先日ですが観てきました
関心領域
知ったきっかけはYouTubeのCM予告
ふいに流れた映像と不快感を煽る音楽に釘付けになった
「なんだ、これは!?」
ホラーテイストな予告に興味を持つ
ちらっとググるとアウシュヴィッツの物語らしく、ホラーではない
でもインパクトがあったので出かけてきた訳です
どんな内容かというと・・・
ホロコーストや強制労働によりユダヤ人を中心に多くの人びとを
死に至らしめたアウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る一家の日々の営みを描く。
タイトルの「The Zone of Interest(関心領域)」は、第2次世界大戦中、
ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にある
アウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を
表現するために使った言葉で、
映画の中では強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む
収容所の所長とその家族の暮らしを描いていく。<映画.comより抜粋>
ほんとにね
アウシュヴィッツ強制収容所の隣に住む一家の日常が淡々と描かれるだけ
彼がその家の主人で収容所所長のルドルフ
妻のヘートヴィヒ
何も起こらないし、カメラワークもほぼないから序盤で眠気が・・・
この辺りは観ていて辛かった
どのくらいからだろうか
平穏な日常が続く中、徐々に普通ではない部分が表れる
それは描かれる日常のバックに収容所の”音”が聴こえてくるのだ
怒号だったり、銃声?だったり、悲鳴?だったり・・・
それに関しては訳もないし、はっきりとは聴こえてこない
あくまでも壁を隔てた向こう側の出来事
喧騒まではいかなくとも日常の環境音的な感じ
また映像でも煙突から流れる煙
夜、明らかに何かを燃やしている建物のカットが写し出される
収容所、火、煙・・・連想される事柄は1つでしかない
それと家政婦の1人が収容所の人達の仕事場(線路の工事?)に
夜、たくさんのリンゴを置いていく映像があるんですが
これがサーモグラフィーを使ったものなのです
真っ黒な背景にリンゴを置く家政婦だけが白く浮かび上がる映像は独特
観終えた後に見た、どなたかのブログに書いてあったけど
これは監督がこの作品に関しては照明は一切使いたくなかったので
この出来事を撮るにはこの案を採用した、みたいな事が書かれてましたね
でも、その異質な映像が特異な物語を際立たせてくれました
いつの間にか眠気は無くなるも、描かれるのは日常
そしてルドルフの昇進に伴い、異動する事になるが妻は拒否
私はここで生活を守るからあなた1人で行って、と懇願される
結局、単身で異動したルドルフの生活がちょっと流されエンディングへ
このラストでは現在のアウシュヴィッツの映像が流されたり
劇中では意識しなかったものの、とある仕掛けがあったり
(ブログを書くにあたりいくつかの考察ブログを見て判明)しました
観ているこちら側に
「あなたたちも、気付かないふりをしていませんか?」
「世界のどこかで起こっている叫びを無視していませんか?」
「それでいいんですか?」
と問いかけてくるような気がした
でも評価は75点
これは自分の好みの問題
自分はB級映画が好き
つまり、広い意味でのエンターテイメントな作品が好きなんです
序盤で眠くなったのも減点しました
作品の演出&性質上、仕方ないのかもしれないけど
多種多様な作品があり、好みではないと言っても素晴らしい作品があるのは事実
「関心領域」もその1つに入るでしょう
直接の表現はなくても、アウシュヴィッツでの出来事がこんなにも生々しく
不快感となって心に響いてくる演出、手腕は凄い
監督はジョナサン・グレイザー
ミュージック・ビデオで脚光を浴びた監督さん
ジャミロクワイの「Virtual Insanity」、自分が好きなバンド・レディオヘッドの「Karma Police」等を
手掛けていました
本作「関心領域」は長編作では4作品目
第76回カンヌ国際映画祭でグランプリに輝き、英国アカデミー賞、
ロサンゼルス映画批評家協会賞、トロント映画批評家協会賞など世界の映画祭を席巻
そして第96回アカデミー賞で国際長編映画賞・音響賞の2部門を受賞したとの事
また原作はあるものの内容は大きく変更した様子
でも作品を観たら原作者もある意味、納得するんじゃないかな
万人受けはせずとも見て損はない
色々と考えさせてくれる作品です
たまにはこんな、ある意味、毒ッ気のある映画を見てみてはいかがでしょう
とりあえず不穏な空気感を体感できる予告をご覧あれ