学習会「埼玉県内での戦争法の具体化について」 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、熊本、大分を中心とした地震の被害に遭われた皆さまにお見舞い申し上げます。

合わせて、避難不可能な状況下での原発災害を防ぐために、川内原発の運転停止を求める署名への賛同を呼び掛けます。



https://www.change.org/p/%E5%B7%9D%E5%86%85%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%82%92%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84?source_location=discover_feed



そして、戦争法廃止に向けてたゆまず行動し、憲法に違反する政治を推し進めようとする策動を許さず、医療・介護を国の責任で充実させることを求め、最低生活基準を切り下げようとする動きに抵抗し、労働者のいのちと健康と働く権利を守り、東日本大震災の被災地の復旧・復興が住民の立場に立った形で1日も早く実現することを目指して、声を上げていくことを提起します。



5月10日、当法人の学習会「埼玉県内での戦争法の具体化について」が行なわれました。以下、その概要をまとめます。



戦争が出来る国にするためには、必要な3つの整備があります。

第一は、法的基盤の整備、戦争をするための法律があることです。

2013年12月6日に成立した秘密保護法、2014年7月1日に行なわれた集団的自衛権行使容認の閣議決定、2015年9月19日に成立した平和安全法制、いわゆる戦争法がそれに当たります。さらに自民党改憲案では、緊急事態条項の創設も狙われています。この流れを止めるために署名の力が必要となります。

自民党改憲案の第98条が「緊急事態の宣言」であり、「外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態」において、緊急事態の宣言を発することができるとしています。何が「社会秩序の混乱」であるかは政府が決めることができ、政権批判が社会秩序を乱すとされ、取り締まられる恐れがあります。さらに、緊急事態の宣言を国会が承認するのは事後でもよいとされており、国会の承認を得られれば百日を超えて継続することができるという条項もあります。第99条では、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができ、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることもできるとされています。しかも、それらは事後に国会の承認を受ければよいとされ、いつまでに承認を受けなければならないという期限もありません。更に、何人も、「国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他の公の機関の支持に従わなければならない」とされており、基本的人権が危険です。また、「その宣言が効力を有する期間は衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる」とされており、選挙によって正すこともできなくなります。

第二は、人的基盤、戦争をするための人がいること、戦争をする人を育てる仕組みがあることです。自衛隊員のリクルートは、自治体の広報紙に自衛隊幹部や防衛大、陸上自衛隊高等工科学校の募集記事を掲載したり、自治体が「適齢者名簿」や「住民基本台帳」の一部の写しを自衛隊員に閲覧させ、それを元に高校生にダイレクトメールを贈ったりすることで行なわれています。一度自衛隊に入隊すると就職先が広がるという宣伝が行なわれ、奨学金の返金をするということも予想されているそうです。

また、歴史教科書を変更し、「侵略戦争はなかった」「戦争は間違っていなかった」ということを宣伝する教科書が既に使用されているそうです。埼玉県平和資料館においても「加害責任」に関する展示が次々と「修正」され、入り淵の年表から満州事変や熊谷空襲が消されたりしているそうです。

第三は、物的・財的基盤、戦争するための軍隊、装備、お金があることです。2005年からわずかながら下がっていた防衛費が、安倍政権になった2012年から毎年上がって行き、今年度予算で初めて5兆円を突破したそうです。復興予算の名目で、自衛隊機の購入も行なわれているそうです。また、自衛隊はオスプレイ17機を配備予定であり、米軍は横田基地に10機配置する予定であり、現在沖縄に配置されている24機を合わせて、51機のオスプレイが日本を飛び回ることになります。入間基地にはC2が配備されようとしており、これは医療ユニットが入るようになっており、「空飛ぶ治療室」となるそうです。

基地の強化や訓練の変化も行なわれています。

沖縄では、辺野古新基地は普天間基地の代替施設だと言われていますが、普天間基地にはない大型艦船が接岸できる港湾や、弾薬庫もある巨大な軍事要塞が計画されています。東村孝枝には、オスプレイのヘリパットの建設が進められています。


埼玉県は実は自衛隊施設が多く、自衛隊大宮駐屯地内にある大宮化学学校では、核、生物兵器、化学兵器などの防護要因の教育訓練が行なわれており、サリンなどの殺傷能力が極めて高い7種類の毒ガスを製造・管理していることがわkっているそうです。この施設は住宅地の真ん中にありますが、危険物質の保管場所の届け出は消防署にも出されておらず、万が一漏れた場合、秘密裡に処理される恐れがあるそうです。

飯能市では、山中でレンジャー訓練が行なわれており、小銃や銃剣を携行することもあるそうです。

朝霞駐屯地には陸上総隊の司令部が設置されることになっているそうです。それは陸上自衛隊の各方面隊を束ねる統一司令部の新設であり、空自は横田、海自は横須賀に設置されるそうです。それらの統一司令部はアメリカとの合同司令部となるそうです。

入間市では、米軍基地返還地留保地に災害対処拠点と自衛隊病院が建設されることになっており、これは議会を通さずに市長が受け入れを表明しているそうです。元は市民公園にする計画であり、災害対処拠点は使用していない時は地元民に開放するとのことですが、訓練時には自衛隊員が野営をする場所となるそうです。自衛隊病院は、海外で負傷した自衛隊員を運ぶことが予定されており、滑走路が近いところがいいので入間市が選ばれたそうです。防衛省には「自衛隊の第一線における的確な究明に関する検討会」が設置され、海外の前線で活動する自衛隊に重度の負傷が生じ得ることを想定し、救護の状況はどうなるか検討を行なっているそうです。第一線では民間の医療チームは現場にアクセスすることが不可能であり、収容所や野外病院等に後送するまでの間に外科的気道確保、腹腔穿刺等の処置を行なうことで救命率の向上が期待されますが、現在これらの処置を医師ではない自衛隊の衛生科隊員が実施することはできないため、救急救命士かつ准看護師である自衛隊員を教育・訓練して第一線救護衛生院として認定し、有事緊急救命処置を行なわせることが検討されているそうです。

防衛医大病院では、自衛隊が海外の任務において未知のウイルスに感染することを想定し、一種感染症診療及び医療安全・感染対策強化のための増員など、感染症専門の人材育成と施設の強化が行なわれているそうです。防衛医大防衛医学研究センターでは、テロ攻撃に伴う爆傷の増加を想定した研究が行なわれているそうです。

1950年の警察予備隊創設以来、紆余曲折はあったものの、自衛隊員自らが他国民を殺すことも、敵に攻撃されて自衛隊員が死ぬこともありませんでした。改めて自衛隊や米軍の動きを知り、変化に敏感になる必要があるということが指摘されました。


以上で報告を終わります。