原発事故による影響で屋外での活動に不安を感じておられる福島県内のご家庭のお子さんたちに、放射線の影響の無い地域での野外活動を中心とした内容のキャンプにご参加いただいて、のびのびと屋外活動をして少しでも健やかな成長の一助となることを目的とした「ふくしまっ子Smileプロジェクト」。
浄土宗災害復興福島事務所所員と浄土宗福島教区浜通り組青年会有志を中心として、全国からのボランティアスタッフ、そしてご協賛いただいた数多くの浄土宗ご寺院さま、個々の協賛者の方々のご支援にて運営されているプロジェクトになります。
第1回目は平成24年7月末に京都知恩院さまにおける「おてつぎこども奉仕団」参加と滋賀県琵琶湖畔での野外活動を中心に行われ、福島県内から49名のお子さんが参加して開催され、たくさんの笑顔とともに無事円成いたしました(^^)
そして今回待ちに待ったその第2弾、「第2回 ふくしまっ子Smileキャンプ」が長野県にて12月26日~29日の4日間の日程で開催されました!
参加児童の募集については、福島県内の浄土宗ご寺院さまの檀信徒さまや一部仮設住宅にもご案内させていただいたとのことです。
12月26日午前5:00には、いわき市から参加する児童の集合場所に31名の児童とその保護者の方、浄土宗災害復興福島事務所小野所長、阿部所員、ふくスマスタッフ10名が集まりました!
受付を済ませ、大きな荷物をバスの荷台に預け終わったお子さんたちは、保護者の方に見守られながら、5つの班ごとに整列し、期待を胸に「出発式」に参加。
小野所長の挨拶とスタッフからの説明を受け、保護者の方々に「行ってきます!」と一同挨拶してバスに乗り込み出発。
新しくお友達になることを期待しながらのそわそわした空気がバス内には流れていました(^^)
26日の予定は、いわきを出発して、いわき市外からの参加児童を、矢吹町にて6名、郡山ICにて本宮市から参加の2名、会津若松ICにて喜多方市から参加の1名をピックアップして、北陸道経由で長野県へ向かう予定でした。
しかしながら、全国的に寒波到来によって積雪が多く、一部高速道路が通行止めとなってしまったために、東北道を南下し、北関東道を通って長野県へ向かうルートに急遽変更になりました。
今回お世話になった旅行会社「旅ごこち」様、バスの運転手さん・ガイドさんのご配慮にて急な変更にも慌てることなく対応でき、スタッフ一同ホッと胸を撫で下ろしました。
さてさて、バス内ではスタッフと子供たちの自己紹介の後、スタッフが前もって準備していたレクリエーションが行われました。
「すぎちゃん」もどき「スガちゃん」による「〇×クイズ」!
高速道路パーキングのトイレにてすぎちゃんルックに変身したスタッフは、傍から見たらかなり怪しい人物だったと思います(^_^;)
クイズは個人戦と班毎の団体戦を組み合わせて行われ、子供たちも懸命に考え、班の仲間を応援したりして、初めて顔を合わせる子供たちも距離が近くなった印象を受けました(^^)/
長いようで短い6時間という移動時間でしたが、何事もなく無事長野県入り。
お昼にはきちんと「食作法」をしてから横川駅名物の「釜めし」を堪能し、いざ善光寺さまへ。
善光寺大本願さまがバス駐車場までお出迎えに来てくださっていました(^^)
宿坊「随行坊」さまに荷物を搬入してから、大本願さまのご案内によってまずは大本願さまへ。
善光寺ご住職であられる鷹司大本願上人から善光寺の歴史や東日本大震災後に慰霊法要をお勤めされるために福島を訪れた際のお話をいただきました。
また、鷹司大本願上人からふくしまっ子ひとりひとりに直接「お守り」が授与され、緊張しつつお守りを受け取る子供たちの表情が印象的でした。
大本願さまのご本堂を参拝し、宝物殿を見せていただき、それから参道を善光寺へ。
大きな仁王門、大勧進、ご開帳時の角塔婆を見て、善光寺ご本堂内へ。
「お戒壇めぐり」も全員体験させていただきました。
中には真っ暗なお戒壇めぐりを怖がる子もおりましたが、全員「錠前」にさわれたようです(^^)
参拝を終え、随行坊に戻り、「宿坊体験」。
今回のキャンプでは、夏のキャンプ同様、食事の準備も子供たちにお手伝いしてもらいました。
慣れないながらも、スタッフや宿坊の方の指示に基づき、一生懸命お手伝いしてくれました。
宿坊に泊まってお寺の空気に触れるという貴重な体験ができたと思います。
27日。
26日夜に降り積もった雪で、前日とは違った真っ白な善光寺さまと参道、そして朝の厳しい寒さに身が引き締まる思いで、「御朝事」に参拝させていただきました。
堂内も身も凍るような寒さでしたが、皆我慢して御朝事の荘厳な雰囲気を体験することができました(^^)
子供のうちに大本山にてお寺体験をしておくことで、後々の子供たちの成長過程においてその経験を振り返ったときにお寺に対する気持ちや心持ちが変わってくるのかもしれません。
ふくしまっ子にとっても本当に良い経験になったと思います。
善光寺さま、大本願さま、随行坊さま、色々とご配慮いただきまして本当にありがとうございました!
善光寺さまでの日程を終え、ふくしまっ子は一路、「栂池高原」へ向け出発。
宿泊先の「ロッジチロル」さまに到着するやいなや、レンタルスキーのフィッティングを行い、すぐそばの栂池高原スキー場へ!
とっても良いお天気♪
レストランにて昼食をとり、午後一からスキーの腕前別に分けられた6つのクラスにて「スキー教室」に取り組みました。
子供たちのレベルは様々でしたが、久しぶりもしくは初めてスキーを体験する子も多かったので、インストラクターの指導の下、スキーの取り扱い方から転び方に始まり、徐々にスキーに慣れていったようです。
この日は、まずスキーに慣れる一日になったようでした(^^)/
スキー教室を終え、ロッジに戻った子供たちは、スキーウェアや板・ブーツをスタッフとともに綺麗に乾燥室に並べ、食当の班は夕飯の準備のお手伝い。
疲れているなか、ご飯やお茶の配膳をしてくれました。
夕食後は長旅と慣れないスキーで疲れた体を癒しに、近くの温泉施設にて入浴。
大きなお風呂に皆で入ることでより連帯感が生まれたように思います。
(いやぁ~いい湯でした^^♪)
28日。
この日は一日スキー三昧♪
午前・午後ともスキー教室にて子供たちの腕前もレベルアップ!
子供たちの吸収力には本当に驚かされました!
前日は立つのもやっとだった子供たちもほとんど転ばずに安定したボーゲンで滑れるようになり、前日には疲れて「スキーはもういい」と弱音を吐いていた子も、「もっと滑りたい!」というまでになっていました(^^)
午後3時までのスキー教室の後は、希望を取ってスタッフとスキーを続ける組と雪遊びをする組に分けて過ごす予定で、子供たちの人数も大体半々くらいになるかと予想していたら、ほとんどの子供たちがまだまだ滑りたいということで、皆で連なって時間の許す限りスキーを堪能させていただいたようです。
引率してくれたスタッフも大変お疲れだったとは思いますが、子供たちから元気を分けてもらったようです。
近年、少子化により地域の子供会なども減り、子供たちを団体でスキーへ連れて行く企画も少なくなっておりますが、今回のキャンプに参加した子供たちの笑顔を見ていると、同世代の子供たちと大勢で大自然の中、何かに取り組むことは、子供たちの成長に大きく寄与するんだなぁ、と改めて実感した一日でもありました。
夕食前に、スキー教室の会場となった栂池高原スキー場の鐘の鳴る丘ゲレンデやロッジチロルなどの宿泊施設等を総合的に運営している(株)白馬館さまの松沢社長が、ふくしまっ子にぜひ会いたいということで、わざわざご挨拶に来てくださいました。
ふくしまの復興を心から願っていること、復興を遂げたふくしまっ子たちが将来、今度は自分たちの子供を連れて栂池スキー場へ足を運んでくれることを願っています、とおっしゃっておりました。
今回のキャンプに際し、白馬館さまにはいろいろとご配慮を賜りました。
この場を借りて本当に深く感謝いたします!
夕食後には、「万華鏡作り」に皆で取り組みました。
今回、万華鏡作りの材料として、全ての材料がセットとなっている「万華鏡キット」が使用されました。
この「キット」は、京都に事務局のある「万華鏡コミュニケート」さまより寄せられたものです。
「万華鏡コミュニケート」さまが行っている「東日本再生支援の万華鏡~つながる笑顔プロジェクト~」という、被災地への応援メッセージカードを使った万華鏡作り体験を通して、「人を思いやる気持ち」を引き出し、ひとりでも多くの方々が、東日本大震災で被災された方とつながりを持つことで、支援の意識を長く持ち続けられるような環境づくりと、ひとりでも多くの方が万華鏡で癒され、少しでも笑顔になれることを目指した活動によってご支援いただいたものです。
このプロジェクトも「ふくスマ」同様、多くの方から集められたご支援により活動が継続されています。
応援メッセージの描かれたお手紙が、万華鏡の外装にちょうど良いサイズとなっており、出来上がった万華鏡は机の上などに飾っておいていつでもそのメッセージが読めるよう工夫されています(^^)
万華鏡を覗いたときの模様となる飾りも、作る人が選んで好きな形のものを入れることができ、自分だけの万華鏡を作ることができます。
前日からのスキー教室でお疲れの子供たちでしたが、スタッフの説明に従って、自分だけの万華鏡を作ることができ、満足げな表情で出来上がった万華鏡を覗いたり、お友達と交換して覗きあったりしていました。
皆が出来上がったところで、今度は応援メッセージをくれた関西方面のお友達にお返事を書かせていただきました。
お返事は、ちゃんとメッセージをくれたお友達に届けられるそうです(^^)/
また、今回「ふくしまっ子Smileキャンプ」に対しご支援いただいた方々へのお礼のお手紙も子供たちそれぞれの個性たっぷりに書いてくれました。
後々、ご支援いただいた方のもとへ届くそうです。
応援メッセージをくれたたくさんのお友達、万華鏡コミュニケートさま、本当にありごとうございました。元気を分けていただきました!
29日。最終日。
この日は、「ロッジチロル」さまにきちんと御礼のご挨拶をしてから、白馬にあるジャンプ台へ。
長野県での最終日程、長野オリンピックで使用されたジャンプ台見学です。
足がすくむ程の高さです!
ジャンプ台の説明に熱心に聞き入る子供たち。
金メダルを取った男子団体メンバーの足型やトロフィー、そして頂上滑走スタート
地点からの眺めにふくしまっ子たちは興奮した様子でした。
長野県でのすべての日程を終えたふくしまっ子たちは、一路福島へ。
バスの中では、お友達やスタッフと思い出話に盛り上がったり、万華鏡を嬉しそうに眺めたりと、長野での経験に想いを馳せている様子が印象的でした。
一人一人感想を聞いてみたところ、やはりスキー教室が楽しかったという意見が大半で、「今後ももっと上手になりたい!」とか、「次はいつキャンプあるの?」、「また行きたい!」という声も多く聞こえてきました(^^)
バスは福島県に入り、郡山市、矢吹町から参加のお友達と再会を約束するとともにお別れをして、最終到着地いわき市へ。
たくさんの保護者の方々がお迎えに来ている中、出発した集合場所へ到着し、解散式。
災害復興福島事務所の小野所長から、「おかえり」のご挨拶をいただき、その後スタッフに見送られながらふくしまっ子は笑顔を残して解散いたしました。
スキーにて軽い怪我をしてしまったお子さんはおりましたが、大事には至らず、無事全員そろってふくしまへ帰ってこられたこと、本当に良かったです。
現在「ふくしま」では、子供たちを外で遊ばせることに不安を覚える親御様が多く、郡山市、いわき市、福島市などに室内遊具をそろえた施設が開設されました。
どこの施設も利用者が多く、いつ行っても満杯のようです。
逆に、震災前と変わらずに外で遊んだり、部活を行ったりしている子供たちもたくさんいます。
子供たちの気持ちや肉体的な成長、外で遊ぶことを制限した場合のストレス、住んでいる地域や生活圏内の放射線量などを考慮したうえでの保護者の方の選択だと思います。
福島県内でも放射能・放射線に対する考え方は様々なのです。
しかしながら、どちらの場合においても放射線が与える影響についての不安は皆さん抱えているのが現状です。
ふくしまの子供たちやその保護者たちが、何の不安もなく外で遊ばせられる日が来ることを心から願ってやみません。
それまでの間、少しでもその不安をやわらげることのお手伝いを、「ふくしまっ子Smileキャンプ」ではさせていただければと考えているそうです。
今回キャンプに参加されたふくしまっ子たちが、健やかに成長することを願って記念の一枚です!
最後になりましたが、この度「ふくしまっ子Smileプロジェクト」にご協賛賜ったたくさんの方々、またご協力、ご支援いただいた関係各所の皆様には、福島事務所といたしましても心より深く感謝いたします!
本当にありがとうございました!