猫印ウイスキーと、オーストラリア商標 | 特許翻訳 A to Z

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新潮社から出ている、『ウイスキー通』という書籍があります。
Q&A形式で、ウイスキーについて幅広く書かれています。

その中に、
 「日本で最初にウイスキーが飲まれたのはいつですか」
 「日本にウイスキーが輸入されるようになったのはいつ頃ですか」
という問いがありました。

それぞれの回答から、一部を抜粋します。
 

ペリーの黒船が浦賀沖に来港した1853(嘉永6)年の7月、旗艦サスケハナ号に浦賀の奉行や通訳などが呼ばれ、船上で開かれた宴でウイスキーが振る舞われたというのが、文献に登場する最初ではないかと思われます。 (p.214)

1861年(文久元)年に横浜で、英字新聞「ジャパン・ヘラルド」が創刊されましたが、紙面にはいろいろな広告が出ています。その中にベイカー商会が「ワイン、ビール、スピリッツ及びブランデー、ジン、ウイスキー」を販売するという広告を掲載します。この他にも、タサム商会などが外国人居留者向けにウイスキーの輸入を行うようになりました。その中で一番有名なのが、1871(明治4)年に横浜山下町のカルノー商会が輸入した通称「猫印ウイスキー」で、これが日本人向けのウイスキー輸入の最初の記録だとされています。(p.218)

土屋守 著 『ウイスキー通』より抜粋

 

この「猫印」ウイスキー。

上記の書籍同様に、「日本人用」という断り書きがなされている説明は他にも散見されますが、そうかと思えば「我が国初輸入のウイスキー」「日本に輸入された、もっとも古いウイスキー」など、「日本初の輸入ウイスキー」だという説も。

そして、カルノー商会が輸入した「猫印」が日本で最初の輸入ウイスキーだとする説はインターネットと書籍を合わせるとかなり多く、この「猫印」の本当の銘柄は何なのか?と探している人たちも散見されました。

ちなみに『ウイスキー通』には、「スコットランド大家の紋章であるスタンディング・ライオン、「立ち獅子」が、日本人には猫に見えたからではないか」という仮説が書かれています。

ためしにGoogleで「猫印ウイスキー」を検索してみたところ、スタンディングライオン以外に、「犬や猫のかわいいラベルの旨いウイスキー」にあるグレンタレット蒸溜所の「ウイスキーキャット」、ほかには出自不明の「BURKE’S Fine old Irish Whiskey」に、明らかに猫と思われる絵が・・・。

特に後者の「BURKE’S Fine old Irish Whiskey」については、時代からしてカルノー商会の「猫印」ではないかという説もありましたので、関連性を調べてみました。
まずは、キーワード

   "BURKE’S Fine old Irish Whiskey"

で、Googleの画像検索です。

この検索結果の中に、白黒の画像が混じっています。
そのうちの1つにマウスポインタをあてたところ、「ipaustralia.com.au」ドメインが表示されました。
オーストラリア特許庁ですね。



以前に「特許庁のURLを、翻訳に活用する」で特許庁のドメインを覚えることの意義を書いたことがありますが、こういうときに、役に立つのです。
見た瞬間、特許庁だとわかりますので。

ここに、5602という番号が出ています。
オーストラリア特許庁には商標のオンライン検索システムがありますから、確認してみましょう。
ログオンなしの「Guest」アクセスで十分です。

おそらくは権利期間が切れているであろう古いものですから、「Trade Mark Status:」欄に「All」を選び、「TM number range」は「Equal to」にして、5602を検索します。



Word欄には「"BURKE'S" FINE OLD IRISH WHISKEY EDWARD AND JOHN BURKE」と記載され、Imageの説明は「CAT SITTING ON BATON THREE FIVE-POINT STARS DOUBLE RECTANGLE,ROUNDED-CORNERS」とあります。

これですね。
Edward and John Burkeという、個人名らしきものも出てきました。

実は、上述の画像検索では白黒の画像がもう1枚ヒットし、さらに有意な情報が見つかっています。
別の特許庁での確認になりますので、続きは次回に。
 

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