人事考課の法的な留意点 | 人事コンサルタントのブログ
2009年05月07日

人事考課の法的な留意点

テーマ:03 人事考課

 人事考課制度を導入して実際に行う場合に、法的に考慮すべきことは何でしょうか。

 

 「人事考課の法的根拠」の記事のところでも書きましたが、「公正処遇」「能力活用」「能力開発」等の目的で、社員の能力や行動、成績などを判定する人事考課は、使用者の人事権の一部といえます。

しかし、人事権の一部とはいえ、不公正で恣意的な人事考課が許されるということではありません。当然、使用者には「公正評価義務」があります。

 

 労働契約法の条文の2005年の試案には、「(人事考課・査定に係る公正評価義務)第34条 使用者は、人事考課・査定(昇給、昇格、昇進等の労働者の処遇に係る評価決定のことをいう。)については、本条の定めるところに従い、これを公正に行わなければならない。」という条文がありました。

 

 実際に成立した労働契約法には、上記のような明確な条文はありませんが、第3条の4項「信義則」5項「権利濫用の禁止」によって、公正評価義務を求めています。

 

 また、過去の判例でも次のように公正な評価が求められています。

 

・ 「明確な査定基準を設けるなど、公平かつ適正に実施すべきものであることは言うまでもないことである。」(昭和43.7.26、大阪地労委、富士輸送機工業事件)

 

・ 「昇給査定は、その裁量権の範囲を超え、またその濫用があった場合には、違法と解される。」(昭和54.12.11、東京地裁、セーラー万年筆事件)

 

・ 「一般的にいって、職務の性格その他の事情のため出来高払い式の賃金体系を採用できない使用者の場合は、考課査定制度を採用することにより賃金を決定したいという意欲にかられることは十分理解できるのではあるが、これは一面その運用において使用者が恣意に陥る危険性があり、労使紛争の原因となりやすいものである。したがって、この制度を採用しようとする使用者は、考課査定がいささかも恣意にわたることのないよう明確な基準を設け、公正を疑われないよう万全を期すべきである。」(昭和46.12.1、大阪地労委、圓井製作所事件)

 

 やはり、人事考課を実施する以上は、仕組みやルール、評価基準を明確にすることはもちろんのこと、定期的な考課者訓練などでルールや基準通りに運用されるようにすることが不可欠になります。

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