名ばかりの管理職の例 | 人事コンサルタントのブログ

名ばかりの管理職の例

 当社の管理職は、遅刻をするとその分控除されたりしますし、職務権限も明確になっているわけではありません。例えば、経費の支払いの許可の権限も部長にはありません。心配なのですが、具体的にどのような例が「名ばかり管理職」にあたるのか教えてください。

 

 管理監督者の判断基準は、通達(昭和63年3月14日基発150号)により次jのように示しています。
管理監督者の範囲について、「経営と一体的な立場にある者の意であり、これに該当するかどうかは、名称にとらわれず、その職務と職責、勤務様態、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か等、実態に照らして判断すべき」としています。


すなわち、
① 経営者と一体的な立場にあるか?
② 自由に自分で出退勤できるか?
③ 職務に重要性に見合う報酬を得ているか?
で判断されということです。


WAVE出版の「すぐに使える会社が得する就業規則」に次のような例が示してありました。


● ミューズ音楽院事件(平成17)
① 採用にあたり上司に報告していた ×
② タイムカードにより管理されていた ×
③ 役職手当はあったが、労働時間の規制をなくすほどの金額ではなった ×
→ 管理監督者として認められず。 ×

 

● 風月荘事件(平成13)
① 店舗の人事権を有していない ×
② タイムカードにより管理されていた ×
③ 店長は手当を含めて42万円、次の地位のものは27万円で賃金で優遇されている。 ○
→ 管理監督者として認められず。 ×

 

● レストラン「ビュッフェ」事件(昭和61年)
① 店の売上管理が任されていた、人員の採用件を有していたが賃金等は会社が決めていた。 △
② 午前11時から午後10時まで拘束されており、タイムカードのより管理されていた。 ×
③ 店長手当は2~3万円の支給があった。 △
→ 管理監督者として認められず。 ×

 

○ 徳州会事件(昭和62年)
① 自己判断で募集し素養していた。業務の必要に応じて出張命令を出していた。 ○
② タイムカードは刻印にしていたが、便宜上のもので、実際は労働時間は自由に決定できた。 △
③ 課長としてふさわしい責任手当、包括的な時間外労働手当として特別調整手当を支給していた。○
→ 管理監督者として認められた。○


 今年の9月9日に、厚生労働省はチェーン店や小売店などの店長らを対象として、管理監督者の権限などを示し、管理者としての適正化を徹底する通達を全国の労働局に出しましたので、それも参考にしてください。


 → 「名ばかり管理者」の判断基準