☆豪農だった文豪の生家は旅館を経て国・重文に☆
場所・ 青森県五所川原市金木町朝日山412-1
電話・ 0173-53-2020
創業・ 旅館としては昭和25年以降くらいから1995年まで
竣工・ 明治40年(1907)10月
構造・ 木造2階建て 入り母屋造り 亜鉛鉄板葺き
設計・ 堀江佐吉 津軽の天才棟梁 洋館もできる
施工・ 斎藤 伊三郎
料金・ 見学のみ 500円 9~17時 *当時の御値段
最終訪問・ 2024・04 再訪ではあるが1度目は外観のみ
*国・重要文化財
青森県の津軽半島のほぼ中央に位置する静かな町、五所川原市金木町
津軽平野から峠を越えて「ストーブ列車」で有名な津軽鉄道が通る町、文豪・太宰治の出身地として知られる町です
この建物はかつてはこの地域の大地主・津島家の邸宅でした
戦後は「斜陽館」と名付けられ旅館になっていたこの建物は「斜陽」「走れメロス」「人間失格」「晩年」等で知られる小説家・太宰治の生家で、父・源右衛門の手によって明治40年(1907)10月に完成しました
長い煉瓦壁で中は見えない 邸宅あるある
住居と金融業店舗を兼ねた和洋折衷の木造建築です
源右衛門は、貴族院議員まで務めた政治家であり、地元では先代から続く金融業の他金木銀行や金木電燈などを経営する企業家でもありました
家が完成した2年後に誕生した6男修治が、のちの太宰治です
修治は明治高等小学校、青森中学へ進学、21歳で東京帝国大学に入学するまでこの家で過ごしました
津軽での思い出や自分の故郷への想いが描かれた作品
その後、昭和20年(1945)7月には戦争のため東京から一時疎開し、妻子とともにこの家で生活した時間もありましたが、昭和23年、39歳のとき、東京・玉川上水に入水自殺しました
彼は背が高くイケメンで女性にはモテましたが、大酒のみで薬物依存、数回に渡る自殺未遂など色々と大変な人生だったようです
性格もけっこうきつそうで孤独な人だったのではないでしょうか
作品の内容からもあんまり明るい感じはしませんし、まあ芸術家というのは色々と難しい人が多いですよね
才能があって頭も良かったみたいなので早死にはもったいない人だったかも知れません
その生き方自体が彼という芸術家の作品だったのでは
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話は変わりますが、旧津島家は金木町の中心部にある約2250平方mの広大な敷地に建っています
木造2階建て、入り母屋造り、屋根は亜鉛鉄板葺きです
部屋数は1階が11室、2階が8室で、延床面積が約1300平方mあります
全てにヒバ材が使われた豪邸の他に、文庫蔵、中の蔵、米蔵の3棟が建っています
伝統的町家の形式を踏襲しながらも、応接室や店舗部分、階段、廊下などに洋風な造作を取り入れた旧津島家は、津軽財閥の大規模住宅としてだけではなく民家としても高い価値を生み出しています
その後、邸宅は津島家の手を離れ、1995年まで「旅館 斜陽館」として、ファンに人気を博し、喫茶店までありましたが、1996年には行政に寄付されました
旅館時代は20世紀で終わってしまったので、泊まるチャンスはありませんでしたが、かえって500円で気軽に中に入れるようになって良かったですよね
*
私が訪れたときはG・Wで太宰FANの若い女性などで混雑していて入る気になれず、外観見学のみでした
もうこの辺りには来れないと思うのでチャンスを逃してしまいました(きっと、そんなことないぞー、がんばれ、私)
応接間などは洋館の造りでぜひ見てみたかったのですが。。。
この近くには太宰親子が暮らした離れの「新座敷」(大正時代築)もあります
この新座敷では世情を風刺した「春の枯葉」「冬の花火」「パンドラのハコ」「親友交歓」「トカトントン」「15年間」「苦悩の年鑑」などが書かれたそうです
こちらにも洋室があるので、セットで見学してみても楽しそうです
私の人生最初の太宰文学との出会いは中学生のときに国語の教科書に載っていた「走れメロス」
授業の課題で感想文を書くことになり、それを書いたら国語の先生に褒められました
それだけ彼の文学は強く刺さるものがあったからこそ、私も良い文章を書けたんだと思います
それから大人になるまで彼の作品はあまり読むことはなかったですが、津軽に旅をする前に「津軽」「人間失格」などの作品や映画を見たりしました
最近だと、映画「人間失格 太宰と3人の女たち」なんて面白かったですね
沢尻さんや、二階堂さんの体を張った演技もすごかったですが、沢尻さんのキャラが現実の彼女とそのままだったのも、印象的でした
彼女もとてもきれいなハーフの女優さんで、旅やFES好きなこと、実力があること、キャラも興味がありましたが、あの事実は残念だったなあ
芥川賞作家の又吉さんもかなり影響を受けていることもあり、あの独特の雰囲気も含め好きな作家です
太宰さんの死ぬほど欲しかった芥川賞、彼の子供だか孫さんが作家になり、「じっちゃんの仇」じゃないですが、芥川賞候補になっていたようですが、才能は確実に受け継がれていますね
今後また、津軽へ頑張って旅をし、そのときにはリベンジしたいと思います
小説・木造建築・洋館好きの方にもオススメです(^^♪