28日は御用納め。


銀行や証券以外の殆どの会社が年内最終出社となった。


そのせいか通勤のバスも人が少ないが、問題は4日、なぜかこの日を休日ダイヤで運転するバス会社が多いがまじめに出勤する人にとって便数が減るから余計に混んで遅れも募るというわけでまったく意味がない。


マインドを変えてバス会社も実態に合わせて平日ダイヤに戻すべきだ。


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今日は、和久井映見さんのヒロイン時代の第1作を飾ったドラマ「逃亡者」について。


この作品は、1962年から1967年、日本では1年遅れで放映された米国ドラマ「逃亡者」の日米通じて最初のリメイク作品だ。


銀行員である加山が主人公で、最初は不正融資による背任容疑であった。


1992年夏、和久井映見さんの知名度も映画「息子」や「就職戦線異状なし」、あるいはモルツのCMなどで急上昇し始める頃だ。


すでにシオノギ セデスCMでの品のいいお嬢さんというイメージが定着している。


そんな中での銀行員という役柄はまさにうってつけであり、翌年からの三和銀行CMキャラクターに選ばれたのも当然という帰結であった。


主役は田原俊彦だが逃亡中のため、和久井映見さん扮する恋人の生田久美とは殆ど逢っていない。


その代わりに久美は、刑事の片割れである赤井英和にはよくマークされる。


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ここで元祖の配役について。


といってもレギュラーは、殺人犯の濡れ衣を着せられて逃亡するリチャード・キンブル、彼を執念深く追うジェラード警部、そして真犯人の片腕の男の3人だけだ。


ヒロインはいないというか毎回変わる。


それでも強いて挙げるなら最終の2回に登場したダイアン・ベイカー扮するキンブルの幼馴染。


父が冤罪を着せられ、街を出て行かざるをえなかったときにもキンブル一家は父を信じて彼女の家族をかばい、何かと優しくしてくれた。


そのときの恩を忘れず、ロサンゼルスから故郷スタッフォードに戻って衰えの目立つ父に最後の別れをしようというキンブルの手助けをする。


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もっと元をたどるとこの逃亡者こそ、ビクトル・ユゴーの古典「レ・ミゼラブル」の現代版リメイクである。


こちらのほうは子供の頃、邦題「ああ無情」の訳本を読んだきりで筋はほとんど覚えていない。


ただジャン・バルジャンのほうは、冤罪ではなく、また殺人者でもない、パンを一斤盗んだだけで長期にわたって投獄され、そこからの脱獄によって、ジャベール警部に執念深く追われるということになる。


その他の登場人物としては長い逃亡というか、素性をまったく変えてすごした日々の中で拾いわが子として育てあげた(捨て子であった)美しい女性コゼットとその恋人であるマリウスだ。


どうやらこのコゼットを主役にした世界名作劇場的なアニメもあるらしいが最近作過ぎて筆者はまったく内容を知らない。


コゼットの母がファンティーヌという美人であるらしい。


その世界名作劇場アニメを幼いころ見ながら育ったリアルタイム世代が和久井映見さんのようである。

(朝イチでも和久井さんはそう述べられていた。)


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さて1992年版の逃亡者


最元祖と比較したほうがわかりやすいので当てはめると、ジャン・バルジャンが田原扮する加山、ジャベールは益岡徹、赤井英和という二人の刑事ということになる。


真犯人である加山の上司(高橋幸治)がキンブル版での片腕の男ということになる。


キンブル版では明確でないヒロイン、ダイアン・ベイカーに相当し、最元祖でのコゼットに相当するのが和久井映見さん演じる生田久美ということになる。


またキンブル版でのジェラード警部、元祖でのジャベール警部は、ジャンやキンブルを執拗に追い詰める執行官という側面と、後には彼に救われまた様々な人々を救ってきた彼の人柄を理解するにつれて「彼は真犯人ではない」と確信するに至る二面性を有することになる。


1992年版逃亡者ではこの二面性を益岡と赤井という二人の登場人物によって描き分けているところは秀逸である。


益岡は取り付かれていた頃のジェラード警部、赤井はマインドチェンジした後のジェラードである。


赤井刑事は主に久美のほうをマークするのだが、久美は銀行の得意先である宝石店の御曹司にプロポーズされて大いに揺れ動く、その気持ちを察してか鈍感力でか、久美は加山のために御曹司に取り入ってかわなにはめることによって加山を助ける、そのように勝手に解釈していた。


このシーンで和久井さん演じる久美の芯の強さが最も具体的に表現されている。


可憐な美女でありながら勝気な面もあってはっきりと物を言う女性、「すてきな片想い」や「就職戦線異状なし」で魅せたきりっとした印象はこのドラマでも健在だった。




「あんたは金や地位に目が眩んで恋人を見捨てるような女やない。」


「あなたに私の何がわかるって言うのよ。あなたは私の何?」


「・・・・・・・・・」キッとにらみつける久美の眼光の鋭さに刑事もタジタジである。


「女がちやほやされるのなんて若いうちの数年じゃないの。 楽しんで何が悪いの。 私が加山と付き合っていたからといってそれが何なの? どうして私までが苦しまなくちゃならないの」


「・・・・・・・・・」


「もうあなたに話すことはないわ」と言ってタクシーで空港へ


久美は御曹司から香港に来てくださいと言われていた。


実はこの御曹司が食わせ者で、加山の上司と裏で通じていて事件の真相を知る加山を久美によって香港に呼び寄せ、二人一緒に射殺して闇に消してしまおうというまるで2時間サスペンスwのような展開をたくらんでいた。


赤井(役名は飯塚)刑事は久美にはっきりとそういって制止したのだが、久美はそれを振り切って行ってしまった。


当然、刑事は久美を案じてタクシーを追い、香港渡航を食い止めたのだが今度は御曹司が他殺体で発見されて加山には殺害容疑が加わることになる。


なんと久美は、加山と再会した際に、凶器となったらしきナイフを持っていたところ、そして御曹司の死体も目撃してしまう・・・


刑事はタクシーを追うさなかに「おるんやな、ああいう女やっぱりおるんや」と勝手に久美を美化して慨嘆しているように、決して表には出さないが久美をめぐる加山と飯塚の三角関係とも見ることができる。


会えば会うほどに、飯塚は久美に魅了されていくようだ。


それを示すように飯塚は、エンドロールで主役、久美(和久井さん)に次ぐ第三順位で表示されている。


 

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八千草薫をはじめ、高橋幸治、かとうかずこ、原日出子、益岡徹、赤井英和、うじきつよし、往年の名優である千秋実ら数々の名優が脇を固める作品だけにヒロインや主役の登場場面は他のドラマに比べて少ないが、それでも和久井さんと八千草さんの直接対峙の場面では長台詞も説得力豊かにこなし和久井さんはその堂々たる個性を発揮して大先輩に見劣りしない存在感を示していた。


また当時の流行人物だった裕木奈江、設楽りさ子、小松千春、三浦理恵子、などをゲストに据えることも忘れていない。


当時の基準からすると視聴率が奮わずこの時刻のドラマ枠の最終作となってしまったが、和久井さん、八千草さんをはじめとする豪華キャストはいまでは一同に会することは不可能だし、受け手のほうにその質の高さを汲み取る感受性が喪失してしまっていることは嘆かわしい。


サスペンスものだとか、中途半端にしかプロの世界を表現できていない職業ドラマばかりがもてはやされるという風潮は、しったかぶりで勘違いの人を増やすばかりで却って現場の人たちの仕事の妨げともなっている。


和久井さんはこのサスペンスにおいても、恋人を信じたい思いと揺れ動く気持ちの葛藤を見事に表現してドラマに明確な骨格を形作っていた点、すばらしい。ものだ。


以後、和久井映見さん主演のドラマが人と人との心のつながりに重きを置くヒューマンドラマやラブストーリーが主であったことは正解だと思う。


https://www.youtube.com/watch?v=toZhLusXTfc