腎・尿路疾患・水・電解質代謝異常の泌尿器科的(尿路)疾患のお話。
今回は泌尿器腫瘍の、腎細胞癌と尿路上皮癌の2疾患の説明です。
★[腎細胞癌]renal cell carcinoma(RCC)★
【概念】
主に腎近位尿細管から発生する腺癌です。
●疫学
日本での1997年の年間罹患者数は約7,000人、死亡者数は3,000人で最近増加傾向にあります。
60歳代を中心に男性に多く発生します。
●成因
第3番染色体短腕の遺伝子(VHL遺伝子)に異常がみられることが多いです。
●臨床像
腎細胞癌(RCC)の古典的3主徴(腹部腫瘤、腎疼痛、血尿)がそろう症例は20%以下とまれです。
無症状でCT、MRIで偶然発見される場合が多くなってきています。
●検査所見
RCCに特有の腫瘍マーカーはありません。
CRP高値、血沈の亢進が認められる場合は予後不良です。
《進展》
初診時に遠隔転移を有する例が約20%と多く、血行性転移、特に肺転移が多いです。
脳転移は極めて予後不良です。
長期(5~10年以上の)無病期間を経て再発することも少なくなく、このため長期にわたる経過観察が必要となります。
●診断・鑑別診断
CT、MRIの画像診断によります。
血管造影では血管増生を示すことが多いですが、小径のものでは逆に血管増に乏しいことも少なくありません。
腎動脈・下大静脈に進展し腫瘍塞栓を起こすことがあります。
経皮的針生検は一般的には行いません。
鑑別診断の対象として腎血管筋脂肪腫(腫瘤内に脂肪の成分が含まれることで鑑別する)、腎盂癌(腎盂内に突出する多くの腎盂内に突出する乳頭状の腫瘍を認めることで鑑別する)があります。
●治療
《手術》
原発巣には根治的腎摘除術(Gerota筋膜、副腎を含めて摘除する)が行われます。
開放手術が主流ですが、腹腔鏡的摘除も行われています。
症例によっては転移巣の摘除も行われます。
《サイトカイン療法》
有転移症例に対してはインターフェロンα、γやインターロイキン2の投与が行われます。
放射線療法、抗癌薬の投与はほとんど無効です。
●予後
若年者で完全摘除できた場合には予後良好ですが、有転移症例の場合には3ヶ月で死亡する場合から5年以上生存する例など症例により様々です。
●KEY WORD:aquired cystic disease of the kidney(ACDK)と腎細胞癌
慢性腎不全患者の終末像の1つとしてACDKがあります。
この櫜胞性変化をきたした腎には、高率に腎細胞癌が発生することが知られており、その頻度は3~9%とされ、正常腎に比して30倍の危険性があるといわれています。
●コラム:von Hoppel-Lindau病
1895年にvon Hippelが網膜血管腫を、1926年にLindauが小脳脊髄の血管腫を報告したためこの名が付いています。
このほか、副腎の褐色細胞腫、腎細胞癌などを伴う常染色体優性遺伝を示す遺伝病です。
1993年に常染色体3番の短腕に存在する責任遺伝子が単離され、日本でも少なくとも50家系が存在することが知られています。
●分子生物学から
VHL遺伝子は細胞が低酸素状態になると誘導される転写因子hypoxia inducing factor(HIF)の分解に重要な分子であり、その異常でHIFが蓄積し、HIF標的遺伝子の活性化-癌化につながると考えられています。
★[尿路上皮癌]urothelial carcinoma★
【概念】
尿路上皮(移行上皮)かに発生する癌です。
今回は泌尿器腫瘍の、腎細胞癌と尿路上皮癌の2疾患の説明です。
★[腎細胞癌]renal cell carcinoma(RCC)★
【概念】
主に腎近位尿細管から発生する腺癌です。
●疫学
日本での1997年の年間罹患者数は約7,000人、死亡者数は3,000人で最近増加傾向にあります。
60歳代を中心に男性に多く発生します。
●成因
第3番染色体短腕の遺伝子(VHL遺伝子)に異常がみられることが多いです。
●臨床像
腎細胞癌(RCC)の古典的3主徴(腹部腫瘤、腎疼痛、血尿)がそろう症例は20%以下とまれです。
無症状でCT、MRIで偶然発見される場合が多くなってきています。
●検査所見
RCCに特有の腫瘍マーカーはありません。
CRP高値、血沈の亢進が認められる場合は予後不良です。
《進展》
初診時に遠隔転移を有する例が約20%と多く、血行性転移、特に肺転移が多いです。
脳転移は極めて予後不良です。
長期(5~10年以上の)無病期間を経て再発することも少なくなく、このため長期にわたる経過観察が必要となります。
●診断・鑑別診断
CT、MRIの画像診断によります。
血管造影では血管増生を示すことが多いですが、小径のものでは逆に血管増に乏しいことも少なくありません。
腎動脈・下大静脈に進展し腫瘍塞栓を起こすことがあります。
経皮的針生検は一般的には行いません。
鑑別診断の対象として腎血管筋脂肪腫(腫瘤内に脂肪の成分が含まれることで鑑別する)、腎盂癌(腎盂内に突出する多くの腎盂内に突出する乳頭状の腫瘍を認めることで鑑別する)があります。
●治療
《手術》
原発巣には根治的腎摘除術(Gerota筋膜、副腎を含めて摘除する)が行われます。
開放手術が主流ですが、腹腔鏡的摘除も行われています。
症例によっては転移巣の摘除も行われます。
《サイトカイン療法》
有転移症例に対してはインターフェロンα、γやインターロイキン2の投与が行われます。
放射線療法、抗癌薬の投与はほとんど無効です。
●予後
若年者で完全摘除できた場合には予後良好ですが、有転移症例の場合には3ヶ月で死亡する場合から5年以上生存する例など症例により様々です。
●KEY WORD:aquired cystic disease of the kidney(ACDK)と腎細胞癌
慢性腎不全患者の終末像の1つとしてACDKがあります。
この櫜胞性変化をきたした腎には、高率に腎細胞癌が発生することが知られており、その頻度は3~9%とされ、正常腎に比して30倍の危険性があるといわれています。
●コラム:von Hoppel-Lindau病
1895年にvon Hippelが網膜血管腫を、1926年にLindauが小脳脊髄の血管腫を報告したためこの名が付いています。
このほか、副腎の褐色細胞腫、腎細胞癌などを伴う常染色体優性遺伝を示す遺伝病です。
1993年に常染色体3番の短腕に存在する責任遺伝子が単離され、日本でも少なくとも50家系が存在することが知られています。
●分子生物学から
VHL遺伝子は細胞が低酸素状態になると誘導される転写因子hypoxia inducing factor(HIF)の分解に重要な分子であり、その異常でHIFが蓄積し、HIF標的遺伝子の活性化-癌化につながると考えられています。
★[尿路上皮癌]urothelial carcinoma★
【概念】
尿路上皮(移行上皮)かに発生する癌です。