長らく封印してきたエジプト旅。
オマーンに続いて、いやオマーン以上に不愉快なことの多い旅だった。
何がそう不愉快かって・・・( ´艸`)
それは・・・
“不幸な”エジプト記の始まり始り~
これまでの”不幸”話はこちら:
1) 出だしは悪くなかった
2) エジプトを舐めるな !
11) イブラハム、いったい何者?
12)He’s good!
13) サンダルウッドの精油がほしい!
16)まさか、カメラまで!?
18) 気を取り直して、考古学博物館見学
19)水タバコで休憩を取る人々
22) やはり、グルだったか!
23) これ、ミント油でしょ?
24)爆発!開き直ったか!
25) つける薬がない
第32話:水浸しの指定席
少年たちが去った後、私は特にすることがあるわけでなく、ホームで列車が到着するのを待っていた。
この画像はイメージとしてネット界よりお借りしてきました
ほどなく到着した列車は紺色の車両をいくつもいくつも連ねた長い列車だった。
こんな雰囲気の列車だった。もう少しきれいだったかもしれない。
これだけ長いと自分が乗るべき車両を探すのも一苦労する。
それでも、私は該当車両をなんとか見つけ出し、乗り込んだ。
が、しかし、そこには、想定外の世界が広がっていた。
「しまった、一等席にしておけばよかった!」
私が手にしているのは、二等席の切符だった。
後悔先に立たず。
混んでいるだけでない。
悪臭が漂っていた。
おまけに寒い。
私は、コンダクター(車掌)に
「差額を支払うから、1等車に変えてほしい」
と頼んだ。
しかし、「ダメだ」の一点張りだった。
まったく、融通が利かない
仕方なく、二等車両に戻って席に着いた
エジプトの夜行列車に乗るのは初めてだった。
まさか、深夜0時に出発する列車の座席が普通の着席タイプだなんて
この座席に夜通し9時間も乗ることになるなんて
想定外だった。
こんな感じ。実際は昼中でなく夜中に走る電車で、満席だった。
イメージとしてお借りしてきた画像です。
走行時間帯から、こちらのタイプ↓を勝手に想像していた。
通路を挟んで隣の男性がニヤニヤしていた。
どうやら、私の座席は水浸しらしい
そう言われてみると(言われなくても)座席はかなり冷たかった。
座席の“冷え”は着席したときから感じていた。
しかし、エジプトの2等車はこんなものか、と思い込んだのだった。
それにしても、冷たすぎる!
立ち上がると、お尻や背中がびっしょり濡れていた。
着ていた上着は水分を吸い、色を変えていた。
何これ?
ただのお水だよね?
誰かがこぼしたジュースとかだったら、めっちゃ嫌なんだけど。
私は席を立ち、すぐ後ろの座席に腰をおろした。
やれやれ。
指定された座席が水浸しだなんて、まったくついていない
エジプトに着いてからというもの、どうしてこうもトラブルが続くのか。
とりあえず、誰の席かはわからないが、この席に座らせてもらおう。
しかし、そうは問屋が卸さなかった。
しばらくすると、
「ここは私の席です。どいてください」
と言う男性が現れ、その座席を奪われた
「捨てる神あれば拾う神あり」とはよく言ったもので、それを見ていた別の男性が
「お嬢ちゃん、ここに座っていいよ」
と席を譲ってくれた。
そして、私は眠りについた
長い1日だった。
イギリス在住のバングラディッシュ人ジャーナリスト、モハメッドがエジプト考古学博物館見学後に「そのカメラ、250ドルもしないから」と私が買ったカメラの価格が適正でない!と言い出したところから、私の運命はイブラハムに再会するよう仕組まれていった。
私は二度と会うことはない!と思っていたイブラハムに再び会いに行った。
サンダルウッドの精油だと偽ってミント油を掴ませたイブラハムに一言言ってやりたい気持ちがあったからだった。
そこから始まって、イブラハムと夜の砂漠へ繰り出し、旅行代理店の旅程作成ミスが原因でラムセス駅で全力疾走もした
たった1日の出来事とは思えないほど盛りだくさんで、私は秒速で眠りについた。
しかし、再び事件が起こったのだった。
私は、複数の切符を手にした初老の男性に起こされた。
「この席はあなたの席ではありません。
自分の席に着いてください」
次回へつづく・・・
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