祖母との別れ | 石田紗英子 オフィシャルブログ

祖母との別れ


近鉄吉野線で大和上市へ向かう。
たまたま、観光列車『青の交響曲』車両だ。


昭和4年生まれの祖母は、この沿線の六田と
いう所から、大和上市の祖父に嫁いだ。
長男跡取りの嫁として、家族を支えてきた
エピソードを沢山聞いている。

吉野口の辺りから、
より森林の中を走り出した。
進みゆく列車と平行に吉野川が流れる。
この里山の風景は、私が幼い頃より
何一つ変わらない。

私を育ててくれた吉野、
そして、祖母も生まれ育った吉野、
自身の思い出と、祖母の人生を重ねながら、
列車は走る。

祖母は、長年病気と闘っていました。
でも、誰より“気ぃつかい”で、人の世話に
なりたくないと思う人でした。
晩年思うように動けなかった祖母は
さぞや苦しかったことと思います。

今の仕事をさせていただいて
本当に良かったこと・・・
パーキンソン病だった祖母は、
気持ちが落ちていく夜に
私の出演を見ることを励みに 
頑張っていたと聞きました。

昨年、桜の季節に、吉野山からの生放送に
ゲスト出演させていただいたのですが、
放送後に立ち寄った時の、
祖母の凛々しい姿は一生忘れません。
「しっかり喋っとったな。」と、
綺麗な服を着てお化粧した祖母が
そう言ってくれました。

まるで、私が仕事をする時に、
一緒にスイッチオンしてくれていたよう
だったと、今、思い返しています。

春にまた吉野行くからねと、
宿も予約していたのですが・・・

2月14日、満90年の人生を終えました。

おばあちゃん、大事に育ててくれてありがとう。
吉野のこの変わらない風景は
私の心に在り続けるもの。
優しいおばあちゃんの姿そのものです。