肝・胆・膵・脾・腹膜疾患の膵・脾疾患のお話。
今回は、膵疾患の検査法の説明、後編です。
★[膵疾患の検査法]examinations for pancreatic diseases★
●膵外分泌機能検査
慢性膵炎の診断や膵疾患の手術を施行する際に残存膵機能を評価することは治療方針を決める上でも重要です。
膵外分泌機能検査には、十二指腸ゾンデで直接膵液を採取する有管(直接)法と尿や便で間接的に評価する無管(簡便)法とがあります。
有管法にはセクレチン試験、無管法としてはBT-PABA試験と便中キモトリプシン検査があります。
[有管法]セクレチン試験
従来はセクレチンとCCK製剤の両者を負荷していた(PS試験)が、CCK製剤の製造が中止となり、現在ではセクレチン単独刺激によるセクレチン試験が標準法になっています。
X線透視下に十二指腸にゾンデ(バルテルハイマー型ゾンデなど)を留置し、セクレチン(セクレパン100単位を静注)で膵外分泌を刺激、10分ごとの分画で1時間膵液を採取します。
液量、最高重炭酸塩濃度、アミラーゼ量の3因子により膵機能を評価し、最高重炭酸塩濃度を含む2因子以上の低下を認めた場合に慢性膵炎確診、最高重炭酸塩濃度1因子または液量とアミラーゼ量の2因子の低下を認めた場合に準確診と診断できます。
手技が煩雑ですが、感度・特異度ともに高く、膵外分泌機能検査のゴールドスタンダードです。
[無管法]BT-PABA(PFD)試験
キモトリプシンの合成基質(PED液)を経口的に服用させると、十二指腸で膵液によりPABAに分解されます。
PABAは小腸で吸収、肝臓で抱合、腎臓で排泄されるので、6時間蓄尿し全尿中のPABA排泄量を測定することにより膵機能を評価でき、6時間排泄率70%以下を異常とします。
診断能はセクレチン試験より劣り、高度障害例の60%で陽性となりますが偽陽性率も30%程度あり、下痢をしていたり、肝硬変、腎不全の患者では異常低値になりやすいです。
[無管法]便中キモトリプシン検査
腸管内で比較的安定と考えられているキモトリプシンの便中濃度を測定する方法で、簡便ですが、感度・特異度とも60%と低いです。
無管法は感度・特異度が低いので、慢性膵炎の診断基準ではBT-PABA試験および便中キモトリプシン検査の両者が同時に複数回異常低値をとる場合準確診と診断してよいとしています。
●KEY WORD:膵疾患のスクリーニング法
膵疾患を疑った場合スクリーニング検査としては血中アミラーゼ、リパーゼ(または膵型アミラーゼ)とエスターゼ1を測定し、画像診断としてはUSかCTを行います。
異常所見を認めた場合はERCPを行い、外来で行うとすればMRCPとEUSが有用です。
●コラム:ポジトロン断層法(PET)
腫瘤形成性膵炎と膵癌の鑑別は困難な場合が少なくありません。
近年、膵癌の診断にポジトロン断層法positron emission tomography(PET)が応用されるようになりました。
核種としては18F-fluorodeoxyglucose(FDG)が用いられます。
FDGはグルコースと同様に細胞内に入り、リン酸化され、グルコースはその後代謝されますが、FDGは代謝されないために癌細胞で集積されます。
FDG-PETにより膵癌ではFDGの強い集積が認められますが、多くの膵の良性疾患ではFDGの集積は低いです。
膵癌と慢性膵炎の鑑別診断能は、US、CT、超音波内視鏡検査(EUS)などと比較して同等かそれ以上であると報告されています。
今回は、膵疾患の検査法の説明、後編です。
★[膵疾患の検査法]examinations for pancreatic diseases★
●膵外分泌機能検査
慢性膵炎の診断や膵疾患の手術を施行する際に残存膵機能を評価することは治療方針を決める上でも重要です。
膵外分泌機能検査には、十二指腸ゾンデで直接膵液を採取する有管(直接)法と尿や便で間接的に評価する無管(簡便)法とがあります。
有管法にはセクレチン試験、無管法としてはBT-PABA試験と便中キモトリプシン検査があります。
[有管法]セクレチン試験
従来はセクレチンとCCK製剤の両者を負荷していた(PS試験)が、CCK製剤の製造が中止となり、現在ではセクレチン単独刺激によるセクレチン試験が標準法になっています。
X線透視下に十二指腸にゾンデ(バルテルハイマー型ゾンデなど)を留置し、セクレチン(セクレパン100単位を静注)で膵外分泌を刺激、10分ごとの分画で1時間膵液を採取します。
液量、最高重炭酸塩濃度、アミラーゼ量の3因子により膵機能を評価し、最高重炭酸塩濃度を含む2因子以上の低下を認めた場合に慢性膵炎確診、最高重炭酸塩濃度1因子または液量とアミラーゼ量の2因子の低下を認めた場合に準確診と診断できます。
手技が煩雑ですが、感度・特異度ともに高く、膵外分泌機能検査のゴールドスタンダードです。
[無管法]BT-PABA(PFD)試験
キモトリプシンの合成基質(PED液)を経口的に服用させると、十二指腸で膵液によりPABAに分解されます。
PABAは小腸で吸収、肝臓で抱合、腎臓で排泄されるので、6時間蓄尿し全尿中のPABA排泄量を測定することにより膵機能を評価でき、6時間排泄率70%以下を異常とします。
診断能はセクレチン試験より劣り、高度障害例の60%で陽性となりますが偽陽性率も30%程度あり、下痢をしていたり、肝硬変、腎不全の患者では異常低値になりやすいです。
[無管法]便中キモトリプシン検査
腸管内で比較的安定と考えられているキモトリプシンの便中濃度を測定する方法で、簡便ですが、感度・特異度とも60%と低いです。
無管法は感度・特異度が低いので、慢性膵炎の診断基準ではBT-PABA試験および便中キモトリプシン検査の両者が同時に複数回異常低値をとる場合準確診と診断してよいとしています。
●KEY WORD:膵疾患のスクリーニング法
膵疾患を疑った場合スクリーニング検査としては血中アミラーゼ、リパーゼ(または膵型アミラーゼ)とエスターゼ1を測定し、画像診断としてはUSかCTを行います。
異常所見を認めた場合はERCPを行い、外来で行うとすればMRCPとEUSが有用です。
●コラム:ポジトロン断層法(PET)
腫瘤形成性膵炎と膵癌の鑑別は困難な場合が少なくありません。
近年、膵癌の診断にポジトロン断層法positron emission tomography(PET)が応用されるようになりました。
核種としては18F-fluorodeoxyglucose(FDG)が用いられます。
FDGはグルコースと同様に細胞内に入り、リン酸化され、グルコースはその後代謝されますが、FDGは代謝されないために癌細胞で集積されます。
FDG-PETにより膵癌ではFDGの強い集積が認められますが、多くの膵の良性疾患ではFDGの集積は低いです。
膵癌と慢性膵炎の鑑別診断能は、US、CT、超音波内視鏡検査(EUS)などと比較して同等かそれ以上であると報告されています。