腎・尿路疾患・水・電解質代謝異常の泌尿器科的(尿路)疾患のお話。
今回は、前立腺部尿道ポリープ・囊胞の説明です。

★[前立腺部尿道ポリープ]★
排尿困難、血尿、血精液症などが出現し、診断は尿道鏡や排尿時尿道造影によります。
幼小児や30歳前後にみられます。
症状がある場合、内視鏡的切除によって症状の改善を期待しえます。


★[囊胞]cyst★
囊胞の発生部位により前立腺囊胞、精囊腺囊胞、Muller管囊胞に分けられます。
細菌超音波断層法の普及により、以前より発見される頻度が高くなってきました。
ほとんどは無症状ですが、血精液症や血尿、排尿困難があるときは、経尿道的切除術や囊胞穿刺などの治療が必要なことがあります。


●コラム:発起不全とバイアグラ
従来、男性の性機能障害をインポテンスと呼んでいましたが、この用語が侮辱的な用語であることから、勃起障害、ないし勃起不全erectile disfunction(ED)と呼ぶことになりました。
EDの定義は、日本では「性交時に有効な勃起が得られないため、満足な性交が行えない状態であり、通常性交のチャンスの75%以上で性交が行えない状態」としています。
最近の研究から、勃起のメカニズムがかなり詳しくわかってきており、主として内因性あるいは神経末端から放出される一酸化窒素が陰茎の血管拡張を引き起こし、これによって勃起状態となることが明らかとなりました。
EDは血管、神経などに明らかな器質的疾患があるための器質的EDと、心因性のような機能的EDとに大別されますが、後者のほうが頻度が高いです。
一酸化窒素は陰茎海綿体平滑筋内で可溶性のguanylate cyclaseを活性化してcyclic guanylyl monophosphate(GMP)を産生させます。
このcGMPが平滑筋を弛緩させますが、陰茎海綿体平滑筋内に存在する5型phosphodiesterase(PDE)がcGMPを分解することによって勃起が消退します。
バイアグラは5型PDEの選択的な阻害薬であるため、EDに有効で、臨床効果は、ED全体の70%に有効です。
虚血性心疾患などの禁忌例以外には第1選択薬であり、無効例に対してはプロスタグランジンE1の陰茎海綿体自己注射や陰圧式勃起補助器具などが使用されます。
最近では、より有効性の高い5型PDE阻害薬や、リビドーを高めるアポモルフィン舌下錠などが開発されています。