水といっても美味しい水とか、体にいい水とかのことじゃない。



考えることもなく、季節でもないカキのことを思っていた。


この冬はカキフライがあんまりでなかったな。

あのしたごしらへは、美味しい思いができるんだがな。

そんなことでもうつらうつら思っていたらしい・・・



そういえば、カキを洗うのに塩水を使うのはどうかと思うよニャ。

鹹くて味見もできニャい・・・


水で洗ってくれれば、あっという間に洗い水が白く濁ってあれを味わうのが美味しいのにニャ・・・




そもそも猫には不都合だが、だから塩水を使うらしい・・・



カキは塩水でささっと洗いましょう。というらしいではないか。

水で洗ったのでは、カキがごくごくと水を吸い込んでしまい、あちこちぷちぷちと破裂し始めて美味しいところがあふれてくる。せっかく閉じ込めてあった海のミルクがじゃぶじゃぶと漏れてしまうのだろう。


カキは塩水でささっと洗いましょう。

ごしごし何度も洗っては味が抜けます。

大根おろしを入れて洗うとささっと洗えます。なんていう。


大根おろしを使うと大根の繊維がたわし代わりになって、あっという間に細かい襞のところの汚れやぬめりが取れますよ。

と、だいぶ前にはテレビで料理人が白い帽子に白い装束で話していた。


結構な大根おろしを使ってごみにするのはこの頃はいただけないのだろうか、片栗粉を入れて洗うと、片栗粉の細かい粒が磨き砂のように細かいところを洗ってくれますよと言っていた。


たわし代わりが必要なら確かに片栗粉の方が細かいとこまで入りそうだ。



ところでさっぱりとした洗いあがりというか、カキのふわふわあみあみした襞を洗うというと、同居人の言ううには大根おろしがいいらしい。


たわしなら片栗粉よねと洗ってみたら、大根おろしより磯臭いカキに洗いあがったみたいに思うという。


これは、たっぷり磯臭いのも風味だと感じるひとには味が抜けすぎないで美味しいカキにあらいあがっただろうと。


同居人も知り合いもカキは濃くて甘い中身の味がよい、磯臭いのは風味に数えたくないという好みであるので、カキフライとなると、大根のしっぽだとかいってないで、大根を買ってきておろして使っていた。


どうしたことだろう、たわし代わりならきっと片栗粉の方が傷つけず細かいところに入り込むだろうに。



そんな疑問に、思いついた答えを知り合いが口にした。

ごみも磯臭さも巻き込んだカキのぬるぬる物質は、何か糖がくっついてるとか、大根含有ジアスターゼが働いてきりきざんでより水に溶けやすくするんではなかろうかね。


そのために、たわしでこすり洗いというより石鹸水でじゃぶじゃぶゆすり洗いの洗濯物のように洗って、ぬめりごと磯臭さも汚れも流しているのではなかろうかね。



大根おろしで洗うならあたしにはその洗い水は美味しいものではない。むしろ洗いあがったカキが食べたいから、塩水を使うなんて要求はしないでいよう。


そういえば、やっぱりテレビで、白い帽子白装束の料理人が、カキは水で洗えば大きくなって安上がりにたっぷり料理ができあがるが、味が抜けるし薄まると話していた。


そうであろうそうであろう、塩水が薄いとすすぎ水が白く濁ってあまりの美味しさに、塩水洗いはやめて欲しいと思うのは、そういうわけであったのかと思った。


カキではすすぎ水だから身がむちむちと浮腫んで中身がしみ出すのはありがたくないが、同じような作用を利用して水は調味料というやり方があるらしい。


考えることもなく、カキによだれがたれそうになりながら、次の好物に思いが移っていった・・・