードかな。