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前回からの続きです。
アルゴンの化合物として唯一のargon fluorohydrideがフィンランドの科学者によって見いだされた事実が、G-Searchに登録された150紙誌の日本の報道記事には見当たりません。
それでは外国はどうなのか?ということで、調べてみました。

まずは、New York Times1851年以降の記事を検索できます。
「argon fluorohydride」、「Khriachtchev」、「A stable argon compound」のいずれもヒットゼロ。
ないですね・・・
1987年4月1日以降が検索対象となる、USA Todayは?
やはり、3つのキーワードのいずれもヒットしません。

そんなに「どうでもよい」ことだったのでしょうか。

次は、横断検索です。
世界の新聞を数十年から200年前後検索できる、Googleの新聞アーカイブ検索を使います。

米国版
argon fluorohydride1件ヒット(2014年9月26日の記事)

  Professor Hanington’s Speaking of Science: Lazy Argon
Khriachtchev:件数が多かったのでargonを掛け合わたところ、2件(2008/5/23、2016/1/6)
 片方はNatureの論文、もう片方は昨日言及したハフィントンポストの「気配を隠すアルゴン」
A stable argon compound1件(Natureの論文そのもの)

日本のみならず米国でも、実質的に出てきません。
わずかに書かれている記事も、ずっとあとになってからのものでした。
他の国でもいくつか試してみたものの、結果は同様です。

それでは本家のフィンランドでは、どうでしょうか。

・・・と思ったら、そもそもフィンランドバージョンは、用意されていないようです。
Finlandでも、フィンランド語のSuomen tasavalta、Suomiでも、リストにありません。


お隣のスウェーデン(Sverige)が含まれていますので、スウェーデン版で。
結果、「Khriachtchev」と「A stable argon compound」は米国版と同じ、argon fluorohydrideのスウェーデン語訳「Argonfluorhydrid」になると、報道なしとなりました。

※スウェーデン訳語は、Wikiipediaの「argon fluorohydride」の項で左サイドバーで言語をスウェーデン語(Svenska)にして出てきた見出しで拾いました。

念のため、Google本体のフィンランド版を探してみます。
日本版がgoogle.co.jp、アメリカがgoogle.comなら、フィンランドは国コードFIで
https://www.google.fi/
ではないかと予測して入れてみたところ、見事フィンランド版になりました。



フィンランド語もしくはスウェーデン語がオファーされていますので、フィランド語を選びます。
その上で、argon fluorohydrideのフィンランド語訳(上記同様、Wikipediaで拾った「Argonfluorihydridi」)を検索しました。

これで数十件で、科学者名のKhriachtchevを掛け合わせると、4件
やはり、皆無に等しいです。

argon fluorohydrideは、机上の空論ではなく赤外分光でアルゴンとフッ素や水素との結合が確認されていますし、のちにCAS番号もついています。
でも、報道されていないのは日本だけでなく、世界を見渡しても同じでした。

昨日言及した『スプーンと元素周期表』には、「単にやったことを発表するだけで十分誇れた(原著:Simply announcing what they'd done was bragging enough.)」とありますが、どうやらメディアが報じるほどではなかった、ということですね。

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