NASAは、時々みんなをびっくりさせるようなニュースを流す。
ほとんどが地球外生命体の存在の可能性を示す証拠の発見であるが、
いまのところ決定的なものは公表されていない。
NASAが隠蔽しているのかもしれないが、
そんなものは絶望的に可能性が薄い気がする。
絶望的だが、予算を獲得するために、
時々世間を驚かすニュースを発表しているのかもしれない。
UFOにしても、どこかの国の秘密兵器の実験であるとすれば、
それで説明がついてしまう範囲のものでしかない。
南米の上空のUFOなども、ナチスの残党が密林の奥に造った秘密基地から、
飛び出してきた実験機と考えたほうが理屈に無理がない。
電波の届く範囲内には、知的生命体は存在していないように思える。
地球生命が存在していなかったとしても、
この宇宙に何か不都合なことがあるようには思えない。
広大無辺の宇宙に生命が存在しなくても、

宇宙の存在・活動に支障はなさそうである。
では、なぜ生命現象が存在するのか?
多分、完璧を否定する何等かの力が働いているように思える。
……
最初、宇宙は完璧な形に創造された。
しかし創造主は、名状し難い不快感に襲われた。
論理的には完全に法則にしたがった宇宙であったが、

どういうわけか存在感がない。
なにもかも理屈にあいすぎて動きが無い。
どこにも非対称の部分がない。
そこでハッときがついた。
「そうか、誤謬粒子を閉じ込めてしまっていた、

これでは宇宙は動きがとれない。
どこかに理屈にあわない非対称を造らなければならない。
宇宙の片隅に、一ヵ所だけ不条理の奇跡を発生させよう」
しかし、それは犯罪行為だった。
創造主は、牢獄につないでいた誤謬粒子を解き放ち、

全宇宙の原理に対する違反を実行した。
永遠に出会うはずのない2つの惑星が衝突し、ありえない現象が発生した。
霊物混濁の、みるもおぞましい生命現象という邪象であった。
それは、ほんのちょっとした傷であったが、
あってはならない傷のために、全宇宙が苦しみのたうちまわった。
……のかもしれない。