40点。とにかく読みにくい。

 

昭和十年一月、書き下ろし自費出版。狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に著者の

思想、知識を集大成し、”日本一幻魔怪奇の本格探偵小説”とうたわれた、歴史的一大奇書。

(Amaz○nより)

 

ミステリー小説です。本書は。

なので巷の噂ほど身構えなくても良いのですが…とにかく読みにくい。

 

作中作の構造を持っているのですが、登場するのが単に作中世界での"小説"なだけではなく、

詩、歌や研究論文、文献などミステリー"小説"ではないものが多数登場するため、"小説"を

読むつもりでいた時分からすると、とにかく読みにくく感じるのです。

 

読後の感想としては、本書を1本のストーリーラインとして捉えない方が良いと思いました。

ストーリーにスポットを当てるには、周囲の構成要素はぼやかしたり端折ったりした方が

それが際立つ訳ですが、本書はそれをしていない。だから作中の文献などが厳密に余すことなく

描かれる訳です。

 

そして、いわゆるフラクタルな構造(またはループ構造)によって本作の世界が構成されています。

ミステリーを楽しむというより、こういった世界構造を作り上がっていることに驚いてそれを

楽しんでもらえばと思います。